【ライブレポ&感想】amazarashi 「騒々しい無人 2024」東京ガーデンシアター 2024年11月12日(火)
はじめまして!拓海です。
amazarashiの騒々しい無人2024ツアーの東京ガーデンシアター公演に参加してきました。
今回のライブ、ちょっと凄すぎでしたよね。
今までのamazarashiのライブでは無かった空気感に圧倒されました…
セトリも珍しい曲がいくつかあって興奮しっぱなしでした。
その興奮が冷めないうちにライブレポート(的なもの)と感想を書いていきます。
ライブレポートはライブ直後(翌日まで)に書いたもになります。なるべくその時感じた事をそのまま残したい思いで書いているので、記憶違いがあるかもしれませんが、そういうものです。
ここに辿り着いた方が少しでも現地の空気を思い出したり、想像してもらえたら嬉しいです。
ライブレポート
アンチノミー
暗転した広いステージの中でマイクスタンドだけが照らされる。弾き語りライブ特有の静かな開演。光の中に秋田さんが入って来てギターの持ち方やマイクを調整して、特別な演出は何も無くアコギから音が鳴る。3つのコードをゆっくりとストロークしてから歌い始めたアンチノミー。背景には彩度が無い映像で、廃れた建造物に乗っかるように歌詞が現れては消えていく。余計な照明は無いため、つらつらと出てくる文字を移すプロジェクターの光の動きがよく見えた。
「生き延びて 生き延びて 息をするんだ」と叫ぶサビは、2023年の「騒々しい無人」のトリとして演奏された「アンチノミー」の生き延びて欲しいという願いのメッセージとは少し違って聞こえた。生き延びてライブに参加してきた人達に向けて、おかえりを言って貰えているような安心感を感じる優しい声に聞こえた。
エンディングテーマ
柔らかいアルペジオで穏やかな音が会場に広がる。歌い出して曲が分かり、虚をつかれた。ライブ2曲目に「エンディングテーマ」が来るとは。スクリーンには1フレーズ事に噛み締めるように歌詞が上から下へ流れながら現れていく。
「あなたが死んだら 流れ出すエンドロール 僕はきっと 脇役だろうな
少し寂しいけれどきっと それでいいんだ あなたが幸せだった 証拠だから」最後のサビでは参加者に向けて言葉を投げかけてくる。秋田さんから曲を通して届く「ありがとう」は胸が熱くなる。アウトロが流れる時にはすすり声が周囲からいくつも聞こえた。
リビングデッド
2曲が終わった段階で既に終盤の静けさの中、ステージ全体に薄く照明が照らされてMCが入る。
かつてはロック少年で、ストレートな歌詞を良く聞いていたが気分が落ち込んだ時は好きな曲も聞けなくなっていた。その思いから、amazarashiの曲はそういう時に聞けるものでありたいと、amazarashiのスタンスを示して次の曲が始まった。
力強い低音が響くイントロは大円満感の空気を一気に変えた。映像は無く、赤い照明が観客席側を向いていた。「おーおーおーおーお」という叫びは鬱屈とした気持ちを力にするamazarashiらしさ全開だった。ただ、2023年の「騒々しい無人」と同じ曲選で似たライブになるのかと少し不安になった。
ロストボーイズ
暗転をして静寂の中、優しさを感じるコード何度かストロークして歌い始まる。青とオレンジの柔らかい照明が暖かい雰囲気を増長していた。この曲も前回ライブと同じで更に不安になったが、Cメロを筆頭にアコギ1つでも強弱を付けて展開を作っており曲の良さを噛み締められた。
ワンルーム叙事詩
次のMCが入る。来年15周年となり何かをしたいという話と、青森から東京に出てきてデビューから1年たった頃を振り返る。当時のライブにamazarashiTシャツを着たファンを喫煙所にいる時に見つけてやる気になった。その時の気持ちで作った曲をやります。と言い、始まった「ワンルーム叙事詩」。
スクリーンには歌詞に沿って燃えているような文字が代わる代わる大きく映し出されていた。当時の強い気持ちが激しい映像に反映されている様だった。最後のサビの終わりには「焼け野原」の言葉が繰り返されるバージョンだった。やってやろうと言うデビュー時の話から「燃えろ、燃えろ」と歌う姿は東京という新しい世界に対して、強い決意と敵意を感じた。凄くかっこよかった。
ジュブナイル
続けてMCが入る。デビューから2~3年経って青森市に防音の無い一軒家に住んで作曲していた時に作った決意の曲と話して、聞き馴染みのある重厚なアルペジオが響く。
前回の騒々しい無人の1曲目と同じ入りだった。「物語は始まったばかりだ」という歌詞はMCにあったデビュー数年の決意の気持ちが伝わってきた。
そういう人になりたいぜ
ステージ上に青い照明が灯る。これまでと少し違い、静寂が長い。次の音をじっと待っていると、ピアノの音が聞こえてきた。豊川さんが加わって2人編成で曲が始まった。
