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疾患別とあるPTの独りごつ#15頸肩腕症候群

首や肩腕の痛みは精査、評価するのは難しいですよね。特に四十肩など区別するのは本当に難しいです.今回は、四十肩とは違う病態について調べてみたので、勉強の資料としてお使いください。

頸肩腕症候群とは?


頸肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)は、首、肩、腕に不快感や痛み(頸肩腕痛)を生じる症候群です。この症状の原因は特定が難しく、慢性的な筋肉の緊張や虚血、炎症が関与するとされています。X線や神経テストなどの診断結果に明確な異常が見られない場合でも、患者の多くが日常生活や労働環境で不便を感じています。特に職業性の要因が関与する場合、「職業性頸肩腕症候群」と呼ばれることもあります。

病態の特徴  

頸肩腕症候群は、腕神経叢の圧迫型と牽引型の2つに分類されます。両者は症状が似ていますが、原因となる動作や姿勢が異なります。

圧迫型  
症状
: 上肢を挙げた際に症状が悪化し、脈管テストで陽性反応が見られることがある。  
特徴
: 筋肉質で怒り肩の男性に多い。上肢挙上の姿勢で行う作業が原因となる場合がある。  

: 電話交換手、キーパンチャー。  

牽引型  
症状
: 上肢を垂らしたり下方に引っ張られると悪化し、肩甲帯を挙上させることで症状が軽減する。  
特徴
: なで肩で不良姿勢の女性に多い。重い荷物を持つ日常生活が原因となる場合がある。  

症状の分類  

頸肩腕症候群では、自覚症状と他覚症状が見られます。

自覚症状  

1. 痛み: 鈍い、ズキズキする、ジンジンするなど多様。  
2. しびれ: 冷感、熱感、感覚鈍麻が伴うことがある。  
3. 凝り 僧帽筋や菱形筋などに多く現れる。  
4. 運動障害: 脱力感や手指のつっぱり感。  
5. 不定愁訴: だるさ、疲労感、睡眠障害、めまいなど。

他覚症状  

1. 筋力低下、筋萎縮、運動障害。  
2. 筋硬結や圧痛、放散痛。  

治療法  

治療は保存的なアプローチが基本ですが、圧迫型の場合は手術療法が検討されることもあります。

保存療法  

局所の安静: 姿勢の改善や臥位での重力除去が有効。  
2. 薬物療法: 消炎鎮痛剤、筋弛緩剤、精神安定剤など。  
3. 神経ブロック: 星状神経ブロックなど。  
4. 理学療法: 温熱療法、牽引療法、運動療法、マッサージなど。  
5. 心理療法: 患者とのコミュニケーションを通じた精神的ケア。  

日常生活での対策  
- 長時間同じ姿勢を避ける。  
- 軽い体操や休憩を定期的に行う。  
- 姿勢矯正や適切な装具の利用。  
- スポーツやレクリエーションで心身のリフレッシュを図る。  


理学療法プログラム  
理学療法では、患者個人の症状に応じて以下のようなプログラムが組まれます。  

1. 温熱療法: 筋スパズムや痛みを軽減。  
2. 筋力強化: 肩甲帯や頸椎周囲筋の等尺性収縮訓練。  
3. 姿勢矯正: ストレッチやアライメントの自己矯正指導。  
4. 日常生活指導: 動作や作業の見直し、簡単な体操の習慣化。  



症状の重症度分類
症状の程度は以下の5段階で評価されます。  
- **Ⅰ度**: 自覚症状のみで他覚的所見はなし。  
- **Ⅱ度**: 筋硬結や圧痛などが加わる。  
- **Ⅲ度**: 神経テスト陽性、知覚異常、筋力低下などが認められる。  
- **Ⅳ度**: 自律神経失調や精神症状が加わる。  
- **Ⅴ度**: 日常生活に著明な支障が出る。  


労働環境の改善  
頸肩腕症候群の治療では、労働環境の改善が不可欠です。具体例として、長時間の電話受注業務では、受話器を肩で挟む姿勢を避けるため、ヘッドセットの導入が推奨されます。また、体操やストレッチを習慣化することで症状の予防・軽減が期待できます。

