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ドでかい一発
こんにちは!
紅林、太田、中川、来田、ラオウ、頓宮…“手のかかる子ほど可愛い”オリックス野手陣へのラブレター
5月24日の楽天戦。あの絶対的守護神・松井裕樹から紅林「ベニ」弘太郎がドでかい一発をかましてくれた。
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9回裏1アウト一塁からまさかの劇的サヨナラ2ラン。全国のオリックスファンにとって最高の夜になったし、中嶋監督の愛のヘッドロックでお酒が3杯は飲めるってもんだ。
しかし本来、今年の紅林にかかる期待はこんなものではなかったはずなのだ。それは中嶋監督もファンも一緒だろう。
3歩進んで2歩下がるオリックスの野手陣
2021年、高卒2年目で中嶋監督に遊撃のレギュラーへ抜擢され136試合473打席102安打で打率.228、10本塁打、48打点。これはレギュラー1年目としては十分すぎる数字だ。来年は最低でも打率.250、20本、60打点はやってくれるだろうと多くのファンが期待したことは間違いない。
だが2022年、チームは悲願の日本一を達成したものの紅林は130試合495打席101安打で打率.224、6本、32打点。四球や三振などの数字は大幅に改善したものの「足踏み」したと表現せざるを得ない一年となった。そして本人もファンも「今年こそ」の思いが強かった2023年だったが極度のスランプでまさかの開幕二軍スタート。
中嶋監督曰く「(成長が)バーンって来るのかと思ったけど超スローペースで来るし、なかなか我慢が必要な選手でございます」とのコメントが当てはまるのは、思えばこの紅林だけではない。オリックス期待の若手野手はほぼ全員そうだ。太田椋、来田涼斗、元謙太、頓宮裕真、さらに言えば中堅の中川圭太、宗佑磨、杉本「ラオウ」裕太郎だってそうだった。みんな大きな期待を背負いながらも3歩進んでは2歩下がるを繰り返し、なかなか「不動のレギュラー」になれなかった。ここ10年で唯一の例外は吉田正尚くらいだが彼だって初めの2年間は腰痛でまともに試合に出られなかった。
中嶋監督の言う「バーンって来る」選手は他球団には結構いる。オリックス・近鉄・阪急にも過去には数多くいた。イチローを筆頭に、藤井康雄、松永浩美、谷佳知、大石大二郎、中村紀洋、石井浩郎などなど。入団時の年齢により300打席以上打席に立つレギュラー獲得までの年数にバラつきはあるが、一度レギュラーを奪い取ったらすごい勢いで活躍する選手は枚挙にいとまがない。
さらに言えば、今のオリックスでも投手陣にはいるのだ。山本由伸を筆頭に宮城大弥、平野佳寿、そして今年「バーンって来てる」真っ最中の山下舜平大。
しかしなぜか野手には一人も出てこない。みんなとっても「手がかかる」。ゆえに中嶋監督は大変だ。強いスイングの選手を好む中嶋監督は期待する選手を本当に粘り強く起用する。だが、今のオリックス野手陣はほぼ全員がそのチャンスに一発回答できない。それどころか二発三発、もしかしたら十発でも答えられない。なんとも歯痒い。でも僕はそんなオリックス野手陣が可愛くて仕方がない。
自信に満ちたフルスイングになった中川
たとえば中川圭太。
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大卒で入団した彼は1年目の2019年から111試合396打席を与えられ105安打で打率.288、3本、32打点。交流戦首位打者も獲得し一躍レギュラー格にのしあがった。
だが2020年は極度のスランプに陥り二軍では大活躍するも一軍ではサッパリ。8月から監督代行に就任した中嶋監督に「二軍で無敵の中川を見てきたから」の名台詞と共にクリーンナップを任されるも45試合155打席でわずか21安打で打率.146、2本、13打点という無惨な成績に終わった。翌年も大きな期待を背負ったが61試合169打席を与えられ33安打。打率.212、1本、7打点。この2年間は当てにいく中途半端なスイングでポップフライ、内野ゴロが目立っていた。
しかし2022年、中川は大きな進化を遂げる。110試合468打席120安打、打率.283、8本、51打点。前半戦から好調を維持していたが特筆すべきは後半戦。8月末以降の28試合で6本塁打をかっ飛ばし、これまでとは別人のような強力なフルスイングをするバッターへと進化していた。
過去2年間苦しみ抜いた姿を見てきた中川ファンにとってこの2022年の10月15日ファイナルステージ第4戦での劇的サヨナラタイムリー、そして中嶋監督とのあの抱擁シーンは涙無くしては見られない名シーンだと思う。そして2023年に入っても中川の自信に満ちたフルスイングは変わらない。46試合198打席で6本塁打、20打点。自身初の2桁本塁打どころか20本塁打も狙えるペースだ。僕たちは今、ついに不動のレギュラーになった中川圭太の姿を見ているのだと思う。
確かにオリックス若手野手陣の成長は超スローペースだ。バーンと来ない。大きな怪我も多すぎる。でも日本プロ野球史に残る名将・中嶋監督に見守られ、今日も七転八倒しながら3歩進んでは2歩下がる姿を僕らに見せてくれている。全然エリートっぽくないしガッカリするプレーも多い。でもいつか大輪の花を咲かせてくれるはずなのだ。その過程を全て見届けたい。そう思えば無死満塁で初球を投ゴロゲッツー打ってもなんとか耐えられる。
昔の人は良く言ったものです。「手がかかる子ほど可愛い」と。
最後まで読んでいただきありがとうございました。