首都高バトルが帰ってくる
俺たちの首都高バトル
首都高バトルというゲームタイトルを聞いたことある人は、レースゲーマーなら8割以上居る事はカタイと思う。知らんけど。
ただ、知らなくてもなんとなくそのタイトルからして、公道で出しちゃいけない速度で走り回り、勝つためのルールしか守らないだろうなってのは感じ取ってくれるだろうか。
あーはいはい、首都高で最速を目指すのね。と汲んでくれたならばそれは概ね正しい。その通りである。
筆者はプレイステーション2用ソフトの【首都高バトル0】と【首都高バトル01】を主にプレイしたクチで、首都高バトルシリーズ自体は94年から始まっていて、他にもタイトルはあるのだが、ハードの都合上しっかり遊んだのはその2作のみ。
その2本のうち筆者が最も遊んで、一番記憶に残るのはなんといっても
首都高バトル01
これに尽きる。この"01"の前作にあたる"0"も存分に楽しませてもらったが、実名で各車種の収録がなされ、首都高、名古屋、阪神とエリアも拡大。収録される車もホンダ車が軒並みライセンスの都合から消え去ったものの、元気ならではの車種チョイスは健在で、ゲームの中でW124のミディアムクラスに乗れる首都高バトル01にどうしても軍配は上がる。
最近は、GTAオンラインにW124をモデルにした"なんちゃってW124"が出てきたが、あちらは当然ライセンス云々というものじゃないのでノーカンでいいだろう。
元気が送り出す首都高バトルしかり、街道バトルしかり、ストーリーは割かしシンプルなのだがしっかりプレイヤーが名も無い走り屋から最速に上り詰めるまでを盛り上げてくれる。首都高バトル01では前作の首都高バトル0にて迅帝を打ち破ったプレイヤーのせいか、01では迅帝のR34に描かれるNo.13のゼッケンは半分にカットされたような演出がされており、ストーリーの連続性も見て取れる。
そして嬉しい事に所謂"強くてニューゲーム"は01にしっかり搭載されており、1周目のストーリーで最速を極めたら、2週目はいきなり迅帝クラスの走り屋気分でストーリーを無双できて2回美味しい。
強くてニューゲーム状態ならばエンジンスワップなども利用しやすく、1周目では攻略に難儀した車種でも存分に戦えて、R34やJZA80、FD3Sでは難易度の歯応え感がヌルいと感じるプレイヤーにちょっとしたスパイスをもたらしてくれる。
首都高バトル01は首都高バトル0よりも、チューニングのぶっ飛び具合や、ライバル達のぶっ飛んだ走り加減こそ大人しくなったものの、総合的にはボリュームは順当に増加、ゲームテンポも良いし、遊んでいて夢中になるのには十分な内容だった。なんなら今でもサントラを聴くぐらいには思い出深い。
首都高バトルはクルマを使って「俺TUEEEEEEEEEEE!!!!!!!!」気分を存分に体験できる素晴らしいタイトルだった訳だ。当時中学生の筆者がドはまりしない理由を探す方が無理だったと言って良い。
首都高バトルの変遷
首都高バトルの思い出を紹介したところで、このシリーズの最初と現時点での最後に触れておく必要があるだろう。
本作シリーズのデビューは遡ること1994年のこと、記念すべき一作目のタイトル名は
首都高バトル'94 ドリフトキング 土屋圭市&坂東正明
タイトルにデカデカと”土屋圭市””坂東正明”と二人の名前が入る。片方は言わずもがなの"ドリキン"こと、あのドリフトキング、土屋圭市氏だ。1998年のル・マン24時間において、TS020の日本人トリオ激走を支えたレジェンドである。
もう一人は、国内最高峰GTレースであるスーパーGTを統括する株式会社GTアソシエイションの社長を務める"坂東親分"その人だ。
発売元は元気ではないが、開発は元気とのこと。元気のHPには1996年発売の"首都高バトル DRIFT KING 土屋圭市&坂東正明"が一番古いタイトルとして記載されているが、同作名称のシリーズの"最初"としてはこの1994年発売の方を挙げさせてもらった。
