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スバルが帰ってく・・・る?


喧々諤々

波乱万丈のアクロポリスラリーが開催されている傍ら、一つのニュースがクルマ好き達を騒がせた。
どうやらスバルがWRCにカムバックする可能性がある"らしい"ということだ。

名門スバルが世界ラリー選手権へ復帰する可能性が浮上してきた。復帰向けた交渉が始められていることを明かしたのは、FIA会長のモハメド・ベン・スレイエムだ。

Tom Howard, "スバルがWRCに帰ってくる?", motorsport.com,  2023.09.08
より引用

Motorsport.comでそう報じられたニュースは、SNSでも注目を浴びX(旧Twitter)でも様々なクルマ好き層が喧々諤々の様相を呈している。
ゴリゴリのWRCファンではなくとも、スバルがラリーで大活躍していた事は誰に教わったでもなく知っているというクルマ好きは多いはずだ。
むしろ、スバルってWRC出てたの?なんて口から溢してしまった日には、猛烈熱烈・激烈な"ご指導"を受ける可能性があるため、最近クルマを好きになった諸兄は注意されたい。

本稿ではスバルのWRC復帰の噂について、筆者が考察できる3つの点からWRCスペクテイターの端くれとして書き記す。
スバルのWRC復活についてなーんにも保証する内容ではないことをご理解頂きたい。


誰が言ってんのさ

まず、スバルがWRCで築いた栄光を……と思ったが、話の発端誰なんよ。ってところから触っておこう、話の震源地は二人。

モハメド・ビン・スライエム 現FIA会長(2021~現在)
写真出典:FIA公式HP

まず一人目は第10代FIA会長にして、FIA中東ラリー選手権を都合14回も制覇した経歴の持ち主であるスライエム会長だ。
(スレイエムとも書く表記ゆれがあり、媒体によってゆらゆらしている)

その経歴からもろにラリー畑出身であり、セリカやエスコート、フォーカスWRCを駆るなどして中東ラリーを席巻していた張本人だ。
故に、F1方面とは肌感覚が違うのかバチバチすることがあり、何かと"仲良くない"という感じでニュースを見た事がある人も居るだろう。

豊田 章男 現トヨタ自動車会長(2023~現在)
写真出典:トヨタ自動車企業公式サイト

そしてもう一人は、説明不要の"モリゾウ"こと豊田 章男 会長だ。
以下、ここでは親しみを込めて"モリゾウさん"と表記する、モリゾウさんは言わずと知れた"愛すべきクルマバカ"なのは周知の通り。
自社のヤリスWRCやGRヤリスRally1をブイブイ乗り回しちゃう世界一アグレッシブな会長だ。先週の北海道ラリーでもアグレッシブなデモランを披露したばかり、むしろ公衆の面前でもっとラリーカー振り回したくて会長職に移ったのでは?と専ら好意的な噂を聞くに、その噂は割と本当なんじゃなかろうかと考えずにはいられない。

2018年に、スバル又は三菱がもし帰ってくるなら手を差し伸べたいと言っていたのもモリゾウさんだ。

トヨタ自動車の豊田章男社長は、三菱とスバルのWRC復帰を期待。そのためにはGAZOO Racingとしてサポートすることも可能だと示唆する。


David Evans, "トヨタ社長、三菱とスバルのWRC参戦を期待", motorsport.com,  2018.08.14
より引用

当時社長だったモリゾウさんが、そう公にしたことで、この時もスバルが復活するかも!?ということで話題になった。
そして、今回の復帰についての話もラリー畑ゴリゴリのスライエム会長とモリゾウさんの間で交わされたものだ。
実現したらバイブス上がるよね~!みたいな感じの内容でラリーが好きな二人の話題が盛り上がったんでは無かろうかと妄想が捗る。
このモリゾウさんとスライエム会長の"アゲアゲな話"はアクロポリスラリーのメディア・ラウンドテーブルでスライエム会長自身がメディアに話たことで話題となった。
スライエム会長がモリゾウさんに、どっかラリーやれそうな熱意のあるメーカー知りません?って振ったら

スバルでしょう!

