元からのファンがTHE FIRST SLUM DUNKを観た話

どうしても気持ちが落ち着かないからここに書くことにする。
観て思ったことを端的に言うなら、一概に良かったとはとても言えないが全てが良くなかったとも言えない。
だから映画を観て絶賛している人はここから先は読まないで欲しい。
でも決して絶賛している人はおかしいと思っているわけではないことは先に言っておく。おそらく賛の方が多いだろうというのは興行収入が物語っている。
きっと私は今のスラダンではなく30年前のスラダンが観たかったのかもしれない。

まあ人への配慮はこの辺にしておいてここからは私が思った話だけをする。
ネットの評価を見るだけだと初見の感想なのかファンの感想なのか分からず、結局どの層がどのように評価しているのが分からなかったがここで書くのはあくまでもファンである私の感想だ。


私はアニメから入り旧映画→原作の順で全て見た。
もちろん映画化の情報があった時は絶対観に行くとワクワクしていたが、公開直前のキャス変と発表の仕方がショックすぎてその予定は消えた。
キャス変が嫌というよりも突然の変更に対し公開終了まで心の準備ができないだろうから地上波などで観ようと考えを変えた。無論新キャストが嫌いなどというわけではない。アニメから時間も経っているし仕方のないところはある。
だがチケットが余っているということで知り合いと先日観に行くことになった。正直行くか迷ったがチケットがもったいないので行った。
前日に行くことが決まったため作品の予習はまったくしていない。
まだキャス変から立ち直れていなくて音楽どころか予告などのボイスも一文字ぐらいしか聞いたことがなかった。完全にこの数ヶ月避けていた。


良かったところ

・オープニングの線画
ここのワクワク感は本当に良かった。自分の好きな流川はこの時の顔が今までで一番カッコいいんじゃないかと思った。グッズが出たら買う。
・山王戦をやった
映画化を最初に知った時まず思ったのは山王戦をやるのかどうかだった。私も例に漏れずこの試合が大好きだし、アニメでは無かったのが本当に勿体無いと思っていたから。
・試合シーン
私は山王戦終盤(原作)のセリフがほとんどない「静」の試合シーンが大好きだから今回の映画も雰囲気を原作に寄せてくれていたのは良かった。CGのアニメーションはまだ抵抗があるがその点はそこまで気にならなかったし、ボールの挙動などこの作品はCGで正解だったと思う。
ゴリと小暮と安西先生の声
アニメを観返したわけではないが体感そっちのキャストに近くてとても嬉しかった。
沢北の追加シーン
神社でのお願い事の皮肉のやつけっこうすき

・少年期のシーンが多かった
これ以降は良かったというか助かったところ。
リョータの少年期(幼少期?)のキャストが別だったおかげで初っぱなからキャス変のダメージを受けずに済んだ。
・試合シーンのセリフがほとんどなかった
上に同じ。おかげで流川や三井の声はさして気にならなかった。

