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来るのかパラツイングッツィ


Vツインじゃないグッツィ

モトグッツィといえば、空冷のVツイン…………

はいはいわかったわかった知ってるってば。

と、話をぶった切っても良さそうなぐらい、どこでもかしこでも使い倒された過ぎた導入文句。今ではもう水冷のVツインもしっかり日本上陸を果たしたので、空冷云々の言い出しはちょっとヒネってやらないとダメかも。

2024年現在、新車で買えるのはスモールブロック(空冷)とコンパクトブロック(水冷)のみ
もちろん中古ならビッグブロック(空冷)も健在

それにしてもモトグッツィといえば縦置きVツインだよね!というのは個性や伝統であり、ある種の呪縛でさえある。あまり日本において”縦置きVツインの原理主義者”というのは見かけないが
スバル好きに代表される熱狂的なスバリストの一部は、熱変形により厄介な水平対向原理主義者になる。ソレでなければソレではない。という様な、信仰心がとても強く平たく言うとめんどくせぇ客だ。いや、一部は新車で買ってくれないので客と見做すかどうか有識者会議が必要かもしれないが、あんまり言いすぎると夜道でEJ20の腰下が飛んできて、背骨を折られかねないのでこの辺でやめておこう。

このくだりは筆者では無くて、どっかの政治家が言ってました。EJ20の腰下ストライク決めるなら永田町に持って行って下さい。筆者はそんなスバリストがめんどくさいだなんて、カッシーニの間隙ほども思ってないです。お願いします。

A環とB環の隙間はなんと幅約4,800 km!大きいね!
画像出典:NASA

実のところ、モトグッツィはVツインばかりという訳ではない。戦前はもちろん単気筒モデルが主力だったし、戦後も1967年のV7以降であっても細々と"Vツインじゃないグッツィ"は存在し続けた。

そして、この2024年早々、アプリリアの開発車両か?としながらももしかしてグッツィとして扱われるんじゃないかと噂されるモデルのスパイショットが報じられている。
複数の海外オートバイニュース媒体がこれらのスパイショットに関する記事をアップしていて、Cycle Worldの該当記事がGoogleで真っ先に出てくる。原文を確認したい諸兄はそちらも参照されたい。

今現在噂の標的となっている開発車両、各部にグッツィっぽさが漂う
写真出典:Bernhard M. Hohne/BMH-Images

アプリリアがこのほど発表したばかりの457㏄パラツインを搭載するRS457、そのエンジンを搭載しつつも、まさかのグッツィ?と想起させるネオクラシックモデルっぽいことは上記の画像を見てもらうと一目瞭然だ。
そのため、Cycle Worldをはじめ、色々なニュース媒体でその存在が噂になっており、にわかにパラツイングッツィが出るんじゃないか?みたいな話になっている。

そういえばV850 X別の開発車両どこいった?

というわけで今回は、その噂のパラツイングッツィに関して、過去の非Vツイングッツィを振り返りつつ、筆者なりに妄想と憶測と推測を広げて行こうと思う。妄想ですよ妄想。筆者の考えた多分こうじゃないかな。ですよ。大事な事なので二回言いますからね。妄想ですよ妄想。

※開発車両に関する内容はあくまで筆者による勝手な推測であり
なんらピアッジオグループの新車開発情報に関して
正確な内容を担保するものではありません。ご留意下さい。


いくつかの非Vツイン車種

まず、噂のパラツイングッツィに迫る前に、過去のVツインじゃないグッツィ達をいくつか振り返っておきたい。
戦前モデルについては、Vツインではないことが当たり前なので、ここでは戦後の特にV7(1967)ともタイムラインが近い若しくは重なるいくつかのモデルを改めて見ていこうと思う。

【ロドラ】1956~1966

写真は1960年式のロドラGT、単気筒235㏄のエンジンを搭載
写真出典:Nick Cedar

ロドラは1956年に登場し、その立ち位置はスポーティーな足バイク、50年代の戦後復興に取り組むイタリア国内向けのモデルだ。信頼性が重視され小排気量エンジンは経済性を謳ったもの。しかしながら、本モデルは非常に素性がよく1958年にはグッツィ本体のワークスチームによって"ロドラレゴレッタ"としてインターナショナル・トライアルレース(ISDT)で活躍を見せ、オフロードに対する高い適応力があり好成績を連発した。
特徴的な45度に傾斜し搭載されたエンジンについて、当時の"熱心な原理主義者"らが「これはグッツィではない」なんて文句を投げつけたそうで
それまでグッツィの高性能モデルや競技向けモデルは水平単気筒がメインだったためそんなやっかみが飛んできたのだと思われる。
因みにロドラは創業者であるカルロ・グッツィが携わった最後の1台。彼は1964年の退職後、すぐにこの世を去ってしまったため、今ではコレクターズモデルという側面も持ち合わせている。

