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『聖神』ヒジリ(ヴァサラ戦記)

「若様がつくった安寧の世を乱す者は、儂が成敗致す——!!」
演:たろちゃん組


①「概要」概要ッ! ハズキく~んッ!

「ヴァサラ軍」の十二神将に名を連ねる、三番隊隊長。
異名は『聖神』。ホッホッホ、とそれらしい笑い方をする。
隊長たちの中ではかなりの老齢らしいが、その実力は衰え知らず……かに見
えたが、実は慢性的な腰痛に悩まされている。団子が大好物。
(ヒルヒルからは『老神』ヒジリ、と間違えられている。)

イブキ曰く、総督ヴァサラが子供のころからすでに「じいちゃん」であったというが……。

「ホッホッホ、まだまだ若い者には負けられん!」
「が、寄る年並みには勝てぬか……」

ヴァサラ戦記 第16話

②お主らは「容姿」の部分は、心配なさそうじゃ!

白いシャツに黒い長パンツと、シンプルな恰好をしている。スキンヘッドの鬘をかぶっており、髪は年齢とともに失われてしまった模様

なお、この格好は暫く特別な言及はなかったが、後に「国王軍の正装」らしき衣装であることが明らかになった。
(ヴァサラ軍在籍時も同じ格好をしているかは分からないが、撮影時に毎回同じ衣装であることを考えると、見分けポイントとして意図的にこの服を着ている可能性はある)

目元はシワを意識してか、演者のたろちゃん組によって穏やかな薄目気味になっており、感情が動くような場面になるとかッと見開く様子が見られる。
(強キャラあるあるの糸目キャラという事だろうか)

ヴァサラ戦記 第16話より ジンとヒルヒルを木の棒で軽くあしらった。

③「人物」を磨き

軍の仲間たちから「大じい」という敬称で呼ばれている通り、おそらくヴァサラ軍の中で最高齢。その長い人生で培った経験と強さに裏打ちされた出で立ちは、副隊長のガラからは「不死身」と称されるほど。

特に『心技体のバランス』を強さの源、そして『真心』を生きる指針としており、これはヒジリ自身の過去に大きな影響を与えたとある出来事からきている物だと考えられる。

「”心・技・体”すべてを兼ね備えた者は強い。見るに、お主らは”心”の部分は、心配なさそうじゃ!」

ヴァサラ戦記 第16話

当然、ヴァサラとは幼いころからの付き合いがあり「若様」と呼んで慕っている他、敵軍の総大将であるカムイとも重要な関係にあるらしく、物語の根幹となる二人の関係を知り案じている。

なお、彼が若いころは大雑把でかなり血の気の多い性格だったようで、それは年を取ってからも「団子屋がある、という子供の嘘に騙される」「樹海で道に迷う」「蜘蛛に驚いて絶叫しつつ逃げだす」など、もともと高貴な身分ではなかった伏線が張られていた。
(詳細は『外伝:ヒジリ猛虎伝』の項にて)

④「能力」を鍛え

極み使いの多い十二神将の中では、唯一明確に「極み」を使用しないことが明言されている。
しかし、他の隊長たちに戦力で劣ることは決してなく、むしろ彼の用いる剣術である『虎月一刀流』は、老いてなお周囲に畏れられる圧倒的な攻撃力を誇る。

『虎月一刀流』
ヒジリが若き頃に身に着けたとされる、一子相伝の流派剣術。その強力無比かつ人を斬ることに長けたな技の数々は使用者本人をして『天下無敵』と評するほど。

”虎月一刀流”……この世に斬れぬものはなし

ヴァサラ戦記外伝「ヒジリ猛虎伝」①-技- より 

事実、外伝作品で明らかになったヒジリの戦闘力は、数々の剣術流派をその師範ごと叩きのめしている様子が描かれ、本編の時代まで語り継がれる伝説の暗殺集団『リンドウの竜騎士』数名を相手に「このまま戦えば死んでいた」とさえ言わしめている。

その凄まじい剣気から、斬られた相手はことごとく「飢えた虎」の姿を連想するという。

火剣軍の兵士
「で、でもよ……あのジジイまるで……『怒れる虎』だぜ……!!」

ヴァサラ戦記 第26話より 

技の書』によれば、剣技はどこかの鬼退治マンガで見たことがあるようにそれぞれ漢数字が割り振られた「型」に分けられており、それぞれを適所で放つことで攻守ともに隙のないものとなっている。

・壱ノ型 ”一文字”
強く前方へ踏み込んで、突進状態の勢いから放たれる横凪の一閃。鋭い切先は、確実に相手の息の根を絶つべくその首をめがけて放たれる。

・弐ノ型 ”唐竹割”
上段の構えから、鋭い振り下ろしで対象を真っ二つに両断する技。攻守ともに使い勝手が良く、相手の極みの攻撃をも両断出来る事から、劇中では大技を迎撃する際に多く使用されていた。

・参ノ型 ”枯山水”
広範囲を斬り裂く、超速の居合抜刀技。その攻撃範囲の広さと素早い動きから、一対一の斬り合いに加えて、乱戦状態をいともたやすく制圧することも可能。

