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リハビリ開始

入院4日目
手術後の長い夜が明けて、点滴が一旦終わり、右手が自由になる。尿管も外してもらえたので、寝返りも打てるようになった。

8時 朝食
術後初めての食事。 
足は痛いが食欲は健在だ。

まじまじと手術した右足を見てみる。
包帯から指先がかろうじて見えるのだが、クリームパンみたいにパンパンに腫れている。触ると指がえらい硬い。

指先を動かそうとしても、親指がわずかに動くだけで、思い通りにならない。熱感もある。しばらくは患部を冷やしていくことになりそうだ。

術後のトイレは、車椅子で変わりなく行くことができた。

ベッド上では足を上げていたほうが痛みは楽で、座ったりして足が下がると、ズキンズキン、ジンジンとなってしまう。

10時
突然、私を訪れる人あり。

「おはようございます。理学療法士です。今日からリハビリが始まります。よろしくお願いします。お迎えに来ました。」

「えっ?今日からなんですか?何も聞いてないんですけど。」

と不意をつかれてたじろぐ私。

昨日手術したばかりで、翌日からリハビリ開始とは驚いた。が、1日動かないだけでも筋力はどんどん衰えるというもんな。早いリハビリは必須のようである。  

リハビリ室へ移動して、足上げなどの軽い筋トレを行う。松葉杖のための運動として、平行棒を使ってのメニューも行った。

筋力の無さを再確認。
松葉杖できるか自信なし。 

主治医に言われた言葉を思い出した。

「偏見とかじゃなくて、30代〜50代の女性は、何故か松葉杖の上達に、時間がかかる方が多いんだよね。筋力の問題なのか、頭で考えすぎちゃうからなのか、分からないんだけど。」 

私も松葉杖をマスターするのに時間がかかるかもしれんのだな。筋力のなさは自覚がある。己の体を絞らないといけないのも分かってる。

リハビリは日曜・祭日を除き毎日実施されるらしい。

自分に甘い私は、自主トレーニングは大の苦手。今回は伴走してくれる理学療法士さんがいるので、頑張ろうと思えるし、やるしかないのだ。

小一時間のリハビリを終えて病室に戻ると、疲れがじんわり体を覆って、知らないうちにお昼まで眠ってしまった。

21時の消灯後の話。
室内の電気が消されてから、しばらく経ってのことだった。

昨晩、転倒してしまった右隣のおばあさん。カーテン越しにゴソゴソゴソゴソと音がする。

まだ寝付けていなかった私は、昨日のこともあるし、何だか気になって様子を伺っていたところ、そのゴソゴソ音が鳴り止まない。

最初は掛け布団を整えているのかなと思っていたが、あまりにもゴソゴソし過ぎてる。

すると、ビチャビチャと水がこぼれる音が。これはおかしすぎると思い、おせっかいかなと思ったが、ナースコールを押して、看護師さんに報告。

状況はよくわからなかったが、看護師さんが着替えを手伝っている様子。

とにかくまた転ばなくてよかったと安堵した。

そんなお隣りのおばあさんは、数日後、しっかりした足取りで退院されました。

ここは急性期病棟なので、患者さんの出入りが頻繁だ。そして、患者のほとんどが、後期高齢者の方なのではないかという印象である。

4人部屋の病室は、カーテンで仕切られているだけなので、会話はほとんど筒抜けだ。入院の経緯や病状など、なんとなく耳に入ってしまう。

一人一人、みんな違う人間模様があり、この病院に入院することになった物語がある。

93歳のおばあさんが入院してきた時のことはとても印象に残っていて、今も考えさせられる。

いつかこのことも記しておきたい。








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