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1991年6月15日(土)
【子飼:立石 啓二・富田 剛・多田隈 五月・菊川 小絵・嶋本 麗華・本田 仁】
「そいじゃ、本田君の誕生日を祝してカンパーイ」
立石 啓二の乾杯の叫びが部屋に響く。ここは居酒屋『子飼』。本日も土曜日ということで、たくさんの客が訪れている.本日は本田 仁の20回目の誕生日なので、立石が『子飼』を予約して、このメンバーを集めたのである。立石はすごくマメな性格で、女の子や友人に対していろいろと世話を焼くことが多い。誕生日はもちろん忘れないし、他にも何かあるといろいろ気遣ってくれる。この辺りは富田 剛とは正反対で、立石が女性にモテる一因となっているのだ。
「それにしても気がついたら本田君も2回生なんだよね。ずっと1回生のイメージがある」
「富田さんが3回生になってるんだからそれは2回生になりますよ。差は開かないんですから」
富田の良くわからない感想に本田は笑顔で答える。もちろん出会ってから1年以上経っているので、お互いに回生は進んでいる。ただ、富田は現在の1回生とあまり遊んだり飲んだりすることがなく、相変わらずどのシーンでも本田が1番回生が下なので、このように思っているのであろう。
「でも、まあ本田君もこれで俺と同い年になったから俺のこととみたんって呼んでいいよ」
「一緒にとみたんって呼ぼー」
「えー、呼べませんし、呼びたくないですよ」
富田と多田隈の言葉を強烈に否定する。この後、他愛のない会話で美味しいお酒と料理を楽しんでいたが、ふと富田の視線に菊川 小絵が入ってくる。本日非常に可愛らしいワンピースを着ており、いつにも増して可愛さが引き立っている。思わず富田は菊川に見惚れてしまうが、それに菊川が気づいて手を振ったので、富田も振りかえす。
「とみたん。コップ空いているよ」
多田隈の多少不機嫌な声で我に帰った富田はコップを両手で持ち、多田隈に向けた。