20230115龍玉×天どん名古屋ふたり会(名古屋市公会堂)
金原亭馬久の独演会の後、10分ほどの消毒、換気タイムを挟んで蜃気楼龍玉と三遊亭天どんの二人会の開場。客は通しのチケットを買っていた人がほとんどでこの二人会から参加というお客は数人だろうか。ちょっと寂しい客入りのような気がするけど、僕が心配することでもないか。と言いつつも、客の入りが○○人だからチケット代が△△円…会場費が□□円位…二つ目1人、真打2人のギャラが☆☆円…新幹線代も持つんだろうから▼▼円…手元に残るのが…と余計なお世話ながら計算してしまう。あまり割のいい商売だと思わないし、専業でやっていけるのだろうか。ほっとけ、ボケと言われそう。
午前中はポカポカ陽気だったのに、午後から雲が出てきて寒くなってきた。換気で空気の入れ換えをした途端、一気に会場が寒くなった。そして会場の椅子がちょっといいくらいのパイプ椅子だからお尻も痛くなってきた。この寒さとお尻の痛さとの戦いでかなり集中力を削がれたのは事実。
一つ目のネタは龍玉の「ぞろぞろ」。この人の高座を聞くのは今回で2回目。前回は名古屋市博物館の地下のホールという不思議な場所での独演会で当時、アル中に片足を突っ込んでいたぼくは酩酊状態で会場に乗り込み座った途端最初から最後まで爆睡。この時も客席はまばらでよりによって3列目のど真ん中くらいで見てたから、ずーっと爆睡しているおじさんの存在は龍玉にとって、かなり目障りだったのではと猛反省している。と言いつつ、まさかの爆睡。なぜだ。
二つ目のネタは天どんの「いつもの歌」。今回この落語会に足を運んだのは天どんの落語を聞きたかったから。youtubeで何度かネタを聞いたことはあるのだが、まぁまぁ面白かった。まずマクラからやさぐれた愚痴。これがまぁまぁ面白い。天どんの見てくれでぶつぶつ愚痴っているのが絵になる。その流れでネタに入る。たぶん、天どん作の新作落語。40歳のストリートシンガーをおちょくるネタ。新作落語って本当に難しいと思う。結局、あるあるネタというか、面白いんだけど、それで?っといった感じになってしまう。目の付け所で笑わせるというか、みんなが思っていることを代表して突っ込むみたいな…。正直、僕の好きじゃない笑い。これは完全に好みの問題。
中入り。どんどん会場が寒くなる。お尻の痛みもひどくなる。
三つめはふたたび天どん。笑点に出たがる落語家を茶化した新作落語「いつ出るの?」僕も笑点にでることをステータスだと思っていないので天どんに賛同するのだが、これもあるあるネタというか、ネタ自体が面白くない。興が乗ってきたのか、どんどん早口になってどの人物が喋っているのかがわからなくなってしまう。僕の集中力不足かもしれないけど。
4っ目。トリネタは龍玉の「鰍沢」。この人の一切マクラを振らないスタイルは何なんだろうか?イキっているのか?覚えた噺しか出来ないのか?見た目からして頑固そうだし、気難しい人なんだろうなっていうのはすごく伝わってくる。「鰍沢」は一切笑いなし。身体全体を使っての大熱演。もはや落語じゃなくて一人芝居に近い。すごいなぁと関心はするけど、いかんせん舞台照明がなくて集会場の蛍光灯の下だから、妙に冷める。部屋は寒いし。もう少し整った舞台環境で龍玉の語りに集中できたらかなり印象が違ったと思う。
終演後、会場の外に天どんが見送りに立っていたのには驚いた。芸人オーラが一切なくただの地味なおじさんにしか見えなかった。今日はご来場ありがとうございましたと頭を下げられてようやく天どんだと気づいた。あんだけ高座では毒づいていたのに、意外と律儀な人なんだなと感心。