ケーキ:続編(短編小説)
白河莉央と佐伯光の物語の1作目はこちら↓
夕方、玲奈は莉央の部屋にいた。
「ケーキ買ってくるなんて珍しいね。
ちょうど甘いものが食べたいって思ってたところだったの。」
「そう?よかった。」
いつものたわいないやりとりを交わしながら、莉央はショートケーキを頬張った。
大好きな苺は先に食べる派なので、迷わず口に運ぶ。
生クリームに覆われたスポンジを見つめた。
「なんかこのケーキ、わたしみたい。
苺のないショートケーキ。
象徴っていうものがなくて。」
玲奈が手を止めてちょっと考える。
「たしかにそういうのを持ってる人って格好いいよね。けどさ、私はチーズケーキも好き。苺があればいいってものじゃないのかも。」
それまでモヤモヤしていた気持ちがスッと晴れていく。
やっぱり友達と甘いものは偉大だ。