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細かすぎる赤紫離宮解説Part1(イジンデン3弾環境)

初めまして。ダイバーのやはぎ (X: @yahagi_ijinden)と申します。
本記事では「赤紫離宮」なるデッキの強み・弱みを、メタゲームを踏まえて紹介します。ちなみにPart1では赤紫離宮の話はしません。

赤紫離宮を取り巻く環境

現在2024年10月末、今冬に新弾が発売されることも告知され、イジンデン第3弾は環境の変動にひと段落がついているところです。
デッキの紹介に入る前に、まずはその環境をさらっていきます。

私は普段、秋葉原で開催されるカードショップアジト、グラパン(てるてるさん個人主催)、RSトーナメント(しふくさん個人主催)、加えて川越イジン会などの大会に参加しています。グラパンを除き、これらの大会はオプションルール・マッチ戦を用いた、いわゆるBO3形式となっています。本記事で使われる「環境」という言葉は、秋葉原におけるBO3のゲームを指していることにご留意ください。ちなみに川越イジン会に参加する方々は秋葉原の大会にも時折参加されるため、プレイヤーの一部が共通しており、情報もよく共有されています。地理的には約35km離れている2つの地域ですが、イジンデン的には真となりなので、ひっくるめます。

他の方が書いた環境全体の変遷や、デッキ分布についての記事がありますので、ご興味ある方はご覧ください。

Tier1は何か

私の考える、3弾における秋葉原・BO3のTier1は以下の3つのデッキ群です。異論はドシドシ認めます。

  • 赤紫決起LO

  • スカーレット執筆LO

  • 青黄コントロール徴募

このうち、使用者数で言えば青黄徴募は圧倒的です。他方、決起LO、執筆LOはシェア率が低めですが、この二つもTier1の強さを持つ構築だと言えます。

そしてこれらの下の階層に、ビート徴募やオブシ闘技場など円形闘技場をフルで積んだデッキ、納言ロック、義政大河、ボードコントロール系、除去ビート系などなどが続くと考えています。

Tier2以下のデッキの紹介と、それらがメタゲームにおいてなぜその位置なのか、、、これは筆者のキャパ的に別の機会に回すとして、次にTier1の構築について超ざっっっくり紹介したいと思います。


※諸注意
取り上げるデッキ3つとも、対戦経験やひとり回しの所感と、使用者から聞いたことから理解しているのみで、実際に自分が握っているわけではない門外漢なのであしからず。
あと、どれも赤紫離宮を握る側からの視点を中心に紹介するので、赤紫離宮に絡まない部分は、はしょったりはしょらなかったりします。


赤紫決起LO

※添付ポストはBO1のものです

石田三成の盤面展開力&ドロー力で必要パーツを集めたながら、相手の山札を削るマホウを使いまわして相手のLO(ライブラリーアウト。山札切れで負けること)を狙うデッキ。キーワード能力・決起の条件やコスト付きのマホウを多用することから、必然的にマリョク過多系構成になります。

愛馬との撮影に応じるも、バースト連射の中で顔にピントが合った写真がこれだけだったため、馬のお尻とのツーショットをプロフィールに設定されてしまったお茶目なイジン。

アーキタイプ(構築の分類)で言えばコンボやソリティアと呼ばれるものになります。TCG用語に馴染みのない方は「とにかく自分の山札を掘っていって、このカードが揃ったら勝ち」的なイメージを持ってもらえば大丈夫です。この辺の分類は、けっこう曖昧に語ってます。

カードゲームのセオリーとして、ビートダウンはコントロールに、コントロールはコンボに、コンボはビートダウンに強いというアーキタイプ同士の三すくみ相性がありまして、イジンデンもなんとなくその様相を呈しています。

赤紫決起をはじめとするコンボデッキは、相手を殴り続けて順当に勝ちを狙うビートダウンに、めっぽう強いです。
イジンデンの特徴的なシステムの一つ、偉業能力。この存在によって、殴ることは相手に有利となるリソースを与える裏目を常に抱えています。たかが1ドロー、たかが一枚の復元と思えるものの、コンボにとっては非常に大きなアドバンテージになります。能動的に得ることを計算していないリソースが加わった返しのターンで、回しきれちゃうことが多いです。ビートvsコンボの対面では、ほぼ間違いなくコンボに軍配が上がると考えています。

