息が詰まる。

 双極性障害と言った。診断もされている。だが、どこか自分の甘えなのでは、誘導なのではと言った考えが抜けない。
「大丈夫だよ、頑張ったね」
 と言われる機会が、私は多かった。少なくとも人に恵まれていた。家族は、理解こそ示さないものの干渉もそこまでしてこない。職場の方は必ずと言っていいほど優しいし、友人は寛容な人ばかりだ。私はそれに対して何も返せない。耳障りのいいことを言って温厚にしていることはできるけど、そんなのは可もなく不可もないことで、なにか得になるような、少なくともしてもらった分を返せるようなことでは無い。

 仕事がない。今は職を探しているところで、しかし、働くことへの恐怖が大きく、怯えてばかりの日々だ。何に脅えているのかも、もはや分からない。それが抑うつのせいか自身の甘えなのかと問われると、これもわからない。もう何も分からない。考えたくもないし。

 とにかく疲れてしまった。死ぬ気力すらない。今はただ、何もせず、しかし何もしなくていいようになりたい。辛く苦しい日々を乗り越えようだなんて、時間が経てば状況は変わるなんて、そんな耳障りのいい言葉、もう何も分からない、。つかれた。息をするのも面倒だ。仕方を体が覚えていなければ、私はきっと窒息して死んでいるだろう。そうなってしまえばいいと思う。
 暑い。夏が終わって、早く私も、なにか活力になるものが欲しい。人を気にせず生きられるようになりたい。謝りすぎる癖も直したい。存在意義が欲しい。そんなの、なくていいと頭ではわかっているけれども、願わずにはいられない日だってあるだろう。どうして人間なんかになってしまったのだろうか。全てが嫌だ。なにかになりたい、なににもなりたくない。もう終わりたい。

 喉元を漬物石で抑え込まれているかのように、呼吸は浅く、息が詰まっている。

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