【ヌォーヴォ ファルコーネ】1967~1976

写真は1973年式のヌォーヴォファルコーネ500、セールス的にはあまり成功しなかった
写真出典:Agorauto.com

ヌォーヴォ・ファルコーネはそれまでのファルコーネを一新したモデル。と言ってもその要望はイタリア軍からのもので、1969年のミラノショーでデビュー。民生向けモデルは1971年からと早速カタログモデルが拡充されている。
国家治安警察隊、交通警察、財務警察、消防隊などお役所系には好評で、その堅牢さはこのモデルの美点であり、質実剛健っぷりを遺憾なく発揮するものだった。公官庁系の名称がグレードに刻まれている伝統はV85TTにもグアルディア ドノーレが設定されているので最早グッツィのお家芸と言ってよい。
本モデルは民生向けにもいろいろバリエーション展開がなされ、74年にはサハラというバリエーション追加もあったがセールス的には芳しくなく、ビッグシングルはすっかり過去の存在となっていた。カルロ・グッツィの死去と時期を近くして、パトロンであったパローディ家も破産、モトグッツィの経営は管財人の手に渡りその後もなんとかモデルとして息を繋いでいったのは上記の通り、だが1976年には完全にカタログ落ちとなった。

【250 TS】1974~1982

写真は1975年式の250 TS、デ・トマソ時代におけるベネリからの派生車種だ
写真出典:不明

1966年から管財人の管理下に置かれ、SEIMM(Società Esercizio Industrie Moto Meccaniche)体制下の元で歩んでいたモトグッツィ。早い話が国営化されていたワケで、1973年にはその企業経営状況が一定の回復ラインに達したとしてSEIMMはほなさいなら。という状況、当初はそのまま外資にも売り渡されるのではという噂が立ったが、それはアカンでしょ!!!とアレサンドロ・デ・トマソが同社を買い取った。そう、あのパンテーラでお馴染みのデ・トマソ社創設のその人だ。

パンテーラと言えばよもや他にあるまいというレベルでスーパーカー界でも知名度は随一
写真出典:The Classic Cars.com

すでにベネリも手にしていた彼の采配の元、モトグッツィとしては初の2ストローク2気筒250㏄エンジンをベネリから今風に言うとOEMとして受けた。本モデルはベネリ 250 2Cのモトグッツィ版で、本家は鋳鉄シリンダーだがグッツィでは軽合金シリンダーやクロームドライナの採用などやや高性能。今回のアプリリアからのエンジン供給か?という噂に関してその立ち位置は最も近しいキャラクターを持つ。

【254】1977~1984

写真は1980年式の254、ぶっちゃけスタイリングに疑問符がつくものの走りは悪くないらしい
写真出典:Picasa

254もデ・トマソ時代のモデルの一つ。税金安いし小排気量で高性能モデル造ればホンダに対抗できんじゃね!?というデ・トマソおじさんのぶち上げ目標のもと、リノ・トンティに231㏄のクォーターマルチとしてエンジンを設計させてベネリブランドとモトグッツィブランドの両方でこの小排気量スポーツモデルを展開。
だが、お世辞にもスタイリングがイイとは言えず、むしろぶっちゃけどうなのそれ。みたいな恰好はウケがまことしやかに悪く、どうひっくり返っても格安で性能でもぶっちぎってくる日本車という悪夢のかっぱ巻き艦隊にパスタを突き立てても歯が立たず、燃料タンクが10Lにも満たない容量であることも不人気に拍車を掛け1981年には同モデルは廃盤。これ以降グッツィの歴史にマルチクォーターは出てきて居ない。


非Vツインのグッツィどうなの?

