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柚子しごと

冬至には湯ぶねに柚子を、食卓には南京の煮物を・・
家庭を持てば庭には柚子と山椒を植えるようにと、そんな教えもありました。
ささやかな我が庭にも一本の花柚子の木があります。

花柚子・・ゆずの実のお話しです。 本柚子より小ぶりで香りも弾けるようには立ちませんが、可愛く愛しさをも感じます。無垢の蕾はお吸い物に浮かべ、青い実になれば吸物に振り柚子。黄ばめばジャムにといたします。
昨年はたわわに実がなりました。
庭の一員になってから20年以上にもなります。

師走近くなると一本の電話がはいります。奈良の東、柳生の庭師さんからです。「そろそろ木繕いの時期ですが・・」 庭師さんはいつも手弁当持参です。奥さんのお手製が使いこなしたアルミのお弁当箱に、新聞紙で包まれています。 
「お昼をつかわせてもらいます。」 寒い時期なので手焙りに炭を埋け鉄瓶をかけて、庭師さんのランチ・コーナーを玄関先に設けます。
「炭火はいいですなぁ・・・」 鉄瓶の湯気の中で新聞紙を丁寧にひろげゆっくりと口に運びながら眼鏡もかけずその新聞を読んでいました。温かいお番茶と豚汁などをお出しして・・・

年も経ち庭師さんも老い、何代か変わりました。
お昼はコンビニで済まされるようになり、手焙りの出番も無くなりました。
花柚子の木は柳生の庭師さんにおねがいしたものです。

消毒もせず肥料もあげませんが、猛暑をくぐりたくさんの実をつけました。
皮はジャムに、種は果実酒に漬け化粧水にします。
柚子しごと、ゆずジャム作りの開始デス・・

行水で実ぎれいに
横半分に切り、汁は絞り皮を薄切りにします
お水を入れ沸騰させます
ざるにあげます
お鍋に戻してお砂糖と果汁を加え、アクが出れば救いとります
お砂糖を三回くらいに分けて入れお味を見ながら自分好みに仕上げます

マーマレードより香りとほのかな苦みがあり、私はそれが大好きなのです。
ヨーグルトと共にブランチを楽しみます。
柳生の庭師さんの新聞紙に包まれたアルミのお弁当箱を思い出しながら・・
いただきまァーす!

          2025年  睦月 11日      生駒谷より



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