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【随想】とある温泉地の神社にて④
前回の続き
■温泉神社の御祭神
雪の影響からか、道中ほぼ人と出会わなかったのだが、本殿には学生ほどの年代と思われる女性二人組がいた。
引いたばかりであろうおみくじの吉凶についてあれやこれやと語り合っており、本殿前から動こうという雰囲気が感じられない。
ここまでの静謐な参道を想うと、目の前の光景には少々興が削がれたような気がしなくもないが、きっと神様も賑やかなのは嫌いではなかろうと思い直し、場所が空くまで辺りを見渡すことにした。
やはり雪は深い。
屋根や灯篭の上には十数センチにも及ぶほどの雪が積もっており、ここは特別な地に建立された神社なのだと改めて実感する。
そうして辺りを見ていると、御由緒の看板が目に留まった。
普段神社に参拝する際は事前に調べてから行くことが多く、御祭神名などは予め把握している場合が大半である。
なので、御由緒の看板を見ても新たな発見を得ることはなく内容の確認程度に終わることがほとんどだった。
しかし、今回は先述のとおり、突発的な「寄り道」である。
当然、御祭神については把握していなかったので、丁度良い機会だと思い興味を持って看板を読み始めたのだが──
【祭神】
・大己貴命(おおなむちのみこと)
・少彦名命(すくなひこなのみこと)
大己貴命は、別名『大国主命』と呼ばれ縁結び、商売繁盛、身体健全・・・(以下略)
『大国主命』
え!!!
大国主命って…..
カタカムナの神様じゃないか!!!!
え、え、どうしよう
心の準備が…..
なぜこれほど動揺しているのかというと、私が大国主様のもとを参拝する時は、いつか出雲大社に行く決心がついた時だと決めていたからだ。
カタカムナで自己成長を果たした先。
自分が納得できたその時に、いつの日か出雲大社へと感謝をお伝えしに行きたいのだと。
ようするに、今は時期尚早と考えていたのである。
遠隔地であるとはいえ、まさかこのような形でお目にかかることになるとは予想だにしていなかった。
願い事も考えてきていない。
その事実も一層、私の動揺に拍車をかけた。
どうしよう….
突然の出来事を前に、私が周囲を右往左往していると、先ほどの女性たちが賽銭箱の前を離れた。
平静を取り戻してからにすればよかったものの、私は未だ落ち着かぬ心のままふらふらと本殿へと歩み出でるのであった。
※参考リンク
【カタカムナ解説HP】
【大国主神に言及のある句】