日本のみならず、世界のほぼ95%に近い残存のグッツィが多分Vツイン車種だと思われる。95%と大それたことを根拠も無く言ってのけてしまったけど、まず間違いなく街中ですれ違うとしたらVツインのグッツィだし、そうじゃないグッツィはそもそもお目にかかれない。
冒頭で少し意地悪く言った原理主義というものがグッツィにもあるのならば、先に紹介した非Vツインのグッツィについては、見なかったことにせざるを得まい。よしんば昔のことだからあれは例外。なんていう言い訳もできるだろう。

いや、実に面倒くさい、ただ単に生きにくいだけだ。

というわけで、筆者的に今のご時世、パラツインでもシングルでもグッツィのすそ野が広がるようなモデルが出てくるのならば大いに結構。
グッツィとして更に売り上げが伸び、市民権を得てより柔軟なモデルラインナップの一助に繋がるのならば、アプリリアでもベスパでも使えるものは何でも使って魅力的な製品づくりに邁進して欲しい限りだ。

実際の所、お高くまとまっていても明日の飯が食えるのはフェラーリぐらいなもんで、そんなフェラーリさえ昨今はプロサングエとしてSUVモデルを世に送り出した。軟派になったとか、世の中に媚びたとか悪く言えばいくらでも言えるけれど、企業としてその市場は利益が見込めると判断を下し、順当に自社製品で打って出ただけのことだと筆者は思う。

アルファロメオもトナーレというSUVモデルを世に放っているが、これが結構いい。SUVというとなんだかなぁという声が聞こえない訳じゃないし、ジウジアーロのデザインじゃないとアルファロメオじゃない。なんて宣う層もいる。だが、メーカーは明日を生きるために色々と手を変え品を変え頭をひねって顧客の選択に選ばれるため努力している。今までにない製品群を送り出すことに対し拒絶と否定だけでは、あんまり誰も幸せにならない。

よってグッツィがVツインだけじゃなく、パラツインの低排気量エンジンを駆使してより多くのライダーへ訴求力を高めることは良い事ではないだろうか。新しい仲間が増えるというものだ。仲間が増えたらミーティングなどで花開く話題もきっと大輪の花束になる。悪くない。

ここで大事なのは、自分が買いたい!というモデルでなくとも、誰かの選択肢になり、その誰かの購入でメーカーは利益を出すということ。
回り回ってメーカーが儲かれば、そのうち自分の琴線に触れる1台が世に出てくる可能性だってあり得る。もし本当にパラツイングッツィが世に出て人気を博し、グッツィがウハウハになればル・マンの名前を冠したニューモデルも夢ではないかもしれない。どうなるか様子を見てみようLet's see how it goes.


具体的に考える

【457㏄エンジンは何奴?】
ここからは具体的に噂のパラツインについて考察して行こう。そのパラツイン457㏄エンジンについては、しっかりと世にデビューしており、アプリリアからRS457として正式に発表されているモデルだ。
アプリリアにおけるRS457は、欧州における出力で免許制度が区切られるA2ライセンス最高出力が35kW(47.6馬力)以下(日本で言うとこの普通自動二輪免許)を主なセールス戦場と定めていて、日本にはまだ未導入ではあるが、導入されればカワサキZX-4RやホンダCBR400Rと真っ向勝負になる。
ただし、日本では57㏄分足が出ており、大型自動二輪扱いになる。その辺をピアッジオジャパンがどうするのかは解らない。58㏄分どうにか削って普通自動二輪として日本に押し込むとなると結構面倒くさそう、でもそうしたなら日本でも販売数がそれなりに見込めるかもしれない。知らんけど。

昨今、MotoGPにおける空力開発戦争で一歩リードするアプリリアが送り出す最新モデル
写真出典:アプリリア本国公式HP

だがしかし、そんなカリカリスポーツマシン!という素振りでそのままグッツィへ横展開する様はちょっと考えにくい。ピアッジオグループ内では、明確にアプリリアが今どきのスポーツカテゴリー担当で、モトグッツィはネオクラシックカテゴリー担当だ。
過去にはMGS-01コルサというのもあったけど、あれはほぼ幻というべきモデル。もとより、直近のV100マンデッロがカタログ値で100馬力超えてきたことが相当衝撃だったグッツィスタも多い。

