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V7のおニューなヤツ


皆さん調べてるみたいで

モトグッツィV7、知っている人は知っているけど、知らない人からしたらなんじゃこのオートバイはっていうモデル。そのためかどうか分からないけれど「V7 種類」、「V7 バリエーション」、「V7 グレード」とGoogle検索すると、有難い事に昨年に公開したテキストが結構上の方でヒットする。
筆者のnoteの閲覧数でも1番はやっぱソレで、いやぁどうもどうも、ありがとうごぜェやすへへへ(手を揉み擦り揉み擦り

V7一族はいいぞ
撮影:筆者 撮影場所:千葉県香取市 佐原エリア

で、今年もミラノショー、所謂EICMAの時期となり、我らがモトグッツィもV7の2025年モデルの公開があったので、ネット上でかき集められる情報を集めて、まとめようと思った次第。
他、V100マンデッロ、ステルヴィオについては軽くの程度であるが取り上げているので、終わりまで是非読んでって欲しい。


スポルトの登場

まず、これまでの850㏄となった新世代V7の基幹であるストーンとスペシャル、この2つのグレードが主であったことは、これを読んでいる諸兄には周知の事実だ。そこに昨年までで、ストーンコルサやストーンテンなども追加されているが、依然として主戦力はストーンとスペシャルであった。

だが、このEICMA2024で発表された25年モデルは、いうなればV7"V"と言いたくなるほど、あれこれと手が入り。あまつさえ"スポルト"という新規グレードまで追加された。かなりの刷新ぶりである。

念のために断っておくが、現行の850ccとなったV7はV7"IV"とは言わない。ついつい、V7IIIまでそうやってナンバリングされてきたので、IVとかVとかって言いたくなるのだが、21年デビュー850ccエンジン搭載モデルからは単なる"V7"と呼び表すため、今回の25年モデルも単にV7と呼ぶのは変わりない。
でもまぁ区切って考えたくなるので、21年~24年モデルをIVとして25年はVかなぁと見たくなってしまうのだ。ランエボやアーマードコアじゃないんだぞと自分に言い聞かせても尚、である。

してこのスポルトの登場を機に、同じくしてストーンとスペシャルにも下記の点が刷新箇所として共有される。

・最新のEuro5+排ガス規制に対応
・スロットルボディが52㎜へと拡大
・最高出力が4%向上、カタログ値が67.3㎰となる
・トルクも7.4kgf‐m/5,000rpmから8.0kgf‐m/4,400rpmへ向上
・電子制御スロットルの採用
・クルーズコントロールの搭載
・"ロード"と"レイン"のライディングモードを選択可能
・スペシャルのハロゲンヘッドランプ廃止
・新LCDメーターパネルの採用(アナログメーターは廃止)

ハロゲンヘッドランプ廃止かぁ……うむむ……

そして上記の刷新内容にプラスする形で、最上級グレードに位置するスポルトは更に追加要素がある。

・41㎜倒立フォークの採用(プリロード調整可)
・フロントブレーキのデュアル化
・フロントブレーキはブレンボ製4ピストンキャリパー
・6軸IMUによるABS制御・TC制御システムの採用
・排気管へのラムダセンサー導入
・タイヤ空気圧管理システムを搭載
・ストーン比で1.7kgの軽量化を図ったホイールの採用
・ライディングモードに"スポーツ"の追加
・LCDメーターパネルに燃料残量が表示可能

おおぁ~なんかすごいやる気マシマシに見える

という具合に、なんかV7スポルトはすごい急にどうした?っていう具合で走りの雰囲気をモリモリ大盛アラビアータっという勢いで押し出してきた。
他、ミッション等もスポルトは改良が施され、駆動系などもシバかれる前提でほんのり強化しているのだそう。
ただ、一つ勘違いしてはいけないのは、多分従来のV7シリーズと比すればすごく速くなっているのだろうけど、ホンダとかヤマハとかスズキとかカワサキのミドルスポーツにケンカを売ってはいけないことは変わらない。リバイバルした現行のメグロK3あたりになら、ケンカを売ってもいいぐらいで覚えておこう。
どうしても国産4メーカーのミドルSSとかフラッグシップにケンカ売りたいという場合には、ピアッジオ傘下の別門であるアプリリアの門を訪ねるしかない。


スタイリング比較

では出てきたそれぞれのスタイリングを比較して見て行こう。大筋はそうそう変わっていないが、特にスペシャルについては変更点が多く、好みによっては24年までのスペシャルを大急ぎで買う必要が出てくる人もいるかもしれない。ストーンについては大筋で大きく変化は無いため、ストーンをお求めの場合は来年の夏あたりまで待つのが良いだろう。

【ストーン】
車体色は2色展開でルヴィードブラックとブループロフォンドの設定。黒は2007年のV7復活初期から設定が続く色だ。水色についてはV7IIIから設定があり見覚えのある諸兄も多いのでは。ストーンは最も従来からの変更が少なく25年モデルとなっても基本的な装いを踏襲し、豪華装備は省かれている。

