夏の名残りと金木犀
朝、庭にある金木犀の枝を少し切って娘の遺骨の隣に置いた。
私も娘もこの香りが大好きで、この季節が来る事を毎年一緒に喜んでいた。
そして、花屋のパートを辞めたと報告した。
悲しみと切り離す時間も必要かと思って、短時間だけでもと頑張ってみた。
けれど、体が付いてきてくれなくなった。
多分、働く方が良い人と、ちゃんと休む方が良い人がいるのだと思う。
私はそもそも動いている方が気が紛れるタイプで、止まってしまったらそのまま動けなくなると思っていたから、働く事を選んだ。
現実は安定剤を2種類飲んで、漢方も飲んで、体力低下で1時間立ってるのが限界。
これ以上迷惑掛けられないというプレッシャー。
私は間違った選択をしたらしい。
出来ない自分を認める事にした。
弱い私を責める事をやめた。
家の事を専念する事にした。
私はこれまで何回もパートをしては辞めている。色々な事情で、色々な理由で辞めてきた。
今度は長く続けられると思っていた。
娘も花屋の仕事を喜んでくれていた。
だからこそ、悔しくて涙が出た。
でも決断した事を後悔はしていない。
しばらくは休もう。
荒れ果てた庭の雑草と垣根を見て、まずは自分の荒れ果てた心を少し休ませてあげようと思った。
この世界は本当に何が起きるか分からない。
思い通りになんてならない。
夏が戻って来たような日差しが降り注ぐ。
娘が居なくなった日を思い出す。