さらに添付した土方LOと呼ばれるデッキはキルターンとなる3ターン目を迎えるまではイジンを出さないことが基本的な動きとなっています。現在の純正ビートデッキは相手イジンを除去したうえでガーディアンを削るプランが主流ですが、対象となるイジンが出てこない(=出るターンにはほぼ負ける)ので、デッキの約8~12枚を占める除去カードが使いどころのない腐った札になることも、ビート側が辛い要因です。


では反対に、コンボ系デッキ全般に言える弱点は何か。以下の3点が挙げられます。

  1. 細かく殴ることはせず、1つのターンの間で一気に攻められること

  2. 動きを制限する妨害能力を持ったメタカードを貼られること

  3. ハンデスで初動のキーカードやリーサルに必要なパーツを落とされること

まあどれも、コンボ以外のどのデッキでも嫌なことしか言ってないんですが、コンボ対策の指針として必ず押さえなければいけないことは確かです。

1. について、これはいわゆるワンショットというリーサルのパターン(勝ち方)です。相手の戦略を捌ききって勝つコントロール系や、コンボ系のゲームの〆として用いられます。細かく殴ることで与えるリソースも、ワンショットなら発生しません。
代表的なカードは円形闘技場です。円形と対する時には、1ターン目からイジンを着実に並べていくこと、イジンの除去やアタックを積極的に仕掛けて円形着地時の打点を減らしておくことなどが大事です。
こと土方LOに関しては1~2ターン目にイジンを置かないメインデッキとなっており不利です。サイドから除去イジンや対円形メタカードを、メインの動きを阻害しない範疇で入れ替えて戦うことになります。

イジンデンに興味を持ってくれた友人に「最強カードは?」と聞かれ真っ先に名を挙げた一枚。「人じゃなくて建物が最強なの…?」と言われた。布教には成功。

2. のメタカードに関しては、デッキを動かす第一歩目を乱す性能を持ったカードが何種類かあるため、1. 同様にサイドから除去カードを入れることが必要になってきます。
幸い、土方LOは汎用除去マホウのメロウがリーサルパーツとしてメインから組み込まれており、かつサイドからの除去札を増量させるための入れ替え枠を無理くりこじ空けることもできるっちゃできます。山札を掘り進めるルートの始まりを土方歳三+サモンにするといったプレイングにも活路があるので、メタカードを貼られることが即ゲームエンドにはなりません。

チップ(戦場に置かれたとき)効果の強いカードが、遺業能力でトップに戻れるのは、さすがのSR。

3. のハンデスに関しては、コンボ系デッキが最も困るアクションです。1枚1枚が重要なカードばかりで40枚を敷き詰めているので、相手の手札を覗き見て対象を選ぶピーピングハンデスをかませるメアリー1世はかなり厄介な女です。

中高の各体育祭で副組頭を務めていそうな、良い顔をしている

しかし土方LOの最も優秀な点として、ハンデス受けが良いことが挙げられます。採用札のうち、イジン・藤原道長はマホウを、マホウ・コーザリティはイジンを墓地から回収することができるため、リカバリーが容易です。また、ハンデスでは触ることのできないターン開始時のドローで得たカード1枚から回り始めることもあり、高いトップ解決力(山札の上から引いたカードで何とかできる力)があります。
土方LOに対するハンデスが効果的になる場面は、他のコンボに比べて高い要求値になるのです。


以上、土方LOを中心に、赤紫決起LOというデッキの強みを紹介しました。
土方LOの派生形として、天草四郎とロイヤリティを厚く採用した型が存在します。天草型は土方LOと異なり無限ループを証明できる構成になっていて、ループ証明の手順を解説した記事がありますので、そちらも貼っておきます。