そして、元気から発表があった最新作の発売が待たれている今現在の首都高バトルシリーズの最後発作品は
首都高バトルXTREME
というスマホアプリなのだが、残念ながらこちらは既にサービスを終了してしまった。この首都高バトルEXTREMEはサービス開始後1年も経たずに終了という結末になってしまい、何で早々にサービスが終了したのか筆者は知りようもない。実際にこっちはダウンロードして遊んではみたが、スマホゲームの宿命か、自分の乗りたいクルマで遊ぶまでに課金するか、我慢してなんとか引き当てるかの二択しかなく、遊んで数日であまり触らなくなってしまったことを覚えている。
この他、首都高バトルシリーズはまだ他にもあるので、詳しい内容については元気のHPに記載されている代表作紹介のページを参照して欲しい。
18年ぶりに復活
首都高バトルは家庭用コンシューマー機用ソフトとして出ていた首都高バトルX(2006年発売)を最後に、長らく続編が出ていなかった。
それが、今年8月に元気より公式アナウンスがなされ、最新作を2025年に発売する旨が発表された。歴戦の首都高バトルプレイヤー達はもうお祭り状態で、その喜びようといったら、しっぽをはち切れんばかりに振る柴犬を想像してもらったら間違いない。筆者もヒャッホオオオオイ!!!!とジャンピングガッツポーズを決めた。
気の早い話ではあるが、あのアーマードコア6が10年ぶりの新作として世に放たれ、それまでのシリーズ累計の合計販売数を抜き去るという好調な販売実績を打ち立てた。よって、10年どころか18年ぶりとなる首都高バトルも、シリーズ累計を抜き去るような売上になってほしいものである。
しかし、この18年、改造車やクルマを取り巻く環境は確実に変化を遂げてきた。首都高バトル01や首都高バトルXの頃とは色々環境が変わっており、それがどう新作に影響を及ぼすのか、次項で考察したい。
ライバル達はどう変わる?
ここでは首都高バトルのライバル達の大きく時が流れた"2025年のすがた"について、考察を巡らせたい。ただ、筆者が首都高バトルX未プレイのため、もしこうじゃないか?という意見があれば是非聞かせて欲しい。
まず、首都高バトルと言えば、各首都高のエリアごとに色々なチームが存在し、それらを倒して勝ち上がっていくのが本筋だ。であるからして、実に多種多様なチームがあり、多くの走り屋一人一人にプロフィールも割り当てられ、世界観を大いに盛り上げている。
その中で、多くのプレイヤーがまず戦うのがローリングガイだろう。AE86を主体にしたチーム構成で、ローリング野郎〇号というBADネームに見覚えのある諸兄も居るはずだ。筆者のペンネームである"ツーリング野郎7号"の元ネタでもある。尚、ツーリングマスターなるものは特に居ないことを断っておくし、ツーリング野郎1号~6号も不在である。
【クルマの価格の変化】
話が逸れた。このローリングガイだが、首都高バトル01ではAE86という当時ではまだ購入にそんなプレミアム価格がつくのは頭文字D関連であり、レビンなどはトレノに比べてそこまで……という感じだったと思う。
2003年当時はまだまだ、ゴロゴロと中古車として転がっていた……と思う。
それが現在、AE86であればレビン・トレノ問わず大体300万円は超えてくる。そればかりかコンディションの如何によっては500万円以上もザラで、凄まじいと800万円のプライスタグを掲げた掲載個体もある。
あのAE85でも180万円という、いったいどういう事だってばよ……みたいな価格の高騰が見て取れる。
つまる所、そんなすっかりプレミアム国産中古の地位に召し上げられてしまったAE86を集めて、ローリングガイを2025年に招聘すると、とんだ金持ちの趣味おじさま達のチームになってしまう。
