荷重訓練
入院31日目
リハビリ24回目
11:00
理学療法士さんが病室まで迎えに来てくれる。初めての方だ。月に2回程、系列病院からヘルプで来ているとのこと。
シーネが外れてから1週間経った。いよいよ今日から、患側右足の荷重訓練が始まる。
私の右足は、脱臼骨折してから丸々4週間、床に足を下ろしておらず、体重はまったくかけていない。
すでに、右足の筋肉は落ち、左右の太ももの太さの違いは歴然だ。
そして、負荷をかけない環境にいると、筋肉だけではなく、骨も急速に弱っていくそうだ。
恐ろしいことに、私の右足はかなり弱っていることになる。
まずはいつものように、手技で右足首まわりの強張りを念入りにほぐしてもらう。
この強張りがしぶとく、私の足首の柔軟性を阻止しているのだ。強張りが憎い。
そして、いよいよ荷重訓練に挑む。
平行棒に移動する。平行棒の中に2つ並んで体重計が置いてある。
両手は平行棒をつかみ、まず、健側の左足を体重計に乗せ、自分の体重を確認する。
次に両足を、左右に配置した体重計の上に、それぞれ乗せる。
そこから、体重の1/3kgを右足にかけていくのである。例えば体重が60kgなら、20kgだけを患側にかけるわけだ。
患側の右足に荷重させる時、残りの体重は両手と左足で支える。
これがなかなか難しい。右足の体重計を見ながら、軽くその場で足踏みをするように、右足と左足を交互に体重を乗せていく。
体重の1/3kgって、体感的にほんのわずかであることに驚く。それを体に覚えさせる。
何度もその荷重の感覚を確認したら、今度は体重計の針を見ずに、ノールックで右足に荷重をしていく。
理学療法士さんには、右足の荷重状況を見てもらいながら、その都度「重すぎ」「軽すぎ」「ピッタリ」を教えてもらう。
これを繰り返していくと、身体がだんだん覚えていき、ノールックでも適正な荷重ができるようになっていった。
突然の余談だが、その時ふと記憶の引き出しが開いて、子供の頃に「目方でドン」と言うテレビ番組があった事を思い出した。確か日曜日に放映していて、よく見ていた番組だった。
今度は平行棒を離れ、松葉杖の歩行での右足への荷重を行ってみる。
恐る恐る右足を出す。
着地すると、右足首の硬さで、突っかかりを感じて、左足が上手く前に出ない。
それでも何度か交互に足を踏み出す。
だんだん慣れてきて、松葉杖を握る腕の負担がかなり減って歩けていることに気づく。
次に、練習用の階段で動作の確認を行う。上り下り共に、わずかでも右足に荷重ができることで、格段に安定した階段昇降ができるようになった。
これは本当に嬉しいことだ。
リハビリ終わりで病室に戻るときも、ゆっくり牛歩で、そろりそろりと右足を地面に着いて歩いて帰る。
右足を着地できることで、足に負荷がかかり、弱った私の右足はまた強くなってくれるのだろうか。
1ヶ月で弱々になった足が復活するには、その何倍かの時間が掛かりそうだな。
でもよく、筋肉は裏切らないって聞くので、私の頑張り次第ってことだね。
またふと思い出した。
高齢の方のリハビリをしていた、理学療法士さんが言っていたこと。
「高齢の方のでも、トレーニングをすれば必ず筋力はあがります。」
その言葉を胸に私も頑張ります。
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