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1991年8月7日(水)
【子飼:立石 啓二・富田 剛・多田隈 五月・菊川 小絵・嶋本 麗華・本田 仁】
「そういえば5期募集がもう始まってるんかな」
「始まってますね。でも、あの変な歌流れなくなりましたね」
何か思い出したように富田 剛が言葉を発してそれに本田 仁が答える。ここは居酒屋『子飼』。本日午前中は各職業の鍛錬場で鍛錬を行った後、立石 啓二と菊川 小絵、嶋本 麗香は昼食の後ドライブに出かけ、富田と多田隈 五月は一緒に昼食を食べた後で本田と合流し、夕方までVIPファンタジアで遊び、その後『子飼』に集合したのである。4期の募集が後ろ倒しになったことで、まだ4期がデビューする前に5期募集が始まるという現象が発生している。だが、以前熊大で大音量で流れていたあの募集の音楽は流れなくなっているようだ。理由はわからない。
「今回の件があったから募集にも影響があるかもしれんね」
「でも、危険なのは前々から話はあったけどね」
立石の言葉に、菊川が答える。3期募集の前に部隊が全滅するということがあったが、その時は命を落としたものはいなかった。今回は実際冒険者が亡くなっているので、募集を考えていた人が申し込みをやめる事象が起きるかもしれない。
「ところで5期の採用試験もあっちでやるんですかね。だったら富田さん残念ですね」
「え?とみたん何か残念なことがあるの」
本田の言葉を聞いて多田隈が質問し、富田は何か頭を抱えている。言う必要のないことを本田が口にしたようだ。
「いや、特に何でもないんだけど、体力測定の時のジャージ?あれを着て測定している女性の体のラインが好きというか何というか」
「で、2期と3期の体力測定も見に行ったんですよね」
「えー、とみたん。めいの体力測定をエロい目で見てたんだ。ありえなーい」
富田の言葉に本田が捕捉を入れ、多田隈が恥ずかしいような嬉しいような表情で叫ぶ。
「いやいや、今となっては誰を見て誰を見てないかはわからないよ。あ、4期は見てないからね」
さっきから軽蔑の表情を浮かべている菊川と嶋本を見て、富田は自分の無実を訴えた。