【価格帯から考える】
現在のグッツィは新開発水冷コンパクトブロックと、既存の空冷スモールブロックでモデルラインナップが大まかに二分される。それぞれ200万円以上と以下でモデルが住み分けされており、V100マンデッロ(220万円~)やステルヴィオ(米国販売価格242万円~)等これらの水冷コンパクトブロック車種に対し、空冷スモールブロック車種はV7(138万円~)、V85TT(165万円~)とそれぞれの最安値を比較すると、しっかり価格は分離していて市場を奪い合わないようにしてある。
後述する免許制度との絡みも考えられるが、もしパラツイングッツィがここに飛び込んでくると、空冷スモールブロックよりも価格を抑えた格好になるのではないかと思う。

筆者がV7IIストーンを新車購入した2016年当時、価格は109万円からで、今のV7(850)ストーンが138万円からであることを考えると、29万円もメーカー希望価格に開きがある。それだけ差があると、正直色々オプションやらカスタムやら出来ちゃう額なので、V7はエントリーモデルにしては少々お値段が張ってきている。と、過去モデル比で相対的な評価を下せる。

そこで噂のパラツインを確実に130万円以下ぐらいから、筆者的には105万円とかだと他のグッツィ比でグッと安く見える。ので、そんぐらいから売り出し、上位バリエーションでも120万円程度から、という具合にしておけば松竹梅とよくある格付け展開がしやすくなる。
なんだったら却ってV7を更に値上げして、より鮮明に価格差を設定することもやぶさかではないだろう。

こんな価格ピラミッドを形成したいのでは無かろうかと妄想してみる

【免許制度から考える】
日本では排気量で区分される免許制度、簡単な話400㏄までが普通自動二輪で所謂"中免"などとよくみんなが口にする。そこから先は大型で、グッツィは軒並み全部大型自動二輪に区分される。"ナナハン"という言葉がある種のステータスだった時代を懐かしむ諸兄もいるだろう。
だが、欧州ではこれが丸っと変わる。現行制度はEU加盟国ならば下記の一覧が適応される。

【AM】
年齢:16歳から
排気量:50ccまで
最高速が45Km/h以下の二輪

【A1】
年齢:17歳から
排気量:~125㏄まで
最高出力11kW以下(15馬力)以下の二輪

【A2】
年齢:19歳から
排気量:制限なし
最高出力35kW(47.6馬力)以下の二輪

【A】
年齢:24歳以上もしくはA2免許で2年の運転経験が必要
排気量:制限なし

一般社団法人 日本二輪普及安全協会より引用

既に先述にてチラリと触れているが、アプリリアRS457はこのA2ライセンスを狙ったモデルだ。過去のV7もV7IIあたりまでは明確にこのA2ライセンスを狙った出力帯に居たが、今ではすっかり飛び越してAライセンスでなければ乗れなくなっている。
というところで、価格帯で考えた事+この免許制度の面で明確にA2ライセンス保有者向けとして企画されることはなんら不自然ではないことが解るだろうと思う。

【トータルで見て】
だがしかし、だがしかしだ。トライアンフなどは単気筒の400cc中型モデルを既に日本へ送り込んでおり、価格もかなり安め。日本では実売69.9万円からである。排気量的にも近しいこの457㏄エンジン搭載の入門グッツィ(仮)が日本で発売されるのであれば、万に一つ筆者がテキトーに記述した105万円から等になった場合、結構辛そうだ。
だが、価格で真っ向勝負しない線だって十分にあり得る。他社はそうした量販低排気量モデルをインドやタイで丸っと製造する。トライアンフ然り、KTM然り、カワサキやホンダもそう。
だが、もしかするとモトグッツィは、エンジンはインドで造っているがワザワザそれをマンデッロに運び込んで、組付けを行う可能性もあり得る。
こうなった場合、その製造形態はフランスはディエップの工場で生産されるアルピーヌA110の様と言って良い。A110はエンジンなどについてはフランス国外で用意しており、それをディエップで全て組付け完成車として出荷している。

モトグッツィがどこまでマンデッロ・デル・ラーリオの本社工場での製造にコストを割いても拘るのかは推測が難しいが、一貫して従来までの"マンデッロの地から世界へ出荷"というポリシーが今後も貫かれるとした場合、A110の様な最終仕上げは創業の地で行う!というパターンは存分に妄想が捗る。
さすれば他所の400ccクラスと比べてお高くなっても、そらそうだわな……というこれ以上ない"大義名分言い訳"を用意出来たも同然だ。そこを比較検討中の顧客が評価してくれるかどうかは全く別問題だけど……


