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1991年5月24日(金)

【子飼:富田 剛・多田隈 五月・立石 啓二・佐々木 雫・江村 香奈恵・谷口 竜一・大塚 仁・本田 仁】
「グエンバンヒューゲーム、イエー。グ、エ、ン、バン、ヒュー」
 富田 剛のゲーム開始の合図の後、全員がゲームに集中し、真剣にゲームを行う。ここは居酒屋『子飼』。たくさんの客で賑わっている。本日5月24日は多田隈 五月の誕生日であり、誕生日を祝うべく、富田は昼間から立石 啓二と本田 仁を招集し、ボーリングを楽しんだ。ボーリングはあまり得意ではない多田隈だったが、よくわからない盛り上がり方で、十分楽しむことができた。ボウリングの後は居酒屋で一杯という話になり、多田隈は佐々木 雫と江村 香奈恵を誘う。2人は飲み会の参加を了承し、現地集合となった。『子飼』へ移動する途中、一緒にいるのをたまたま遭遇した谷口 竜一と大塚 仁も誘ってこのメンバーになったのである。飲み会は多田隈の挨拶から始まり、歯の浮くような富田の祝福の言、立石の乾杯にてスタートした。1時間ほど経って、富田が何かゲームをしようという話となり、グエンバンヒューゲームを始めたのである。このゲームは一般的には007ゲームと言い、0と叫びながら誰かを指差し、指された人が再度0と叫びながら誰かを指差す。指された人が7と叫んで誰かを指差し、指された人がバンと叫んで誰かを指差すと、指された人の両側の人が両手をあげてヒューと叫ぶのである。そして、バンで指された人からまた0が始まる。なので本来は007バンヒューと叫ぶのであるが、「銀河英雄伝説」という小説に登場するグエンバンヒューというキャラクターを富田が非常にお気に入りなので、富田の考案で叫び声をグエンバンヒューにしたのである。
「いやーこれ難しいっすよ」
「むずいー」
 本田が思わず漏らした声に多田隈も同意の意を伝える。しばらくグエンバンヒューゲームを行った後、またまったりした時間が過ぎる。
「それにしても富田さんとめいさんは仲よさそうでいいですよね。お二方は彼氏いらっしゃるんですか?」
 目の前で飲んでいる佐々木と江村に谷口が質問する。2人は互いに顔を見合わせて、多少ため息をつきながら言葉を発する。
「いないんだよね。中々良い人がいなくてね。2人は彼女いるの?」
「いませんよ。なあ大塚」
「いないですねえ」
 質問に対して谷口と大塚が回答する。
「えー、でも大塚君とか彼女いそうなのにね」
「そうですか?まああまり女性に興味がないんですよね」
 江村の質問に答えた大塚のこの言葉に佐々木が食いつく。
「もしかして男性に興味があるとか」
「そんなわけないでしょう」
 笑顔を浮かべながら大塚は全否定した。少しがっかりした表情を佐々木が浮かべ、少し沈黙が続く。
「でも俺ブルーザー・ブロディにならけ・・・」
「あー、大塚皆まで言うな」
 何となく大塚が言いそうなことがわかったので、谷口は途中でそれを全力で止めた。

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