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ヨンドシーホールディングス 2025年2月期第3四半期決算の分析
ヨンドシーホールディングスは、1月10日に2025年2月期第3四半期(2024年3月~2024年11月)の決算を発表し、同時に下方修正も行われました。
カンタンに言うと「当初の計画よりも売上は増えそうだけど、最終的に残る利益は少し減りそう」という内容です。以下では、私なりに情報を整理してまとめてみました。
1. 業績予想がどう変わったか
売上高(※商品やサービスを売った金額の合計)
前回の予想は「410億円」、今回は「460億円」に増やす見込み
理由: アパレル(衣料品)事業が想定以上に好調で、新しい店舗が増えたり、既存の店舗も売上が伸びているためです。
営業利益(※本業でのもうけ)
前回は「23.5億円」、今回は「21億円」で減少予想。
理由: ブランド品を扱う事業で予想ほど売上が伸びなかったことや、新規店舗や広告への投資が増えたことが響いている様子。
経常利益(※本業以外の収支も含めたもうけ)
前回は「28億円」、今回は「25億円」へ減少予想
理由: 上記の営業利益の減少に加えて、子会社を迎え入れる(子会社化する)ための費用もかかる見込みです。
純利益(※最終的に会社に残るもうけ)
前回は「16億円」、今回は「14億円」へ減少
2. 修正の背景と主な理由
(1) アパレル事業の好調
関東や関西などで新しいお店を積極的に出しており、それが売上アップにつながっています。
取引先との関係強化もあって、想定以上にお客さんが増えているそうです。
(2) ブランド事業での伸び悩み
クリスマスなどのイベント期に男性のお客さんの売上が予想ほど伸びず、結果的に利益を押し下げる形になりました。
女性向け商品の売上は上向きとのことですが、最大の稼ぎ時となる年末商戦が期待ほどではなかったようです。
(3) 子会社化に伴う費用増
2024年12月に「株式会社羅針」という会社を子会社化(グループの一員)にすることで、時計の販売・買取などリユース事業を強化しようとしています。
一方で、グループとして統合するための手続きやシステム調整などに費用がかかり、短期的には利益を下げる要因になるようです。
長期的にはリユース事業との相乗効果(シナジー)で、業績向上が期待できるとのことです。
(4) 販管費の増加
新しいお店の開設費やブランドを宣伝するための広告費用などで、出費が大きくなる可能性もあり。
3. 子会社化の目的
新たに子会社化された会社(株式会社羅針)は、高級ブランド時計の販売や買取を行っている企業で、国内に3店舗・銀座に買取専門サロンを持っています。
環境を大切にする流れが強まる中、中古品を再利用する「リユース事業」に可能性があるとヨンドシーホールディングスは考えており、それを取り込むことでビジネスの幅を広げる狙いがあるようです。
短期的にはコスト増ですが、中長期的には業績の底上げやブランド価値の向上に役立つと見込んでいるようです。
4. 配当(株主への利益還元)は変更なし
1株あたり年間83円の配当金は、そのまま実施する予定と発表されています。
業績が下方修正されても配当を変えないということは、株主への還元姿勢は維持していく方針と考えられます。
5. まとめ
売上高が好調
アパレル事業が想定以上に伸びており、全体の売上を大きく押し上げています。新規出店や既存店の拡張により「攻めの姿勢」を貫いている点は評価できそうです。利益が伸び悩む要因
ブランド事業が年末の売上を十分に伸ばせなかったことや、新規子会社との統合費用、出店や広告宣伝費などの「先行投資」が重なって、当初の利益予想より下振れする見込みです。短期的に見ると厳しいですが、将来の成長に向けたコストと捉えることもできます。子会社化によるリユース事業への期待
「株式会社羅針」をグループに取り込むことで、リユース事業(ブランド品の販売・買取)を強化し、事業の幅を広げようとしています。消費者のサステナブル志向が高まる中、この分野は今後の成長エンジンになる可能性があります。配当は据え置き(1株あたり83円)
業績の下方修正があっても配当を維持するということは、株主への利益還元を重視している証拠と言えそうです。投資家としては安心材料になる一方、将来的な増配(配当を増やすこと)があるかどうかは、今後の業績次第とも言えます。今後の注目ポイント
アパレル事業の勢いが続くか:新規店舗拡大と既存店の成長をどこまで維持できるかが、売上の推移に大きく影響しそうです。
ブランド事業の復調:男性客を含めた高額商戦期の売上が回復すれば、利益率の改善が期待できます。
リユース事業のシナジー効果:子会社との連携による新たなサービスや販路の拡大が、企業全体の収益アップにつながるかに注目です。
投資コストと利益のバランス:先行投資(店舗拡大・広告宣伝など)が長期的にどのようなリターンをもたらすか、引き続きチェックが必要です。
今後も、四半期ごとの決算や新たな施策の進捗などを注視しながら、リユース事業やブランド事業の成長がどのように数字に反映されていくかを見極めていこうと思います。本記事が皆さまの参考になれば幸いです。