実は全く関係ないかも

ここまで散々、グッツィの入門モデルとして開発しているのではないか。という仮説に基づいて、あれこれ話題を膨らませた。
けれども、実際のところは開発車両であり、単にグッツィの部品を転用しカムフラージュしているだけ。という仮説ももちろん成立する。

後ろ姿はいかにもグッツィという感じだが……
写真出典:Bernhard M. Hohne/BMH-Images

スパイショットの別角度を見てみよう。冒頭に掲載した写真よりも、斜め後ろからだとよりグッツィっぽい感じがしないでもない。
タンクはV7っぽいし、テールランプはV100とかV85TTっぽい。なにより、リアサスペンションが片持ちシングルに変更されていて、アプリリアであれば車体中央にモノサスペンションとしそうなところがそうでなくなっている。
トゥオーノはRSV4をひん剥いたストリートファイターであり、そういうクラシカルな面持ちの構成はまずあり得ない。
では、アプリリアからもホンダ GB350みたいなテイストで、新車投入か?というと、それは先述のブランド立ち位置からしてグッツィとモロにバッティングする。
親会社のピアッジオが、存外その辺のブランドイメージの被りを気にしない方針だと仮定すれば、この噂のモデルはアプリリア名義で世に出るのかもしれない。さすれば逆説的にモトグッツィの名で縦置きVツインスポーツ、すなわちV11や1200スポルトを水冷コンパクトブロックでリバイバル!という妄想も成立する。

グループ企業なので、部品を使いまわしたり、試作でとりあえず乗っけてみただけとか、そういうことは十分にあり得る。
試走で燃料補給のためにチマチマ止まるのは面倒くさい、じゃぁデカイタンクをとりあえずくっつけておこう、おっ、丁度V7のなら20Lは入るじゃないか、採用。みたいな割とシンプルな理由で流用されているかもしれない。

カムフラージュという面でも、グッツィらしい部品を散りばめることで、こうして筆者や他の媒体でグッツィか!?グッツィなのか!?って勝手に話が錯綜し出すので都合が良い。
M10パンターという、昔々米軍戦車に偽装し攪乱作戦に用いられたドイツ軍の戦車がある。それは実際に戦場に投入され、小規模ながらかなり混乱を招いた様で、米軍野戦憲兵は「ミッキー・マウスのガールフレンドの名前は?」「イリノイ州の州都は?」といった、アメリカ人的常識問題を口が酸っぱくなるほど言って回らなければならなかったそう。
なので、この先行開発車両のスパイショットで、ざわざわしている我々をアプリリアやモトグッツィの関係者は

期待通り混乱しててVa bene!ヨシッ!

っという感じで満足気に観測しているかもしれない。


まとめ

この噂の開発車両について3点でまとめるとこうだ。
・アプリリア製457㏄パラツインエンジンを用いた開発車両
・現段階ではネオクラシックの風貌を呈している
・モトグッツィの外装パーツが多数用いられている
という部分が、事実としてそこにあるだけで、どのブランドからどういうジャンルで正式に展開するかは全くの未知数。多分今年のEICMA'2024までには、ある程度形になっているであろうと思われる。
2025年モデルとして、ピアッジオグループ内のいずれからラインナップに加わるのであれば、答え合わせにもう後1年もかからない。11月は結構すぐにやってくる。

筆者としてはもし、縦置きVツインではないグッツィだとしてもウェルカム。自分が買うわけじゃないけれど、新たな顧客層を獲得して、グッツィがブランドとして盛り上がるなら大歓迎だ。
モトグッツィの経営が安定してくれれば、愛車のV7IIストーンが"ゴソウダンブヒン"の足音に震えるリスクが多少なりとも減る。結果的にそれは自分のメリットだと言って良い。

グッツィではなくアプリリアやピアッジオブランドでネオクラシックとして産み落とされるならそれも興味深い。それどころか、グッツィとアプリリア両方から同時に兄弟モデルとしてリリースなどあったらGR86/BRZの様で面白い。いずれにせよ、この開発車両に関しては楽しみに今後の続報を待ちたい。


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