若者が、バイトや仕事の後に首都高に繰り出し、AE86をコツコツとチューニングして走りを研鑽するという元来のローリングガイのイメージとは大きくかけ離れたものになるだろう。
そこで"ローリングガイ2025年のすがた"と思い浮かべる時に、方向性としては
プランA:AE86を貫ける資金力を持った当時メンバーが現役続行
or
プランB:顔ぶれも主力マシンも一新した新生ローリングガイ爆誕
という二通りのケースを筆者は考える。
プランAとなった場合は、20年以上走り続けており、かなりベテランチームの類になる。多くのメンバーが最早ローリングマスター級の面々であり、湾岸ミッドナイトのケイのスープラを造り上げたおじさん達大集合のノリになるのではないだろうか。
プランBの場合には、当時のメンバーはワンダラーなり、別チームなり、そもそも首都高を降りるなどして、よしんば小早川兄弟のどちらかの子供がチームを継いで新生ローリングガイを務めていても不思議ではない。そうなるとマシンは2012年デビューの86/BRZかその後継の2代目GR86/BRZなどを主力とするだろうか。案外スイスポで固められたスイスポオンリーの新生ローリングガイの可能性も考えられるかもしれない。
【走り屋達の高齢化】
クルマの価格以前に、実際の所、多くの首都高バトルXまでのキャラクター達に襲い掛かるのが高齢化だ。先ほどはローリングガイを例に、価格の高騰によるキャラクター達の愛車がどう変化するかを考えたが、登場人物たちのそもそもの年齢も問題だ。
ライバル達には首都高バトル01時点での"走り屋経歴年数"がキャリアとして何年とプロフィールで設定されていることが解るが、押しなべて現役の場合、皆+18年という凄まじい勢いになる。
そうするとどういう事が起きるかというと、首都高バトル01時点で免許取り立て即走り屋デビュー!みたいなやつでも36歳、弩ベテランである。
30歳ぐらいだったキャラクターは還暦目前だし、40歳近辺だったキャラクターはもう降りてるやろお前。というオチもあるだろう。
迅帝は首都高バトル0において、"まだ20そこそこの若者"とプロフィールで触れられており、その噂通りだとすると
2001年で20歳 (首都高バトル0)、2003年で22歳 (首都高バトル01)という推測になるが、PSP版の首都高バトルが2005年ながらプロフィールにはハッキリ27歳という年齢が出ている。ともすれば、逆算するに実は2003年で25歳、2001年で23歳である。であれば2006年の首都高バトルXで28歳という訳だ。
(PSP版首都高バトルを外伝とするかどうかで話も変わってくるが………)
ということは、18年後の世界で迅帝は46歳の中年のおっさんである。そうすると彼の立ち位置というのは新作でもラスボスなのか、それとも首都高バトルXの序盤の様にストーリーテラーとしての役割を強めるのか。
絶対的な首都高バトルを象徴するキャラクターではあるが、新作での扱いがどうなるのか楽しみという他ない。
【ストーリーの年代設定】
ここまで、クルマの値段が上がるだの、登場人物たちが歳食うだのと2025年が舞台になる前提で話を広げていたが、首都高完全再現を掲げる首都高バトルシリーズにおいて当時とは首都高そのものが変化を遂げてきている。新しくJCTが出来たり、湾岸西行きからの大井ターンが出来なくなったり、その変化は1つや2つではない。
そこで、大分大人の事情だが、首都高バトルX等の首都高マップを上手く再利用して新作をこさえる事になっていた場合、あれこれマップをやり直しながら2025年を舞台とすると元気には結構な負担だと思われる。
であれば、丸っとデータを最小限の労力で使いまわすのならば首都高バトルXの時代から数年後・・・ぐらいにしておけば、マップの改修はもちろん、登場人物、登場車種に至る結構な面倒事は一瞬で解決する。なんだったら2008年頃が舞台。ってことにしちゃえばなんてことは無い。
