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All Pie Is Good Pie.「ヒットマン」第97回アカデミー賞期待の作品紹介Vol. 21
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AWARDS PROFILE Vol. 21
ヒットマン
各映画サイト評価
Rotten Tomatoes: 95%
Metacritic: 82
IMDb: 6.8
Letterboxd: 3.4
あらすじ
大学で心理学と哲学の教授として働くゲイリー・ジョンソンは、地元警察のおとり捜査に協力している。彼は殺し屋を演じ、殺人を依頼する顧客を警察が捕まえるという流れだ。だが彼は夫殺しの依頼をしてきたマディソンに恋をしてしまったことから事態は思わぬ方向へと転がってしまう...。
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監督・キャスト・注目ポイント
1980年代から90年代にかけて、テキサス州はヒューストン警察のおとり捜査官として協力していた実在の大学教授ゲイリー・ジョンソンを取材した記事を基に、監督リチャード・リンクレイターと主演グレン・パウエルはちょっぴりダークでスリリングなロマンティックコメディを作り上げた。
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リンクレイターといえば「ビフォア」シリーズのような恋愛映画から「バッド・チューニング」や「エブリバディ・ウォンツ・サム!!」のような青春映画、「6才のボクが、大人になるまで。」「スクール・オブ・ロック」まで様々なジャンルの作品で人々を魅了してきた才人だ。そんな彼が若手スターのグレン・パウエルとタッグを組む。「トップガン:マーヴェリック」では最高のウィングマンを演じ、ロマコメ「恋するプリテンダー」はアメリカで大ヒット、ディザスター映画「ツイスターズ」では主演として堂々の佇まいをみせている破竹の勢いのパウエルは、監督と共に脚本も担当しており、作品への熱意が伝わってくる。
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主人公ゲイリーと恋に落ちるマディソンには「スター・ウォーズ」TVシリーズの「キャシアン・アンドー」での好演も記憶に新しいアドリア・アルホナが扮している。今作は、おとり捜査に協力する大学教授ゲイリー・ジョンソンの記事を基にしているが、描かれる出来事はあくまでもフィクションなのでご安心を。昨年のトロント国際映画祭でお披露目されて、良好な評価を得ている。
※ネタバレ気味
個人的感想
大学教授ゲイリー・ジョンソンは野鳥観察が趣味の地味な一般人。そんな彼が裏方で手伝いをしていたおとり捜査のおとりに抜擢されて、殺し屋のフリをすることになるも、意外にも演技の実力を発揮し、殺人の依頼をしてきた顧客たちをまんまと逮捕していく。野鳥観察で培った観察眼と教鞭をとる心理学のおかげもあって、顧客のイメージに沿った殺し屋像を作り上げるというこだわりに笑ってしまう。ある時はおかっぱ眼鏡、ある時は全身黒革のロシア風、ある時は荒っぽい南部人…。
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次々と逮捕の成果を上げていくゲイリーだったが、夫殺しを依頼してきたマディソンに惹かれてしまい、殺人依頼を考え直すように説得し、逮捕を免れさせてしまう。ここで物語はロマンチックとスリリングのスピードを加速させていく。本来なら一緒にいてはいけない殺し屋のフリをしたおとり捜査官と犯人の関係性、なおかつ彼女はゲイリーを自信に満ちた色気のある殺し屋だと思い込んでいるのだから大変だ。小気味良いウィットに富んだ会話が交わされるデートや、ナイトクラブでの熱いダンスも一瞬にして危険な展開を呼んでしまう。
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だが、度々訪れる危機的状況をゲイリーは自信のある殺し屋演技のおかげか乗り越えてしまう。いつしか本当のゲイリーは誰だったのか分からなくなってくる。恋の誘惑とバレたらおしまいのドキドキとハラハラを行き来しながら、人間の変化をしっかりと掬い上げる面白さ。主人公がある一線を超えたとしても、それが人の予測不能な変化を表しているから絶妙なダークさで物語を刺激している。パウエルは七変化のごときカラフルな演技で魅了させながら、ゲイリー本人の変化を捉える最高のパフォーマンス。アルホナは、マディソンのピュアなキャラクターに潜んだ歪みでパウエルと危険な化学反応を起こしている。
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セクシーでエッジが効いてて人間のハートの不思議がスパークするロマンティックコメディ、最高じゃん。
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