V7IIIから続くアーバンテイストは維持される。
写真出典:ピアッジオ
最もベーシックであり、エントリーの門戸を担う。
写真出典:ピアッジオ

【スペシャル】
ストーンに対して、オールドスクールな装いとメッキ加飾が特徴的だったスペシャル。今回のマイナーチェンジに際して最も影響を受けたのがスペシャルと言ってもいい。クラシカルな装いが売りで、2眼メーターとハロゲンヘッドランプが良くてスペシャルにしたオーナーも居ると思うが、今回からシングルメーターとLEDヘッドランプに統一となった。しかし、シリンダーブロックの冷却フィンの切削光輝処理などは維持される。こちらも車体色は2色展開で、ビアンコ1969とエメラルドブラックとなる。

どことなくV7カフェクラシックっぽいカラーリングを装った。
写真出典:ピアッジオ
深緑は新鮮な車体色設定
写真出典:ピアッジオ

【スポルト】
最も今回のモデルチェンジで熱い視線を集めるスポルト、ストーンコルサを一気に置き去りにするそのやる気度は明確で、ちょっと容赦が無い。しかし、牧歌的で目を三角に吊り上げなくても走っていられるV7でやる気を出してしまうと、あれもこれもと欲が出てきやしないかちょっと心配である。倒立フォークの採用やライディングモードにスポーツという専用モードがあったり、急激に流れる景色がスパゲッティ現象を起こしてしまいそうだが、21年からのモデルに長く不在となったレーサーの受け皿なのだろうか。
こちらの車体色はV7IIIミラノを想起させるラリオグレーとV7カフェクラシック以来のレニャーノグリーンが肩を並べた。

急に走りの性能に振ってきた展開にちょっと驚き
写真出典:ピアッジオ
多分だけど、そのうち更にこれを下地に"エッセエッセ"みたいなことやりだすと思う
写真出典:ピアッジオ
メッキ加飾を排したV7IIIミラノって感じ
写真出典:ピアッジオ
レニャーノグリーンになるとV7カフェクラシックを思い出す。
写真出典:ピアッジオ

どう感じたかって?

ここからは、V7IIストーンを愛車に抱える筆者の好き放題書くターンだ。今回のV7の刷新をどう捉えたか?であるが、まずは全く乗ってないし、写真経由でしか見れていないので、実際に見て見ない事には全くわからん!
思ったよりも良いかもしれないし、思ってたよりも大したこと無いかもしれない。が、確実に走行性能という点では現代のバイクに申し分ないものを揃えてきたし、やっぱり先にも言った通り、ストーンなどを買い求めるのならば断然この25年モデルが推せる。ライダーズエイドは更なる充実を深めているわけで、乗りやすさは断然こちらだろう。やはり新車保障という部分でも抗いがたいものがある。
ただ、スペシャルに関しては、2眼メーターとハロゲンヘッドランプの廃止がやや残念。完全に筆者の好みではあるが、スペシャルはあのオールドスクールな佇まいが"まじベリッシモ"だったと思うので、それを排してストーン寄りになってしまったのは幾ばかりか寂しい。21年モデルにあった深いブルーも復活とはならずであった。

やっぱメーターは2眼が好き!V7IIのメーター周りは筆者の大のお気に入り!
撮影:筆者

そして鳴り物入りで出てきたスポルト、どうしたんだろうと少々困惑したが、眺めているとレニャーノグリーンがかっこいいのなんの。これの基本内容をそのままに見た目を21年のスペシャルっぽい感じで出して来たら結構危なかった。グラつくところだったと言わざるを得ない。
しかしだ、冷静になって考えてみれば、多分これはモトグッツィが市場に放ったジャブである。シュッ!シュシュッ!シュ!とジャブを放ち、V7を検討している層がどれぐらい、こういう走りに振ったグレードに飛びつくのかを見ているはずだ。
それもしくは案外ストーンコルサなどの受けが良く、気を良くした結果かもしれない。場合によってはがっつりセパハン、バックステップ化した"スポルトレーサー"なんてものが行く行くは出て来ちゃう可能性も考えられるので、今回のスポルトを見て"しゅきぴ!"ってなったグッツィスタはとりあえずハンコを押しときやがれである。いや、押しといてくださいお願いします。

本当に燃料残量が表示されている。青天の霹靂だ。
写真出典:ピアッジオ
う~ん、マンダム
写真出典:ピアッジオ

他のグッツィ達

【ステルヴィオ】
昨年デビューしたステルヴィオについては、今回のEICMA2024で"ドゥエ・チェント トリブート"なる特別仕様が設定された。これはイタリアのステルヴィオ峠開通200周年を祝うグレードなのだそう。日本で言う箱根峠開通何百周年。みたいな感じだろうと思う。イタリアではライダーの聖地ともされ、ステルヴィオ峠の標高2,758mに因んで2,758台が限定生産される。日本への割り当て台数や導入については未定。