ただし、それをした場合にはユーザーの評価は予測がつかない。時代背景的に2008年頃にすると仮定した場合。ここ数年の人気スポーツカーは軒並み登場しないことになる。これがコンテンツとしての魅力度にどれほど影響を及ぼすか予測が難しい。筆者としてはやっぱり最近のGRカローラやフェアレディZにシビックType-Rを首都高バトルの世界観で乗り回したいので、2025年が舞台であってほしいと望んでいる。
ラインナップされて欲しいクルマ
どのレースゲームにも言えることだが、収録車種に自分のお気に入りが入ってくるかどうか、とても重要だろう。特にストーリーを備えた首都高バトル系統の作品では、自分のお気に入りの一台でストーリーの中を進むことは、醍醐味の一つだと言える。お気に入りの1台があれば満足度はうなぎ登りだ。
さて、ではどんな車種と首都高バトルの世界で出会えるのか?であるが、一部の登場車種については、元気公式に紹介映像が公開されている。
現在のところ、6車種が公開されており、ここでは1番最初に公開されたR34と10/25時点で最新のGDB-Fについて引用している。
他、JZA80やFD3S、AE86(レビン)、GR86などの収録が公表されている。ともすればトヨタ、日産、マツダ、スバルについては現状それなりのラインナップが期待できる。GRヤリスにGRカローラ、R35やRZ34、マツダ3にNDロードスター、WRXとかBRZとかとかとか・・・と言う具合で王道は多分抑えてくれるのではないかと期待できる。
R32やR33、A70、FC3S、GC8なんかも期待しても良さそうだ。そして元気といえば、何かとステランティスグループであるプジョーやマセラティなどが公式SNSで良く出てくる。これは現実世界におけるGRP活動の一環で、実際に草レースに参戦しているためだ。
過去には街道シリーズなどでプジョー206や205T16が居たし、首都高バトル0でもしっかり306などが出ていることからステランティスグループをまとめてライセンス取得できれば、新作でも出てくる可能性が大きいのではと妄想してしまう。
ステランティスグループは現在14社の自動車メーカーもといブランドが属しており、代表的なものを掻い摘んで、こんなモデルが収録されてもよさそうだなと書き連ねてみる。
シトロエンとかオペルとかも欲しいは欲しいけど、ワンダラーの1台~2台がせいぜいだな・・・っていう感じなのでちょっと省いた。アルファロメオはFRのジュリアがあるので、GTAmなんてどっかの4ドアセダン限定チームの新リーダーのマシンとして誂え向きじゃないだろうか。(リアシート無いのはナイショ)
他、冒頭にも挙げたメルセデスベンツもW124を始め、現行のSクラスやらAMGの各種モデルもあれば嬉しい、変わり種でベントレーやキャデラックなども居れば更に多彩でより嬉しい。フェラーリなどはどうだろうか、難しいように思うが来てくれれば、きっとイシダヨシアキ風のワンダラーが出てくるに違いない。
まとめ
新作の首都高バトルは現在、まだまだ開発中だがSteamのタイトルページではウィッシュリストへの追加が可能だ。一部コースの画像も公開されており、2025年のリリースが楽しみで仕方がない。
対応するのは現在のところPCのみの情報しかないが、これはPS5やPS4が非対応と決まった訳では無く、ただ単に公式に発表がないだけなので、もう暫く待とう。
他、ゲームプレイ映像については10/25現在、公表はされていないが、紹介した車種紹介ムービーの第6回目の終わりに、どうやらそれらしき映像の公開を予告するような演出があったため、これも公式からの発表で近々公開されることと思う。
18年の時を経て、首都高を舞台にする国産レースゲームタイトルの復活まで後少し。興奮とスリルの最高速バトルはもうすぐだ。