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家族の暗い過去が待つ地を巡るいとこ二人のツアー「リアル・ペイン ~心の旅~」第97回アカデミー賞期待の作品紹介Vol. 8

AWARDS PROFILE Vol. 8

リアル・ペイン ~心の旅~

各映画サイト評価

Rotten Tomatoes: 92%(現時点)
Metacritic: 83(現時点)
IMDb: 7.4(現時点)
Letterboxd: 3.8(現時点)

あらすじ

 デヴィッドとベンジーはいとこ同士。二人は亡くなった祖母を讃えるため、ポーランドへと旅に出る。そこで彼らは傷ましい過去や家族の歴史に直面することになる…。

監督・キャスト・注目ポイント

 監督デビュー作「僕らの世界が交わるまで」ですれ違う親子の一筋縄ではいかない関係のプリズムを描いて、まずまずの評価を得た俳優ジェシー・アイゼンバーグの監督二作目となる本作は、中年に差し掛かろうとしているいとこ同士の男二人のロードムービーだ。アイゼンバーグは監督、脚本を務めながら主人公のデヴィッドを演じている。デヴィッドのいとこベンジーは近年、ドラマシリーズ「メディア王 ~華麗なる一族~」で高い評価を得ているキーラン・カルキンが演じている。他にもジェニファー・グレイウィル・シャープが出演している。

ウィル・シャープも出てるよ

評価

 インディーズ映画が集まるサンダンス映画祭でプレミア上映されて、今年度ベスト級の賛辞を得ている。デヴィッドとベンジーは祖母を偲ぶためポーランドへと巡礼をする。彼ら一家の祖先たちが体験したホロコーストの苦しい記憶を辿りながら、人生に迷った二人の絆と交流がユーモアとペーソスをもって描かれているそうだ。虐殺という暗い過去が頭上で影を作りながらも、非常に可笑しくて爆笑を誘うロードムービーになっていて、アイゼンバーグが監督としての巧みな手腕を光らせている。加えて、性格が正反対のいとこ二人の丁々発止の掛け合いや皮肉でウィットに富んだセリフ、そしてハッと心を突き刺すようなキャラクターたちの抱える痛みをブレンドさせた脚本が高く評価されている。

そしてその脚本の凄みを立ち上がらせるアイゼンバーグカルキンのパフォーマンス。喪失感や哀しみ、思い出、後悔を心の奥底に秘めた二人の爆発的なケミストリーに笑い泣かされる。とりわけエキセントリックで自由な放浪者ベンジーを演じたキーラン・カルキンは次に何をしでかすか分からない気まぐれ最高潮の演技で、目も心も奪ってしまうことだろう。もちろん舞台となるポーランドの美しくも憂鬱な歴史を持った景観にも敬意を示す。個人的な心の痛みや家族の暗い歴史、トラウマを家族同士で語り合う難しさを理解しつつ、それを乗り越えた先にある景色に心が温まる。日本では2025年1月31日公開予定

長後を巡るツアーを催していますが、今のところリピーターはゼロです。

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