きっとお値段も峠を見上げるような"高さ"になるのでしょう?
写真出典:ピアッジオ

【V100マンデッロ】
V100に関して標準モデルは新色へのカラーラインナップ刷新が主、後はステルヴィオから導入されている改良型のトランスミッションになったことと、ラジエターガードの追加だ。マンデッロSでは"PFFライダーアシスタンスソリューションシステム"が搭載され、レーダー技術を用いた"前方衝突警告"、"後続車衝突警告"、"車線変更支援機能"を可能とした。車線変更支援機能は昨今、四輪ではBセグなんかでも当たり前になっているあのミラーに警告ランプが内臓されたアレだ。
そして、今回新たに追加されたのがウィンドトンネルエディションだ。風洞エディションというとほんのり格好がつかない。これはモトグッツィが1950年代に運用を開始した風洞実験施設の設置70周年を祝って設定された特別仕様。風洞施設自体は既に運用を終えているが、過去のヘリテイジを語る上で欠かせない存在であるため、現在も保存されており、それを上手く活用してバリエーションの展開を図っている様だ。マンデッロとマンデッロSについては日本に必ず上陸すると思われるが、ウィンドトンネルエディションについては不明。標準グレードとSの中間的な装備であり、標準同様PFFシステムはオプション設定。なので、ステルヴィオでは気にならなかったレーダー部分のディテールが、V100ではちょっと・・・という人はSよりもウィンドトンネルエディションを狙う事になるだろう。

ウィンドトンネルエディション、ブラックの差し色が良い感じ!でもこの色合いどこかで・・・
写真出典:ピアッジオ
こいつや
写真出典:スズキ株式会社
こちらはマンデッロS、ヘッドライト直上のレーダーがすっごく目立つ・・・
写真出典:ピアッジオ

余談だが、このレーダーの付いた姿を見て、ステルヴィオは違和感ないのにV100はもうちょっと別の場所が良かったのでは……と思わずにはいられなかった。

いや目立つな、めちゃくちゃ目立つ。
完全に牛山さんじゃん・・・
引用:野田サトル『ゴールデンカムイ』6巻, 表紙

買いなの?25年モデル

まず、お値段はV7も概ね170万円台がチラつくような気がしないでもない。ストーンは最安値で来るだろうけど、それでも現在の137.5万円からになるかどうか……電子制御類がマシマシになっており150万円とかに急にあがったりするんじゃないだろうか。なんて思ってもみたり。
とすると、多分スペシャルは160万円、スポルトは168万円ぐらいから……みたいなお値段になるだろうか。いや、スポルトは175万円とか言われても驚かない気がしている。為替の都合もあるだろうし……というのがどうも頭をよぎる。
V100もウィンドトンネルエディションは、海軍仕様の後釜と思ってよさそうなので、250万円ぐらいか。ステルヴィオの峠開通200周年仕様はステルヴィオへの初めての特別仕様車なので、260万円ぐらいだろうか。
いずれも日本にちゃんと正規上陸するならば……ではあるが

しかしながら、結論から言えば、今回も好みに刺されば買いだと言える。電子制御類がマシマシになっているので、数年後のセンサー類トラブルが怖いと感じる場合は、今の内に日本にある在庫をゲットすることも考えておこう。だがもっともパワフルなV7が欲しいとなったら、V7スポルトを待つ価値は十分にあると思う。


おわりに

チンクエチェントやウラカンみたいなバリエーション拡充商法でモトグッツィも良い収益を得ているのか?
毎年の何らかの特別仕様車の出現を見ては、そう考えることがある。
チンクエチェントは言わずもがなで、なんか色んな特別仕様車がズラズラ並んでいて、ひとつひとつ並べて思い出そうとするとかなり大変。ウラカンもとい前身のガヤルドなんかもそう。フィアットとランボルギーニ、価格帯もグループも全然違う2社が似たような展開をやるってことは、それが販促には少なからず有効だと思って良さそうだ。
であるからして、モトグッツィも、毎年何かしらこうやって新しい仕様を投入してくるのは、売ろう!としている気概を感じる。大事な事だ。収益が上がらずに地べたを這いつくばって息をするだけで精一杯では困ってしまう。
現在、KTMが非常に危ない状況になっているのを横目に、我らがモトグッツィはピアッジオの傘の下で、コツコツやっている様に感じる。

というわけで、今回はEICMAで発表されたおニューなV7とその仲間たちについてまとめた。V7スポルトやV100ウィンドトンネルエディションは来年のイーグル・デイで展示をしてくれるんじゃないかという淡い期待を筆者は抱いている。V7スポルトは特に気になるので、同じグッツィスタ達と囲んで観察したらきっと盛り上がることだろう。この目で見る機会があれば、是非写真も撮りたいところだ。

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