20230115 金原亭馬久独演会(名古屋市公会堂4F)
前日の春風亭一花に続き、二日連日で落語。今日はうちから徒歩10分の公会堂で金原亭馬久の独演会。有名な話だと思うが、この人と一花は夫婦。夫婦の落語会を二日連続で見るなんて、ちょっと気持ちの悪い追っかけみたい。馬久も気になったのか、そのことに触れていて、昨日の一花の公演に行った人いますかと客席に聞いていた。まぁまぁ僕みたいな暇な人は結構いた。といっても10人いるかいないか。会場は一花の大須演芸場と比べて、ガクン、ガクンと二段階くらい格が落ちる公会堂の4Fホール。会場も寂しい感じで、パイプ椅子が横に10席くらい並べられていて、それが10列くらいか。4割~5割くらいの入り。かなり奥さんに差をつけられた気もするけど落語家って40で若手、50から脂がのってきて60で全盛期みたいなところがあるから、頑張ってほしい。
実はこの人の独演会は去年に引き続き2回目。それに加えて昨年池袋演芸場に行ったときに会場整理をやっていた時に見た。どこかで見た顔だなぁと悩んでいたら馬久でびっくりした記憶がある。この人はなかなか顔にインパクトがあって芸人向きの顔だと思っているのだが、それがだんだん普通の顔というかちょっと男前になってきた感じがするのは気のせいか。宮迫博之を5周りくらいハンサムにした感じ。伝わりづらいか。
最初のネタは「近日息子」。面白い噺だったが、ごめんなさい。寝てしまいました。午後の落語会っていうのは、心地よすぎてつい寝てしまう。いつも寝るのは酒のせいだと思って素面で来たのに、それでも寝てしまった。
次のネタは「駆け込み寺」。これは前日、奥さんの春風亭一花もかけていたネタ。柳枝に夫婦そろって習いに行ったそうだ。全く同じネタを二日連続聞かされるのは客としては、おいおい、またかよとなってしまうが、夫婦で同じ師匠に習ったとなると話は別。めったにない機会だからラッキーくらいに思ってしまう。と同時に、いやらしい演芸評論家みたいな目でどっちが上手いかなと見てしまう。これが自分でもダメだなぁと思うところで他人がお笑いを技術論で語るのは大嫌いなくせに、自分も知らぬ間にそういう目で見てしまう。ひじょうによろしくない。でもまぁこれも落語の楽しみ方のひとつとして割り切るのが精神衛生上正解かも。
ということで「駆け込み寺」を聞き比べ。奥さんの一花の方が面白かったかな。感情表現が上手というか、旦那さんと奥さんが喧嘩をするけど、実はお互い惚れあっているという感じが伝わってきた。馬久はなんか慌ただしく感じた。あとおくさんがいざ鎌倉と言って出ていくところがどうしても気になって仕方がない。鎌倉に行くつもりもないのにそのセリフに必然性はあるのだろうか。
中入りを挟んでトリネタは「幾代餅」。これも先月末に桃月庵白酒のやつを聞いたばかり。落語のすごいところは細部まで全く同じ噺を演っても落語家によって全然面白さが違うところ。新しい発見が常にあるところ。でも正直、今回の「幾代餅」は退屈してしまった。なんか起伏がないというか、突き抜けていないというか頭で覚えた物語を淡々と演っただけといった印象。僕も知っている噺を改めて聞かされている感じ。
あまり褒めていない感想になってしまった。でも馬久は真正面から落語に向き合っている感じがして僕は好きな落語家だ。来年も必ず行く。