北海道横断の旅 ショート版 第3話 雪道

レンタカー召喚

 ここからは車での移動となる。そのため、予約をしておいたTimesレンタカーまで送迎してもらった。店舗で手続きを待っている間、一つ恐ろしいものを見てしまった。「連続無事故 0日達成」の掲示板だ。0日というのは今日の午前に早速事故があったのか、それとも昨日の事故なのか、カウントの仕方はわからないが、それでも事故が間近にあるというのは事実だ。恐怖のあまり一度トイレに行ったが、3月の北海道なんてまだ雪の積もる冬である。当然のことだと気を引き締めなおすきっかけとなった。念のため眠気防止に自販機でコーヒーを買った。
 こちらは9人いるので借りた車は2台。4人乗りのMAZDA3と6人まで乗れるノアだ。どちらに乗るかは各々の自由だが、マツダの車を運転してみたかったので前者にした。一緒に乗るのはコメダ・ゲオ・ヌートバーだ。これでどちらの車も真冬の道を運転できる人が乗っているので問題なく先に進める。それぞれ気ままにドライブするたびになるが、最初の合流地点としてレンタカー屋から最寄りのコンビニを設定した。そう、これが目的の2つ目、セイコーマートである。
 最初の運転手はコメダであった。福井出身なので雪道を臆することなく前進できる。セコマまでは全然距離がないので2台とも差をつけずに到着した。買い物をして再出発だ。僕は飲み物に困っていなかったので運転用の飴を買った。セコマにはお馴染み、隣のホットシェフも見修めた。ちなみにバイトを募集していたが、コンビニ店員よりホットシェフの厨房の自給が低く、横に並べられると募集の偏りに影響が出るのではないかとも思った。それでも人が欲しいのは事実なのだろう。
 気を取り直して再出発。僕は助手席に座り、前方の景色を楽しみながら運転するコメダのサポートをした。それにしても、あたり一面銀色の雪景色である。僕はこれまでに2度北海道には入国しているが、2回とも夏の旅行だったので緑色の景色しか知らなかった。知ってはいたが、恐ろしいほどの雪の量である。僕の地元の積雪量とは比べ物にならない。しかし、案外道はきれいに除雪されていた。降ることは当たり前なので、それを前提とした対策が施されているということなのだろう。それにしても、こんな車どおりの少ない道にまで対策がいきわたっているのはありがたいものである。やはり、この時期に旭川方面へ向かう人など滅多にいないようだ。行くとしたらツアーの観光バスや飛行機なのだろうか。そんなマイナーな場所であるからこそ秘境なのである。むしろわくわくした。しかし、一つ大きな問題がある。それは、ワイパーがうまく作動せず、視界があまり良くならないということだ。致命的すぎるが、幸い都心のような細かい車線変更や他の車が無くてただ前に進めばいいだけだった。途中までは高速道路があるのでそれに乗って快適に進むことにした。僕はETCカードを持ってきたのでそれを差し込めば簡単に乗れる。景色は下道と大して変わらなかった。道が除雪されて土汚れが目立つ分、むしろ汚いような気もした。だが、定期的に現れるインターやサービスエリアなどにより、距離感がつかめて休憩の選択もとりやすいというのがメリットでもある。コンビニから60kmほど進んだ岩見沢SAで一度車を停めた。ノア組は10分前にここまで来れたらしい。速すぎる。あちらはゴルファーが運転したようだが、彼はスキーが趣味で毎年冬は自分の車でスキー場に行くような人であるため、雪道だろうと山道だろうと恐くないらしい。豪快である。全員の安否が取れたところで、また車に乗った。

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