お次はスカーレット執筆LOです。
決起にだいぶ紙幅(電子)を割いたので、執筆はサクサクいきたいですね。

スカーレット執筆LO

大量のハイケイを、相性の良いマホウ・スカーレットにより自ら破壊することで様々な効果を発揮し、盤面と必要パーツをそろえてLO勝ちを狙うガチガチのコンボデッキです。同じくコンボ系の赤紫決起LOと比べて、増してキーパーツでギチギチに埋め尽くされています。デッキ製作の中心となった方のお名前から、なちなちLOと呼ばれることもあります。これは〜チ〜チが多い文章です。

対象を自分にも相手にも取れるこのようなテキストはデッキのコンセプトとして採用しやすい

コンボのアーキタイプと言うことで、ビートダウン側は勝ちにくい構築ですが、赤紫決起LOと異なり何かしらのカードがリーサルターン前に出てくるので、そこに除去を当てることでつけ入る隙はあるとも言えます。ただし、盤面ゼロからでも余裕でブン回ってくるので、ビート側が不利なことは間違いないです。

ハイケイに反応するキーワード能力・執筆を用いた緑主軸のデッキは第1弾のころから連綿と続きますが、採用カードの遷移によってそのアーキタイプごと変化してきました。執筆軸の構築は最低10枚からのハイケイを積むハイケイ過多系の構成であることは共通していますが、スカーレット執筆LOはその中でも群を抜いてハイケイの数が多いです。

特筆すべきはレベル2緑のハイケイ・仁王の採用。リーサル盤面に必要な札ではなく、山の掘削作業をアシストする役割があり、スカーレットを用いたプランだからこそ積めるカードです。
スカーレット搭載以前の執筆軸の代表格デッキ・納言ロックは、理想の初動となる手札の組み合わせ<緑マリョク、ストウ、巨大古墳>を初期手札として引くのに若干のハードルがありましたが、仁王の採用によりレベル2緑ハイケイが7、8枚体制となったことで、理想的なキープ基準のマリガン(手札の引き直し)が少し楽になりました。

「数える」能力とは、「○○1つ/1体につき~~する」と書かれた能力のことです

さらに、ドローの基盤となる三層の舎利殿とスカーレットがレベル3であり、スカーレットで破壊したハイケイの遺業能力・魔力化によって魔力コストも継続して支払えることから、1ターン目に必ずしも巨大古墳を置く必要が無いことも、従来の執筆軸と比べた時の強みです。

また、2弾までの納言ロックは盤面を固めてもフィニッシュには至らず、ターンを返さざるを得ない状況がよくありました。薄くなった山札でターンを返すことは、山札破壊のバリエーションがある紫の登場によって、危険な行動になってしまったため、回しきったターンでリーサルを決められることも、この構築のエライところです。リーサル手段もLOであることから、先手後手の違いによる相手とのイジンの数の差に勝敗が左右されることもありません。
総じて、スカーレットLOは2ターン目にリーサルを取れる可能性が最も高いデッキだと評価しています。


ではこちらも、コンボの3つの弱点に対してどのような調整がなされているかを見ていきます。

1. ワンショットに関しては、円形闘技場の最有力メタ札と言えるハリエット・ビーチャー・ストウが初動イジンであることから、メインから既に対策が済んでいると言えます。円形を置かれたターンは止められても、その次の相手ターンに面差で負けるということはママありますが、スカーレットLOにおいては1ターン返ってくることでそのまま回し切ったり、スカーレットで円形を除去して凌ぐことができたりするので問題ありません。

右手のペンは止めずに、左手で外の小雨の具合を確認する器用なイジン

先に3. のピーハンに関して言うと、こちらも他のコンボと比べてまだ戦えるようになっています。理由は、ハイケイ・マホウともに最大レベル5までのカードしか採用しておらず、即プレイアブルなカードたちばかりであるため、ピーハンで抜かれる前にプレイしやすいからです。イジンやマリョクにもリーサルパーツがあるデッキではありますが、イジンはハイケイ・志士の藩校の偉業能力・木霊で回収することができ、メアリー1世のピーハンでマリョクを対象に取ることはできないため、そこまで怯える必要がないと感じています。
また、赤紫決起LOほどではないですが、トップ解決力も一定程度有しています。