割とリアルな時間運びで山王の試合が観られたのは良かったし、実際にバスケの試合を見に行っている感じがあった。バスケ見に行ったことないけど。


すまんがここからはガッツリ語る

自分にはハマらなかったところ

リョータが主人公の意味
もやもやしている大半の理由が多分ココ。
リョータが主人公で映画を作る分には大いにいいと思うが、なぜ山王戦という原作の続きを原作から主人公を変えた状態でなぞったのかが本当に分からない。今まで花道が主人公でインターハイまで追ってきたのに映画でただの非常識赤坊主にされるのはあんまりだ。リョータが主人公ならばアヤちゃん周りとか部長になった後の話とかいくらでも作れると思うしそれならむしろ観たい。
リョータの過去
主人公だから過去を掘るのはまあいいのだが、知らない重い過去にこっちの情緒がついていけなかった。例えば原作でもなにか家族周りで複雑な事情がありそうな花道がこれぐらい重い過去だったならまだ分かる。だがリョータは家族の話なんてなかったし生意気だけどフレンドリーなキャラだと思っていたからいきなりゼロから重い過去を作られても「どうしてリョータをこんな重い設定にしたんだろう」としか思えなかった。重い過去にするならせめてどういう流れがあって今の明るい性格でいられたのかまでもう少し描いて欲しかった。
花道の声
声を張るところなど所々木村感がある場所はどうしても最後まで違和感に感じてしまった。しかし木村感がない場所は反対にかなり良かったとは思う。ハマる瞬間とそこからズレた瞬間の差がとても大きいと感じた。
リョータの声
原作主人公と映画主人公の声がどちらも個人的にイマイチだったのがかなり致命的。だけどリョータに関しては映画が初見だと違和感はないと思う。アニメは結構特徴的な声をしていたから主人公に置くなら今回の声の方が合っていたとは思う。でもこの声はゴリのこと旦那って呼ばんのよ。
言っておくけど仲村氏のことは嫌いじゃないです。むしろ好きですアイマスPなので。ちゃんとさんま御殿も観たよ。
コメディ
花道がリバウンドを取る想像をしているときはアニメを感じられて良かったが、ゴリが倒れた時のコメディが個人的に寒すぎた。あれ原作にあったっけ?あったらごめん坊主にして詫びます。
・山王とマネージャー陣が空気
映画の尺で相手チームまで描くのは難しいからこれは仕方ないところはある。だけど多分初見はあんまり山王強いってイメージ湧かなかったと思う。
リョータ主人公なのにアヤちゃん空気なのはアイデンティティ一個消滅してるし晴子さんが空気なせいで後述
多くのセリフカット
花道が晴子さんにバスケが好きだと伝えるシーンどうしてカットしたの。ねぇどうして大好きなシーンなのにきっとみんなも好きだよ。確かに1話の「バスケ好きですか?」を知らないと意味不明だけど、この映画基本初見じゃ分からないじゃん・・・。あと北沢→沢北のくだりも今回流川のセリフ少ないから欲しいよ。でも仙道出さなきゃいけないもんね。ダメか。くそう
他にも重要だったり人気が高かったりするセリフやシーンが数多くカットor改変されていたのが原作好きとして残念だった。原作ファンはターゲットじゃなかったのかな。
背中を痛めた花道が強行出場するシーン
原作の中で一番好きなシーンだから細かくなってしまうがここの花道のキメのセリフは音楽入れてここかっこいいシーンやろ???ほれ。みたいな演出じゃなくてセリフだけを聞かせて欲しかった。
最後の無音のシーンの長さ
これは結構異論あると思うが私はもっと短くして欲しかった。おそらくこれは観る前に最後は無音のシーンがあるということを知ってしまっていたというのも理由にあると思う。思ったより長いな、早く湘北が勝った瞬間の完成が聞きたいと思った。ごめんな、観る前にネタバレを踏んでしまって。
過去話と試合のバランス
リョータが主人公なのにこれを言っては元も子もないが、試合以外の回想や新シーンが多すぎる。リョータと流川の会話やリョータが指示を出すところなど高校生という今の時間軸の新シーンは嬉しかったが幼少期のシーンが多いな。これなかったら試合のカットも少なかったし、山王戦に至るまでのシーンも入れられたでしょ。
ラスト
リョータがアメリカに行くところは新エヴァのラストぐらい唐突でいらんかった。流川とキャラ混ざってるよ。投げっぱなしで終わらないでくれ。


総括

おそらくこの映画は今後自発的に観ることはないと思う。しかし、これを観ることによってとても原作を読み返したくなった。初見が見てもサッパリだと思うから原作に誘導する作りなのかなとは思う。一緒に行った知り合いは初めて映画を見た直後原作を読破した上で10回近く鑑賞してるみたいだけど。
良かったところに比べてそうではなかったところの数がめちゃくちゃ多いが、メインである試合の描写はかなり良かったから完全に否定というわけではない。だけど根底である主人公にしっくりきてないからもやもやするのかもしれない。例えるならゆるゆるの地盤に柱がしっかりした家が建っている。その家にベッドはないけどソファーはある。レンジはないけどオーブンはあるみたいな。例え下手くそすぎたわ。


それにしても思った以上にいきなり山王戦をやるから初見にも人気があることに本当驚く。どこで興味を惹かれたのか気になるところだな。あと三井が人気なところも。原作読んだら供給の嵐でびっくりしちゃうよ多分。
私はこのような感想になったけれど、ここから好きなってくれる人が増えるのは単純に嬉しい。私も初めて観たときには衝撃を受けたしそういう人が今もいるというのも嬉しい。

結局この映画にどのような感想を持つかは原作やアニメにどのような思い入れや先入観があるかで変わるんだと思う。私はアニメからハマったけど井上氏がアニメをよく思っていないというのも知らなかった。だから発表から上映まで1年ずっとアニメの流れでやってくれるものだとワクワクしていたし、ギリギリでそうではないとわかりまだ心の準備ができないうちに今回観に行った。全く知らない状態でノリで観に行ったら知り合いのように映画を絶賛していたかもしれない。人によって評価がかなり変わる内容なのだろうと最後は頑張って客観的に考えてみた。


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