国民皆防災士の覚悟を未来のために

#未来のためにできること

日本はモンスーン気候帯の南北に長い火山列島だ。四つのプレートが押し合う地勢であるために火山噴火、地震と津波、台風や水害が多発する。この世界に稀な自然地形は時として災いになるが、多くの恵みももたらす。古来より恵みを有り難く受け止め、分け合い、助け合い、工夫して備え、命を守り、命の尊さを伝える防災文化があった。世界に誇り分かち合える価値だ。

21世紀の国際報道は、気候変動、温暖化に因る自然災害と、限られた資源を巡る国境争いで埋まる。我が国の食料自給率は低い(37%)。食料もエネルギーも海外に依存する危険に目を向けよう。自前の多様なエネルギー資源開発が急務だ。地熱、火山灰、波、風、水、休耕地、手入れされない山林を活用し、創造的批判的思考の人材を育て、未曾有の災害に備えよう。

幼稚園児から大学院生まで、防災士資格を目指す体系的防災教育を提案する。火山と海洋に始まり、地球や宇宙の研究に留まらず、歴史、哲学、科学、工学、医療衛生、栄養、エネルギー、町村防災計画などに関わる実学を基礎にした災害から命を守る教育システム構想だ。国民共有のテーマ、防災意識は、健全な心身と自主的な目を養う。

全国情報公開共有システムを構築し、県境を越えた校外学習、訓練や奉仕活動を行う。平時に様々な地域の自然環境と歴史と暮らしを学び合っておくと、災害時に混乱する被災地機能の肩代わりを可能にする。地元の祭りは続け、内外の住民と移住者を結ぶ。日本の祭りの由来は、疫病や災害を乗り越えた先人の祈りと知恵だ。祭りは、人々の恐れや不安を、地域や国籍を超えた希望と連帯に変える。

力こそ正義と国境を脅かす野心国家に囲まれる日本。国益に応じて組む相手を変える強かな中小国家を、「命を守る安全国家、日本」として引き寄せたい。それぞれの地域社会の中で生業を持ちつつ、何らかの防災専門分野に長け、常に最悪事態を想定して訓練を怠らない、逞しい助け合いの国だと宣伝しよう。有事には集まる一人一人が総合力を築く。「命を守る国」が日本のグランドヴィジョンだ。「国民皆防災士」が、日本に住む人々の誇りと自信と発展に繋がるプランだ。混迷の時代、災害国日本は、地に足がついた世界のロールモデルの一つになる。




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