MS、Teamsセット売撤回
米マイクロソフトが業務ソフト「マイクロソフト365」と会議アプリの「Teams(チームズ)」のセット販売を世界で取りやめる。各国の規制当局が巨大企業によるソフトの過度な抱き合わせ販売に目を光らせる中、独占批判に先手を打った形とのこと。
要約文
マイクロソフトは、独占批判を避けるために、業務ソフト「マイクロソフト365」と会議アプリ「Teams」のセット販売を世界中で取りやめることにしました。この決定は、スラックからの苦情と欧州委員会の調査が直接的なきっかけであり、規制当局が大企業による過度な抱き合わせ販売を問題視している中での先手策です。マイクロソフトは、EUから広がる厳格な規制を警戒し、今後のAIを用いたソフト連携に影響を与える可能性も懸念しています。同社は、以前のOS「ウィンドウズ」の抱き合わせ販売に関する問題から学び、規制当局との対立を避けながら、AIやクラウドサービスを通じて業務の利便性を高める戦略を進めています。
EU、Appleなど米3社を調査
欧州連合(EU)の欧州委員会は、デジタル市場法(DMA)に基づき、アルファベット、アップル、メタの3社に対する調査を開始しました。この法律は自社商品やサービスの優遇、抱き合わせ販売、個人データの不正利用を禁止し、違反した企業には売上の最大10%、再犯時には最大20%の制裁金を課します。調査はアプリ配信の囲い込み、自社サービスの優先表示、広告目的でのデータ収集などの点を中心に行われ、1年以内に終了する予定です。この動きは、デジタル市場の寡占に対する欧米当局の監視強化の一環です。
デジタル寡占抑止へ「超独禁法」
欧州連合(EU)は、デジタル市場における寡占を抑制するため「デジタル市場法(DMA)」を全面適用しました。この新規制は、特に米国の大手IT企業を対象に、自社製品やサービスの優遇、抱き合わせ販売、個人データの不正利用などを禁止します。DMAは従来の独禁法による規制が困難だったデジタルサービスの特性を考慮し、より厳しい規制と大きな裁量を当局に与えることで、大手IT企業の市場支配を縛ることを目的としています。違反企業には売上の最大20%に相当する制裁金が課せられます。この動きは、データ寡占に対するEUの強い危機感から生まれ、世界的なIT規制の先駆けとなる可能性があります。
感想
マイクロソフトがTeamsの抱き合わせ販売を中止すると発表しましたが、この変更がユーザーに与える影響は限定的だと考えられます。既にTeamsを利用しているユーザーはこのツールに慣れ親しんでおり、Slackなど他のコミュニケーションツールへ移行する可能性は低いでしょう。さらに、抱き合わせ販売を止めるとしても、マイクロソフトは恐らくパッケージ購入による割引など、他の魅力的な料金設定を提案するはずです。
EUによるデジタル市場の寡占に対する取り組みは賞賛に値します。データの集中化とその利用による市場支配は、競争を阻害しイノベーションを妨げる可能性があります。日本も、米国に過度に配慮することなく、巨大IT企業に対する規制を強化する方向に進むべきです。世界的なデジタル経済の健全な発展を支えるため、公平な競争環境の確保は必須であり、こうした規制の動きはその一助となりうるでしょう。