技の書によれば、etc.の記述からほかにも「型」があると考えられるが、劇中ではそれらをほとんど見せずに、この三つの型のみで戦い抜いていることから、図らずも虎月一刀流の完成度と強力さが強調される形となっている。

⑤……知ってどうする?(過去編)

第30話~第42話(過去編)における活躍
ヴァサラ軍の中で誰より長い経歴と、過去編で明らかになった情報から、ヒジリはこのヴァサラ世界において、様々な人々と共に「時代の分かれ目」を見届けてきた人物であると言える。

ゆえに、ヒジリはこの「過去編」を語らねば、その全体像は見えない。

そして過去編は、伝説の「無の極み」を持つ主人公ジンに、ヒジリがヴァサラ軍の過去を語る形で進んでいく。

ヒジリは過去編当時には故人となっている先代国王に見いだされ、王国に剣客として仕えていた。そしてこのとき、ヒジリは王子であるカムイの目付け役を務める老兵であった。

当初こそ、ハーデンベルギア樹海に逃げ出したカムイを叱責し、ヴァサラのことも無礼者と退けようとするが、ヴァサラの中に眠る特別な何かを感じたのか、あるいはカムイの友人としてふさわしいと認めたのか、次第に二人まとめて保護者の様に面倒を見るようになる。

そして第32話では、国の式典を抜け出してキツネ山賊団に襲われたカムイと無茶をして山賊に挑んだヴァサラを助けるべく参上、ただならぬ雰囲気を見せたと、山賊団をあっという間に倒し遂に剣客としての真の姿を垣間見せた。(ぎっくり腰により、キツネを取り逃がしてはしまったが)

「天網恢恢疎にして漏らさず。
 どうもいけませんねぇ~、人斬りの血が疼いて……!!」

ヴァサラ戦記 第32話

このキツネ山賊団事件は、彼がヴァサラとカムイのそれぞれ抱えていた不満や不安に向き合ってくれる大人としての姿を見せ、「強くなるとはどういうことか」という教えは、二人の考え方に大きな影響を与えている。
この時キツネ山賊団の面々にも何かしら働きかけていたらしく、後にヴァサラ軍創設の際に三人が合流するきかっけとなっている。

その後、ヴァサラが水刃式の結果で落ち込んでいるところに現れ、未来の「覇王」になる夢をあきらめかけていた彼に対して、ヒジリは師から受けたという以下の助言を送り、ふたたび奮い立たせる。

なお定かではないが、水刃式が「兵士の通過儀礼」であることから、ヒジリはこの時点で『国王軍元帥』の地位にあった可能性が高い。

ヴァサラ「夢を持ったって、誰もオレのことを信じやしない」
 ヒジリ「だからこそ『戦う価値がある』ッ!!」

ヴァサラ戦記 第33話

ハボタン山の回には登場せず。
(ただ、後述するエイザン外伝の内容からハボタン山についてもまったくの無関係というわけではない。詳細は「⑥外伝作品での活躍」の項にて)

その後、ヴァサラが青年となり異国から戻ってきた第38話にて、国王のダニィに直談判を行った。この談判は見知った中であるヴァサラや付き従っていたカムイの考えに賛同してのことか、それともヒジリ自身の疑問によるものか……いずれにせよ、これによってダニィの本当の目的を知ることになる。

そして第39話にて、彼の恩人である先代国王、そして息子であるカムイへの愛を感じられないダニィの態度に怒り心頭し斬りかかったところで、自身もダニィの呪いの影響で足止めを喰らってしまう。

凄まじい覇気で鬼道の呪いに打ち勝つものの、ちょうどダニィを殺そうとしているその現場をカムイに見つかってしまう。

「……何が呪い! ……何が鎖国ッ! 人から気づき知り学ぶ機会を奪うなんて……なんて卑劣で非道なんじゃ! 貴様はァッ!!」

ヴァサラ戦記 第39話より 怒りに震えるヒジリ

結果、父の愛に飢えていたカムイに付け込んだダニィによって謀反人として手配されてしまったヒジリは、自らを信じてくれるだろう存在である「ヴァサラ軍」の元へ転がり込んだ。

「この国を……この国を壊してください!! ”ヴァサラ軍”!!!!」

ヴァサラ戦記 第40話

この王宮脱出を以って、国王軍元帥の立場もなくなったものと思われる。

第40話にて、遂にヴァサラの革命軍に参加する。
後の時代まで「初代ヴァサラ軍」として歴史に名を遺すことになった最初の部隊番号は「三」。これは本編時まで三番隊として残っている。また、原点にして頂点とも見ることができる初代組の中では、ヴァサラと共にカムイ奪還を任されていることから、やはり卓越した戦力であることが伺える。

ところが、暴走状態で圧倒的な力を振るうカムイの前に追い詰められ、体中から血を流して敗北。

そして王宮でヴァサラ軍の戦いを経て、彼は先代国王の言う「正しき導き手」が『ヴァサラ』であることを確信。それをマリアに伝えるのだが、その瞬間ダニィの手によりその腕の中で「王妃マリア」は死亡。