頸肩腕症候群に有効な運動やリハビリ種目  



頸肩腕症候群のリハビリでは、痛みや不快感の軽減、不良姿勢の改善、筋力強化、血流促進を目指します。以下に、症状改善に役立つ具体的な運動とリハビリの種目を紹介します

1. ストレッチ種目

(1)首・肩の柔軟性を高めるストレッチ  
胸鎖乳突筋ストレッチ

 1. 背筋を伸ばして鎖骨を下に抑える
 2. 頭を片側にゆっくり倒し、首筋を伸ばす。  
 ⒊15~20秒×左右2~3回。  


肩甲骨周囲のストレッチ

 1. 両手を後ろに伸ばし、肩甲骨寄せる。頭はやや上方を向く
 2. 肩甲骨を広げるように背中を丸める。  
 3. 首は軽く下を向きと肩甲骨周りを伸ばす。  
 4. 15~20秒×2~3回。  

胸筋ストレッチ

 1. 壁やドア枠に肘を曲げて固定する。  
 2. 胸を前に突き出すようにして胸筋を伸ばす。  
 3. 15~20秒×2~3回。  

2. 筋力強化エクササイズ

(1)肩甲帯周囲の筋力強化  

前鋸筋運動


 1. 壁に柔らかいボールかタオルなどを挟んで押し当てる
 2. 肩甲骨を背骨に向けて引き寄せたり、離したりして、タオルやボールを押す。
 3. 5秒間おしつずけて緩める。肘は曲げない
 4. 10回×2~3セット。  体重はかけないで、自分の肩甲骨の動きだけで


(2)頚部周囲筋の筋力強化  

等尺性筋収縮訓練(首の押し戻し運動)

 1. 片手 両手で額を軽く押しながら、首で反発する。  
 2. 側面や後頭部にも同様に行う。 ※できれば
 3. 5秒間保持×2~3セット。  


(3)体幹の安定性を高める運動  

プランク

 1. うつ伏せの状態で、肘とつま先で体を支える。  
 2. 体が一直線になるように注意しながら10~20秒保持。  
 3. 3セット。  


3. 姿勢矯正エクササイズ

(1)猫背改善運動  

胸椎伸展運動


 1.背中を丸めて両手を手で繋ぎます
 2. 上端を支点に胸を開くように背中を伸ばす。  息を吸うようにすると胸郭が広がります
 3. 5回×2~3セット。  


(2)肩甲骨の可動性改善  
肩甲骨回し


 1. 肩を大きく回す(前回し・後ろ回し)。  
 2. 各10回×2~3セット。  


4. 血流促進やリラクゼーション運動

(1)肩甲帯の簡単な体操  
肩上げ運動(シュラッグ)


 1. 肩をすくめるようにゆっくり引き上げ、5秒保持。  
 2. ゆっくり下ろす。  
 3. 10回×2~3セット。  


(2)胸郭出口の血流改善運動  

胸郭の開閉運動(深呼吸)


 1. ゆっくり鼻から息を吸いながら胸を広げる。  
 2. 口から息を吐きながら胸を閉じる。  
 3. 5回×3セット。  


5. 日常生活で行える改善アプローチ

- 長時間座る際に30分ごとに立ち上がり、簡単なストレッチを行う。  
- デスクワーク中は顎を引き、背筋を伸ばした正しい姿勢を意識する。  
- スマートフォンの操作時には、目の高さまでスマホを持ち上げる。  


注意点  
痛みが強い場合や症状が悪化する場合は運動を中止し、専門家に相談してください。  

まとめ

 
頸肩腕症候群は、日常生活や仕事での負担が大きく影響する疾患です。適切な診断、治療、予防を行うことで症状を軽減し、生活の質を向上させることが可能です。症状に悩む場合は、医師や理学療法士に相談し、早めの対策を検討しましょう。  

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キカイヤクシ
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