問題は2. メタカードです。スカーレットLOはメインデッキが必要パーツで敷き詰められているため、イジンを除去するカードをサイドから厚く持ってくるための自由枠が乏しいのです。
ストウのドローに反応して手札を捨てさせる徳川慶喜や、条件達成で執筆を封じるジャン・カルヴァンなど、初動を潰されるイジンを、相手はサイドから投入してきます。これらを除去できないと割と致命的です。
まあ、相手もその分メタイジンを厚く用意して、かつ初期手札にしっかり引き込まないといけない要求の厳しさはありますし、紫単のようにカラー的に除去札を積めないわけではないので、今後の発展に期待する部分でもあります。


さて、執筆の紹介も、案の定タラタラと書き連ねた駄文となってしまいました。
デッキ使用者がカードの採用理由やリーサルの手順をまとめられた資料が有りますので、添付しておきます。

https://drive.google.com/file/d/1yKkFzR1eJkhxGqjo18UyGhsvoVufEKcZ/view?usp=sharing


最後に紹介するデッキは青黄コントロール徴募です。

青黄コントロール徴募

青黄コントロール徴募を使用して最強ダイバー決定戦を準優勝された方が、フェス時点での解説記事を出しています。まずはこちらをご覧ください。

以上です。


・・・とか言いつつ、語りたい性分なので、かいつまんで説明させてください。

青黄コントロール徴募は端的に申しますと、メアリー1世のピーハン、範囲の広い除去札・メロウを使い回し、相手を捌ききってロングゲームに持ち込むことが基本となるコントロール構築になります。

青には各対面に効くメタ札が潤沢に刷られており、徴募の自戒ギミックはそれらを起動役の青イジンと入れ替える余裕があるため、サイドから適切な対策を取ることができます。ギミックの安定性と自由枠の多さが最大の売りと言えます。
赤紫決起LO、スカーレット執筆LOの弱みで紹介したようなカードを採用できるため、他のTier1構築を含め、ありとあらゆる対面で五分以上に戦えます。BO3でのシェア率の高さもうなづける、優秀な構築です。

もちろん、明確な弱点も存在しています。それは起動役の青イジンを除去され、返しのターンでそもそも徴募を発動させてもらえないことです。
また、青黄徴募にアタックをしかけた結果与えるリソースは、コンボと比べてそれほど脅威にはならないため、青黄徴募側の防御体制が整わないうちに早々に殴っていくことが理想です。
現環境のビートダウンは除去って殴る形が多いため、青黄徴募に対して除去ビートは良い勝負ができます。
しかしそこは流石の青黄徴募で、対策となる除去にもビートにも回答を用意できる構成になっているため、マッチアップした時点で勝敗が決するほどの相性差ではありません。


いよいよ赤紫離宮解説!

以上、私の考える秋葉原BO3のTier1構築を3つ紹介しました。内訳はコンボ2種とコントロールで、コンボ側のブン回り性能に対してコントロール側が対策をとり、均衡を保っている状況と認識しています。
このうち、三すくみの一部ビートダウンはTier1の中に含まれていません。ビート側からの有利不利をまとめると、コントロールとは勝負ができる(必勝とは言っていない)、コンボにはまず勝てない、といった相性になっています。
そしてシェア率も考慮して、ビートダウン構築をメタゲームに食い込ませるとなると、青黄徴募と戦える構成を維持しつつ、コンボとも戦える仕掛けを用意する必要があります。
そのような状況下で生まれたデッキが赤紫離宮になります。

ではいよいよ!実際に赤紫離宮の構築を紹介していきたい・・・ところなんですが、デッキを語るうえでどうしても押さえておきたかった環境分析が思ったより長くなってしまったので、パートを分けたいと思います。タイトル詐欺になりましたすみません。
ご興味をもっていただけた方は、ぜひ次の記事も読んでいただけると嬉しいです。ありがとうございました!

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