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霧の朝
霧の朝
一人
森に入った
まわりは薄暗く
真っ白で
かろうじて
足元が見えるくらいだ
見えないのは
まわりなのか
私自身なのか
わからないけれど
きっとこの霧が晴れれば
何かがわかる気がした
白く立ち込めた霧に
おのが心を重ねながら
やがて私の輪郭のほうが
白くなって
それは私を離れて
動き始めた
もうほとんど
霧とかわりない
その『輪郭』だけが
それが『私』であったことを
表していた
見えなくなった私は
霧の中で
意識だけになった
どちらも『私』
輪郭の『私』は自由に
霧の中を浮遊していた
どこか危なげでもあり
羨ましくもあった
私は『輪郭』の
自由にさせてやろうと思った
もとより私には
どうすることも
できなかったけれど
『輪郭』は
ぼやけることも
交わることもなく
霧の中を浮遊していた
『あれ』は
戻って来られるのだろうか
いやむしろ
輪郭のなくなった
私のほうが
この霧に
埋もれてしまうのかもしれない
やがて森の中を
朝日が差し込み
白い霧は
キラキラと
朝日に溶けていった
私は
一緒に溶けてしまいたい
と切に願ったけれど
まだ
その時ではなかった
こちらの企画に参加しています💓
小牧さん、いつもお題をありがとうございます✨
どうぞよろしくお願いいたします😊🙏💞