サビでは豊川さんのコーラスも入り、2人の曲でライブの流れが変わった。秋田さんは後ろを向いて「君」に向かって歌っている場面もあった。
光、再考
過去を振り返るMCが続いた中で、ここでもMCが入る。デビュー前の代表作で何度もライブで演奏して飽きていたが、何故かこの曲を久しぶりにやりたくなったと話をして、秋田さんがアコギを弾く。そこに「ロストボーイズ」ツアーの「1.0」の入りでも流れていたあのピアノが加わった。
映像には白い点とそこから光が漏れているような抽象的な映像が映し出されていた。静かに語るような歌い方や、力強く叫ぶように歌ったり、曲の温度が次々に変わる展開は歌詞も良く伝わって来て迫力があった。繰り返される少し重たいピアノのメロディーがかっこいい。ずっと聞きたいと思っていたこの曲をようやくライブで聞けてよかった。
令和二年
またあの青い照明が灯り、フル編成になる事が分かった。2023年の「騒々しい無人」よりもかなり早い段階だ。後半戦導入時点でのフル編成をどの曲で迎えるのか意識を耳に寄せていると、軽快なピアノとウィンドチャイムのようなキラキラとしたサウンドが印象的なイントロを迎えた。
一瞬で懐かしい感情が掘り起こされた。心当たりを探るとコロナ期間だ。「令和二年」というある時期を象徴する曲をこのタイミングで持ってこられた。先の見えない時期に励ますための空元気的な明るさを持つこの曲が、楽しげではあるが切なさを感じる演奏でより良く聞こえた。この曲を聞けると考えた事が無くて驚いたし、アレンジがすごくハマっていて良かった。
パーフェクトライフ
フル編成での厚い演奏を浴びせられて会場の温度が少し上がった所に、ぽつりと雨が降り始める映像と共にピアノの音が鳴った。アルバムを締めくくるに相応しい、しっとりとしたメロディーが気持ちを落ち着かせる。その中で「どれだけあったら失敗じゃない?僕らの人生は」と歌われては胸が熱くなら無い訳がない。普段良く好きな曲で、イントロが流れた瞬間体に力が入った。同じ空間にいる秋田さんから直接この歌を聞く事で、人生の少しだけ前向きな捉え方が伝わってきた。
この街で生きている
感動的な「パーフェクトライフ」が終わり、終盤に向けて前のめりに次の曲を待ちながら始まった。家が並ぶ静かな街の風景に歌詞が流れていく。この曲もよく聞いていたから、すごく嬉しかった。
穴を掘っている
感動的な2曲が続いてほぼ満身創痍となり、ライブの終わり方を想像し始めていると、乾いた木を叩くようなドラムが4拍子を刻む音が響いた。それに合わせその他の楽器も次の曲に入るための演奏をする。その雰囲気は少し異様で森に囲まれた民族音楽が想像された。2分程度演奏が続き、どんな明るい曲が来るのかと考えていながら聞こえたのは、暗く重い「穴を掘っている」のイントロ。ただし、演奏はピアノだけではなくドラムや他の楽器の音も混ざっており、暗いだけでは無く怪しさも含んだ雰囲気だった。虚無的な歌詞も1人絶望しているのではなく、こちらに問いかけ、引きずり込もうとしてくるような不思議な圧を感じた。イントロから元の曲が持つ雰囲気とのアンバランスさを感じてゾクゾクが止まらなかった。サビでさらに強くなる空気は恐ろしさまで感じた。そして、Cメロの終わりで1度静かになった後、演奏がさらに厚くなり、最後のサビに向かって盛り上がり、音が消えた。虚をつかれて会場の空気が固まった。息が詰まるような時間に拍手が漏れだす。それをあざ笑うかのように這い寄りながら演奏が帰ってくる。
「人生そんなもんなのかもね 諦めは早けりゃ早い方がいい
さもなきゃ 馬鹿な人間になってしまうぜ
その後に及んで諦めの悪い人間に
諦めの悪い人間になってしまうぜ」問いただされるように歌い曲が終わった。圧巻だった。こんなアレンジで魅せる方法があるのかと驚き、強く拍手をしていた。
吐きそうだ
拍手が鳴り止まぬまま、雨漏りが鉄琴に落ちるようなピアノイントロが酩酊する世界に連れていく。歌い出しの「生きる意味は何だ」という言葉が3行にならんでスクリーンに収まらない形で一瞬映し出される。「穴を掘っている」で不気味な虚無に引き込んで、そのまま生きる意味を問われてしまった。向こう側の世界に引きずり込まれ、人生観を問われる展開にもう心が追いつかず、降伏の気持ちで口角が少し上がっていた。最初のサビの入りで秋田さんの力が入り過ぎていたのか歌い損ねていた。ただ、そのミスすらも「生きる意味は何だ」というメッセージが強調されて良いなと感じてしまった。大好きな曲をものすごい流れで見せてもらってしまった。
まっさら
前2曲でめちゃめちゃにされた情緒に、答え合わせをしてくれるように優しいアルペジオから曲が始まった。星空と山が並ぶ地平線に歌詞が右端から縦に並んでいく映像は気持ちを落ち着かせてくれた。「白紙に戻れない僕らだから」と燃やしたかった過去を消せないものとして受け入れ、それを塗りつぶすように未来に希望を持つ歌詞はこのライブの答えに聞こえた。
