あの頃と今のこと KinKi Kidsの25周年に想う
子どもが寝静まって、1人の金曜日の夜だった。夫も当直で帰ってこない。久しぶりに夜更かししようかとテレビをつけた。金スマだった。中居くんの横にKinKi Kidsの2人。CDデビュー25周年を祝う特番だった。「KinKi好きだったなぁ」と懐かしさから引き込まれるように見始めた。
私が初めてKinKi Kidsに出会ったのは2人がSMAPのバックで踊っていた時だった。当時、友達はSMAPファンが多くて、「SMAPの中で誰が好き?」っていうのが仲良くなるきっかけだったりした。私もSMAPの番組は見てたし、SMAPは好きだったけど、ある時からSMAPよりも後ろで踊る2人の男の子が気になり始めた。かっこいいのに関西弁。しかも面白い。中居くんから弟みたいに可愛がられて顔をくしゃくしゃにして笑う2人に夢中になり始めてた。
中2のある週末、SMAPファンの友達4人と親に内緒で大阪厚生年金会館へ遊びに行った。SMAPのsexy six showというコンサートに行くため。といってもチケットもない中学生。とりあえず近くに行けば音でも聞けるのかなとか、もしかしたら会えるかもという幼いが故のノリのような感じで、その場所に向かった。チケットを持っているお姉さんたちを羨ましそうに見ながら会場周辺をブラブラしていた。開場時間も迫り、沢山の人が会場に吸い込まれていった。そんな時、「あんたらチケットないんやろ。もう始まるし、1人500円にしたるから」とおっちゃんから声をかけられた。ダフ屋とも知らず、1人ずつ500円払ってチケットをもらった。急いで入った会場。最後列の立ち見席。SMAPに紹介されてKinKi Kidsの2人も歌ってた。完全に落ちた瞬間だった。KinKiの2人が一生懸命、でも、楽しそうに踊るのを目に焼き付けた。
それからは完全にKinKi Kidsのファンになった。少ないお小遣いからKinKi Kidsの出ている雑誌を買う。全部は買えないから本屋さんで立ち見して1番好みなのを選ぶ。部屋中にポスターを貼ったりもした。アイドルオンステージが楽しみ過ぎてビデオを毎週予約した。でも、やっぱりリアルタイムで見たくて、家族との外食に行っててもその時間までに帰りたいとせがんだこともあった。どんなもんヤが始まればど田舎で電波が悪いので、電波を探してベランダで聞いた。とにかく必死だった。目一杯応援したかった。KinKi Kidsのファンクラブができればお小遣いを貯めて入会したし、KinKi Kidsの単独コンサートは親にチケット代を誕生日のプレゼントにしてもらった。バイトを始めればバイト代をためて、コンサートに行った。KinKi Kidsのコンサートで出会った女の子とは長く文通していた。
そんなことを金スマを見ながら一気に思い出したのだ。
でも、私はKinKi Kidsのファンであり続けたわけではない。高校生になり、友達関係も変わり、部活やバイトも始め、彼氏もでき、文通相手とも手紙のやりとりがなくなり、なんとなく自然とKinKi Kidsから遠のいて行った。
そんな時、KinKi KidsがCDデビューするというニュースを見た。「そっかーおめでとう!」と嬉しかった反面、淋しさが襲った。「もう私が応援しなくても大丈夫。」なぜかそういう気持ちになった。そして、私はKinKi Kidsのファンだった思い出を封印した。
それから25年。いろんなことがあった。結婚もしたし、子どももできた。25年という時間はほんとに様々なことがあった。
きっとKinKi Kidsの2人の25年もそうなんだろうなと思う。けれど、金スマで見た2人はあの頃と何も変わらない空気感で中居くんの横に座っていた。あの頃のように顔をくちゃくちゃにして笑い、今もなお、KinKi Kidsでいる。もう何とも言えない感情があった。
金スマを見終えてから、とにかく2人をもう一度見たくなった。調べたら25周年イベントの一般販売があった。でも、迷っていた。デビューと同時にファンを離れた私にこのイベントに参加する資格はあるのだろうか...
数日悩んだあげく、やっぱり行きたい気持ちが膨らんだ。
京セラの公演日、その日はたまたま、数年ぶりに高校時代の友達と会う約束をした日だった。友達は姪っ子と関ジャニのコンサートに行ったりしていたのは知っていたので思い切って「KinKi Kidsのイベントに一緒に行ってもらえないか」と誘ってみた。友達は「私もKinKi Kids好きだったよ」と快諾してくれた。すぐにチケットを購入した。
チケットを買ってからの日々はKinKi Kidsの25年を追いかけた。やっぱり2人にもこの25年はたくさんの出来事があったのだと知れば知るほど、胸が熱くなった。
そして、イベント当日。一塁側の天井席。SMAPのコンサートに初めて入った時のようなあの興奮とドキドキが...時を経て再び、私はKinKi Kidsに落ちた。
この歳になって再び、KinKi Kidsにハマるとは...なんとも不思議な気分になることもある。あの日、たまたまテレビをつけなければこうはならなかったのだ。人の巡り合わせは不思議なものだ。KinKi Kidsの2人が奇跡的に巡り合ったように。その奇跡に比べたらちっぽけかもしれないが、私も様々な巡り合わせの中で生きている。KinKi Kidsとの再会もその1つなのだと思い込みながら、私は私の場所で生きていきたいと思う。
# KinKi Kids