風に吹かれる名もなき者よ、永遠となれ「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」第97回アカデミー賞期待の作品紹介Vol. 11
AWARDS PROFILE Vol. 11
名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
各映画サイト評価
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あらすじ
1965年。ニューポート・フォーク・フェスティバル。時代の代弁者が20世紀の音楽シーンをひっくり返す。フォークからロックへと移行し、音楽の歴史を変えた男の名は、ボブ・ディラン...。
監督・キャスト・注目ポイント
激動の時代を生き、人々の心を捉えた歌詞、耳から離れない歌声で全世界を魅了し、数々の歴史上最も偉大なシンガー、最も偉大なソングライターのリストにその名を刻み、世代を超えて影響を与え続けているボブ・ディラン。そんな彼がフォークの貴公子として名をはせた1960年代の中ごろ、エレクトリックギターを用いたロックへと移行したことで世界に衝撃を与えた。そんなアメリカ音楽史の転換期を今作では描いている。
原作はイライジャ・ワルド著の「Dylan Goes Electric!」。監督・共同脚本はジェームズ・マンゴールドだ。アクション、ロマンス、スリラーとジャンルを超えて作品を盛り上げる手腕が一級の彼だが、歴史のドラマを描かせたら堅苦しさとは無縁のエンターテインメントたっぷりの仕上がりで魅せてくれる。「フォードvsフェラーリ」ではレーシングドライバーたちの孤高のプライドと熱い絆を迫力のレースシーンと共に描き出していたし、「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」では、カントリー歌手のジョニー・キャッシュとジューン・カーターのぎこちない恋模様をソウルフルなカントリーソングを添えてまとめ上げて、観る者を夢中にさせていた。そんなマンゴールド監督が、ボブ・ディランと60年代の音楽シーンをどのように映しているのか期待が高まる。
孤高のシンガー、ボブ・ディランを演じるのは、ハリウッドの若手筆頭スターのティモシー・シャラメだ。「君の名前で僕を呼んで」や「DUNE」シリーズなどでエモボーイぶりを発揮している彼だが、昨年は「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」でまだ何者でもないウィリー・ウォンカに扮し、軽快なミュージカルパフォーマンスをみせてくれた。今回はディランのあの特徴的な歌声を捉えるためにトレーニングを積んで挑んでいるそう。
作品には、ディランだけでなく彼と共に時代を彩ったアーティストや音楽マネージャーたちが登場する。ピート・シーガー、スーズ・ロトロ、ジョーン・バエズ、ジョニー・キャッシュ、アラン・ローマックス、ウディ・ガスリー、ボブ・ニューワース..。そんな彼らを演じるために、エドワード・ノートン、エル・ファニング、モニカ・バルバロ、ボイド・ホルブルック、スクート・マクネイリー、ダン・フォグラー等の魅力的な俳優たちが招集された。監督曰く往年のアルトマン作品のようなアンサンブル要素もあるらしい。
また撮影から編集、美術まで監督馴染みのスタッフたちが、時代に反抗的なディランたちの生きたアメリカの空気を再現する。名もなき者が風に吹かれて、永遠の名もなき者になる瞬間を見逃すな。
2025年2月28日に日本公開。
名のある者である長後の都知事もたまには名もなき者になりたいものです。
P.S.個人的に好きなボブ・ディランの曲
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