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「菊花」の練香を作りに行ってみた
私は趣味で小説を書いているんですが、次の創作物の中で「お香」を取り扱うことにしていて色々調べていました。
はじめに
お香の中で一番私に馴染のあったのは線香。お仏壇にもあげる棒状のあれ。部屋で焚くとありとあらゆるものを燻してくるあれ。
ところがどうやら、お香にも色々種類があるらしい。出てきたのが、
印香
練香
それぞれのビジュアルは、「印香」は小さな落雁みたいでカラフル、「練香」は真っ黒な黒豆大の丸薬という印象。
ふたつとも初めて聞く単語だし、そして線香と違って直接火を着けて燃やすわけではないという。
ヤバい、奥が深すぎるし、練香に関しては歴史を遡ると平安時代からあるとか書いてある。…ヤバい。これ、うかつに書けない。
練香を調べていると、「六種の薫物(むくさのたきもの)」ってワードも出てきた。
また初!!
六種の薫物についてはいろんなお香屋さんがとても詳しく説明してくださっています。
六種の薫物。「梅花(ばいか)」・「荷葉(かよう)」・「侍従(じじゅう)」・「菊花(きっか)」・「落葉(らくよう)」・「黒方(くろぼう)」の6種類の香りがあるんだそう。
黒方は「玄妙な香り」とか書いてあったりするんだけど、「玄妙な」香りってなに…。いや、文字情報だけでは実際の香りがまったく分からん…。一番香りが重要なのに。
だから、作りに行ってきました。
実物見て触って嗅いだ方が早いと思って。
さっそく「菊花」の練香作ってみた
実際、お香作り体験をさせてもらって驚いたのは、お香を温めるのと常温とでは、香りがまったく違うのですね!?ということ。
粉末の材料を、常温と電子香炉で温めた物とで嗅ぎ比べさせてもらいました。常温よりも温めた物の方が、断然香りが強い。
白檀なんて、温めるととても甘い香りがしました。君、甘い香りがしたの!?知らない、こんな白檀の香り知らないよ!?とびっくり。
そして、お香は燃やすと香りが飛んでしまうんだそう。ええええ、お線香…。どうりで、燃やす前はとてもいい香りの線香が、火をつけると煙の香りしかしなくなるわけだわ…。
煙は場を清める効果があるけれど、香りだけ楽しみたいなら電子香炉を使って温めるだけでもいいかもしれない。
閑話休題。
そして、今回は六種の薫物のひとつ「菊花」の練香を作ってきました。
① 乳鉢に香料の粉末を量って入れる
レシピどおりに、乳鉢に材料を量って入れていきます。
※六種の薫物の「菊花」の配合とは違います。
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白檀(びゃくだん)……とてもメジャーな香料。あんなに甘い香りがするとは思ってもみなかった。
菊花(きっか)……菊の花の粉末。少ししおれかけて紫がかってきた白菊の花びらを使うのだとか。
丁子(ちょうじ)……またの名をクローブ。スパイスにも使われる。
龍脳(りゅうのう)……またの名を樟脳(しょうのう)。箪笥に入れる虫よけのあれ。少量でも強く香るので入れるとしてもごく少量、もしくは全く入れない。
桂皮(けいひ)……厳密にはシナモンと違うけど広義のシナモン。
藿香(かっこう)……シソ科の植物。
カストリウム……ビーバーのフェロモン(!!)。液体。
炭粉(すみこ)……着火をよくするため、またカビ防止のため使用する。練香が黒いのはこの炭粉の色。無臭。十分に乾燥させると炭の臭いがなくなるのだそう。
蜜……粉を練り固めるため。
配合は先生秘なのでお教えできません、あしからず…。
動物性香料(今回はカストリウム)を入れると香りが「締まる」そうなので入れてみました(入れなくても良い)。カストリウム自体は、清涼感のあるすっきりさわやかな香りです。
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② 乳棒で混ぜ合わせる
まんべんなく混ぜ合わせていきます。
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③ 蜜を入れて混ぜ合わせる
写真撮り忘れた…。
粉を十分に混ぜ合わせたら、蜜を入れて固めていきます。
蜜を入れすぎると柔らかくなりすぎて丸まらなくなるので、様子を見ながら少量ずつ加えていきます。
イメージとして、柔らかめの真っ黒なクッキー生地が出来上がります。
④ 手で丸めて完成!
お団子を作るように、小さく手で丸めていきます。1cm大の大きさです。
市販の練香も手作業で丸めて作っているんだそう!機械じゃないんですね。
かなりしっとり。乾燥させずにこれで完成!
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菊花の練香完成!!
最初は白檀の香りが強いんですが、あとから菊のほのかな香りが漂ってきます。調合の分量によって香りは変化するので、この香りとも一期一会。
温めなくても十分に香りますが、電子香炉にのせてお手軽に香りを楽しめます。(電子香炉の良いところは、香炉に灰を入れて、火をつけた炭で灰を温めて、灰が温まったところで練香を灰に埋める…という手順をすっ飛ばせるところ)
混ぜて丸めるだけで、初めてでもとても簡単でした!
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練香の保存方法・取扱注意点
練香は乾燥させずに密閉容器などに入れて常温保存。冷蔵庫は×。冷蔵庫に入れると、カビ発生の原因になったりするそう。でももし、カビが生えた場合は、ティッシュで練香の表面を拭ってあげればOK。香りに影響はないとのこと。
ただし、練香が乾燥しすぎた時は、焚く前に水にさっとくぐらせて湿らせるとOK。
練香の使用期限
練香の使用期限はありません。香りがなくなるまで。
練香は直接火をつけて使用しないので、線香みたいに燃えて灰になったり、小さくなることもありません。だからエンドが分からない…。
ただ、香りはじわじわとなくなります。水で湿らせると香りが復活するので、それを何度か繰り返し、それでも全く香らなくなったらその練香はお役目終了です。
余談
ちなみに先生曰く「材料は全部生薬なので(それと炭と蜜)、練香を間違って食べても死なないですよ」って。そりゃそうか。
さいごに
まさか練香がこんなにしっとりしているなんて、ネットで調べている時は想像もしてなかったです。おかきみたいにカチカチなのかと思ってました…。百聞は一見に如かずとはまさにこのことだなぁと実感。体験しに行って良かった!
最初に先生に「お茶されるんですか?」と聞かれ、「いやしないです…物書きです…」みたいなやりとりがあったりもして、とても楽しい体験でした。
新しい世界を見させてもらいました。次は印香作りに挑戦したいです!
そして、さっそく電子香炉をネットでポチったので、香炉が届いたら、使用感とかここに追記します。