夕立旅立ち
フル編成になって堂々たる完璧な流れを演奏されて熱い賞賛がもう送られてしまいそうな雰囲気の中てMCに入る。
残り2曲で終わる事を伝え、次に最近なぜかか好きな曲で「夕立旅立ち」と言い、光量が圧倒的に多く会場がオレンジに照らされながら爆音でイントロが流れた。
別れの歌でありながら未来に光を見ながら楽しそうに演奏していた。最後の曲終わりには秋田さんは後ろのサポートメンバー達と向かい合い、音楽を楽しむ姿が見えた。
どうなったって
盛り上がりの「夕立旅立ち」が終わって秋田さん以外ステージから居なくなり、最後のMCが入る。
ライブをやっていると、演奏や演出が合わさって気持ちが昂る瞬間があり、その瞬間のために音楽をやっているかもしれない、その事を書いた曲を最後にやると言った。
先程までの賑やかさは無くなり、久しぶりに感じる1人のアコギで曲が始まる。どうなったって、まぁいいか、と諦めのように見える言葉だが、未来を生きることを明確に示しており、ここまでの人生をやり切って、あとは出来ることをやれれば良い、という心情を感じた。曲はこれまでのamazarashiと少し目線が変わったように感じた。漠然と未来を肯定しているような姿勢に自分は元気を貰った気がする。
■エンドロール
秋田さんが退場をして拍手が溢れる中、突如映像が流れ始めた。
電子音が流れて来た後に秋田さんの語りのような声が聞こえてきた。
それは聞いた事のないリズムで紡がれていた。
映像には「新言語秩序」で見覚えのある文字が入っていた。
その映像から何かを察した人達から拍手や歓声があがる。
曲の最後には次のツアーを発表する文字が大きく映し出され、この日一番の歓声に会場が満たされてライブ終了のアナウンスが響いた。
感想
いやーーー最高でしたね!!!
最初から最後まで見どころ満載で満足感いっぱいで1人大きな足取りで帰りましたよ!
声に出して誰かと交換したかった感想が頭の中で渋滞しまくってました。
エンディングテーマから涙腺弱まったこととか、ワンルーム叙事詩のかっこよさとか、初めて聞けた光、再考の良さとか、フル編成になったあとの意外な選曲とか、やばすぎるアレンジとか、まっさらと新曲のメッセージ性が良かったこととか。
それぞれの曲の事もですし、今回のMCは敬語じゃなくなる時があって距離感の違いがよかったとか、キラキラとかドンドンとか秋田さんが可愛らしい擬音使うんだ!いいなってなったとか、そういう人になりたいぜくらいから曲のテンポ早くなってなかった?気のせい?とか。
初めて参加したボイコットツアー青森公演からずっと1人参加でしたが、一番誰かに話したかったライブになっていました。
だいたいのライブ後は感想がいっぱい浮かぶので急いでメモを残しているのですが、せっかくなので今回は少し形式を整えて発信してみました。
まだまだ書きたい事があるのでもう少し続きます。
ライブレポートを読んでいただき伝わったかと思いますが「穴を掘っている」「吐きそうだ」の2曲に最も気持ちを揺さぶられました。
ストーリーや映像は無い、ただのライブ終盤の2曲を音楽のアレンジだけでここまでも引き込む事ができる事にamazarashiの作るエンタメの幅に驚きですね。
これからもこういった音楽での魅せ方をライブで見てみたいと思いました。
その他の曲では「エンディングテーマ」にはかなり驚きました。
2曲目というタイミングもですし、ラスサビの歌詞があんなにも胸に来るものだとは思っていませんでした。
多くの方が目頭を熱くしたはず。
他には、まっさら〜どうなったって の3曲とその間のMCから秋田さんの人生観の変化を強く感じました。
これまでは過去に対して、燃えろと言って無くしたがっていたり、ざまあみろと敵対視していたりと抵抗するような姿勢を見せている印象でしたが、
この辺りの曲では、過去は消せない事を受け入れ(諦め?)、どうなるかは分からないが何とかなるという未来に対する楽観視が感じられました。
だから細々と未来を描いているのかと思ったら、エンドロールでは新曲&ライブ発表とエネルギーに満ち溢れた未来を見せてくれたところには、楽観的ではありながらもやりたい事をやれるだけ姿勢を感じました。
なのでライブ終了後にはamazarashiが持っていた空気が少し変わったように感じました。
これにはもしかしたら賛否両論あるかもしれませんが、自分は過去を背負いながらも前向きなamazarashiが楽しみになっています。
今回のライブレポート&感想は以上になります。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!