その後、崩れ行く王宮で「気を失う光」と「覚醒した闇」を目の当たりにした彼は完全にカムイと決別……かつてない困惑とマリアの亡骸ともにその場を脱出した。

「さらばです……カムイ坊ちゃんッ!」

ヴァサラ戦記 第42話

三度の大戦は、口ぶりからヴァサラ軍として戦ったと思われる。
また、この大戦後を語る彼の口調は、ヴァサラの活躍を事細かに語っていくのだが、その表情は内容と裏腹に晴れないものである。そして「覇王」として国を背負っていくヴァサラに対し、最後の助言ともいえる言葉を送った。

ヴァサラ
「これで良かったのだろうか……? ……ヒジリ。」

ヒジリ
「それを決めるのは、その後の自分次第ですぞ。これから戦うべき相手は、”常識”や”価値観”といった類のものです……我々はこれらを覆し、今この覇道を行くのだから……!」

ヴァサラ戦記 第44話


語りを終えると、ヒジリは改めて「ジンこそが物語の鍵である」ことをつげ、覇王になるという険しい夢を諦めないことを説いた。

「その意思はどんなに時代が変わろうと、どんなに時間が経とうと、脈々と受け継がれてきた。それがヴァサラ軍であり、その歴史のすべてが――
 
ヴァサラ戦記じゃ”!!」

ヴァサラ戦記 第44話

この壮大なタイトル回収の後、猛るジンを見据えて意味深な言葉を残し去っていく。その内容は「ジンの父親」にかかわるものの様だが、57話現在では明らかになっていない。
(タイトル回収セリフの背景に出てくるジンと全く同じ顔のよく似た謎の人物が映っていたり、55話にてジンの中に眠っている不気味な声の正体がある。前者については、過去編内の戦にてヴァサラと会話している人物とよく似ており、ジンの父とヴァサラは知り合いだった可能性もある。)

ちなみに第44話は神回である。

⑥「外伝作品」での活躍

・ヴァサラ戦記外伝「ヒジリ猛虎伝」にて
『この物語は、後に”伝説の人斬り”と謳われる男の、物語である——!!』

ヴァサラ戦記本編がメンバーの多忙なスケジュールによって更新しづらくなったことを案じた原作者たろちゃん組と「撮影可能な有志メンバー」たちが集い、2023年10月より「外伝」企画がスタート。

そのトップバッターに選ばれたのが、聖神ヒジリの若き日を描いた
【ヒジリ猛虎伝】である。彼の信条でもある「心・技・体」になぞらえた
全三話の構成となっている。

その男は、国中を荒らしまわる『人斬り』だった
ただ一途に『天下無敵』を目指した男の名は——

ヒジリ猛虎伝①より

登場機会がすべてご老体だった本編から一転、今度は赤みがかったサラサラの髪と若々しい体をひっさげて登場。
彼がいかにして”伝説の人斬り”となったのか、そして過去編では描き切れなかった先代国王とヒジリの関係が明かされるものとなっている。

虎丸時代の姿。道着のような服を着崩している様子も見える。

また、巌流鬼の王リンドウの竜騎士……といった本編でも言及されていた内容が、遥か過去に当たる外伝の時代から存在しているなど、同一世界ゆえのつながりが、ところどころにちりばめられている。

物語序盤は「虎丸」と名乗っており、第二話にて国王(本編における先代国王)から『剣聖ヒジリ』の名を与えられてからはヒジリと名乗っている。
すなわち、彼の本当の名前は未だ不明である。

・小説版『ヴァサラ戦記』~エイザン外伝「大輪の花」~にて
2021年10月末に、たろちゃん組のNoteに投稿された外伝小説。前後編で構成され、主役は『武神』エイザンである。

ヒジリの前半にて、エイザンを拾って育てる寺の住職「リョウエイ」の師匠として登場。このときリョウエイとの会話の中で「近いうちに戦争が起こる」や「今の国王に国を統治する力量はない」といった発言から、国王はダニィに変わった後時代の話だと思われる。

対して、のちにヴァサラ軍として合流するエイザンは、ヒジリについて特に言及することはなかった。単に描かれなかったのか、それとも容姿(主に髪の毛)が異なっていて幼いころの記憶とは照合できなかったのだろうか?

また、このときリョウエイのやせ細った姿を見て心配しているが、リョウエイ本人が笑顔を見せたため特に咎めることなく立ち去っている。しかしこの見立ては当たっており、結果として小説の恐ろしい結末に繋がってしまうことになる。


⑦……「余談」ですかねぇ?

・物語上、ヴァサラとヒジリは同じシーンに居たり会話をする機会が多く、慢性的な人員不足から役を兼任しているたろちゃん組(編集者)の過労が心配されている。

・ヴァサラ戦記シリーズはヒジリ外伝の公開によって再開したが、その休載期間は何と約4か月。夏の炎天下、そして本業であるお笑いの仕事など様々な事情があるので、気長に待とう。


引用リンク

・ヴァサラ戦記再生リスト

・ヒジリ外伝再生リスト

・エイザン外伝(有料記事)

・ヴァサラ戦記~技の書~(公式資料)

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