とモリゾウさんがスバルを真っ先に挙げ、スライエム会長もそれな~!って感じで和気藹々の歓談になったかは定かではないが、そんな内容で二人が熱視線を群馬に向けているらしいという訳だ。


スバルの栄光と撤退まで

WRCにおけるスバルといえば、その鮮やかなソニックブルーに蛍光イエローの六つ星が印象的だ。もう少し遡ると濃紺に黄色で"555"と描かれたステートエクスプレス555をスポンサーにしている姿も同じくらい鮮烈な印象を残している。

スバルのWRCデビューは1980年サファリラリーで、1990年にはプロドライブとタッグを組み本格的にWRCで優勝争いをすべく力をつけ始め、1993年のニュージランドラリーで悲願の初勝利を飾る。

1993年ニュージーランドでレガシィの初優勝
写真出典:プロドライブ公式HP

このレガシィRSでの優勝を皮切りに、インプレッサ555を本格投入。そこからの快進撃は90年代の日本車黄金期のメインストーリーそのものだ。
スバルはそこから2008年の撤退まで、都合47勝を記録、表彰台は128回を数えた。
また、ドライバーズタイトルも3回獲得しており、それぞれC.マクレー(1995)、R.バーンズ(2001)、P.ソルベルグ(2003)の3名がスバル在籍中にチャンピオンとなった。

2003年型インプレッサWRC、所謂"S9"と呼ばれるモデルで"本棚ウィング"が人気
写真出典:スバルワールドラリーチーム

スバル自体も1995年~1997年までマニュファクチャラーズタイトルを3連覇しており、Gr.Aの末期からWRカー時代の初年度と跨いでの3連覇だ。
しかし2000年以降、急速に台頭してきたフランス勢は強く、先述の通りバーンズとソルベルグという二人のチャンプは輩出したが、2005年のグレートブリテンがスバルにとって最後の勝利となってしまう。
フランス勢の中でも、とりわけS.ローブとシトロエン クサラWRCのタッグは手ごわく、2005年の段階でソルベルグが3勝に対しローブは10勝を計上するほど差をつけられてしまう。更に明くる2006年~2007年は失意の未勝利でシーズンを終えるという、スバルにとって屈辱的な時期を過ごす。

そして2008年、中盤戦のアクロポリスラリーからGRB型のハッチバックスタイルを持つインプレッサを投入。所謂"S14型”と呼ばれるニューモデルであり、WRCにおける競争力の挽回が期待された。
そのS14型インプレッサWRCはデビュー戦ながら、アクロポリスラリーという新車にとって信頼性の面で非常にチャレンジングなイベントで2位表彰台を掴み取っている。
しかし、同年のリーマンショックに端を発する経済的な不安が世界に蔓延、当時の社長であった森 郁夫さんが2008年12月16日に緊急会見を開き、19年に渡るスバルのWRCプログラム終了を発表した。

WRC参戦の目標はおおむね達成した。これからは別の方法でスバルらしさを訴求していきたい。

富士重工業緊急記者会見の場にて, SUBARU, 森 郁夫, 2008.12.16

経済危機の中で、スバルを取り巻く経営状況も悪化しているとし、ブランドを守るために選択と集中の一刻も早い判断が必用だったと説明がなされた。
2009年のモンテカルロにスバルの姿はなく、同2008年限りでスズキも撤退していたため、日本車のWRC復帰は2017年のトヨタまで待つこととなった。


考えてみよっか

さて、ざっとスバル復帰話の震源地とスバルのWRC経歴について軽くおさらいしたところで、じゃぁスバルが今のWRCに打って出ることってあり得るのか?というのをいくつかの情報から考えてみたい。
あくまで筆者の"ぼくがかんがえたりゆう"なので、肩の力を抜いて読んで欲しい。さぁ、手に持ってるスパナは一度置いて、こっちに投げようとしないで、いいですか、落ち着いて聞いてください。

まだスバルはWRCに戻ってきていません
画像出典:X(旧Twitter)小島秀夫監督公式アカウントより(メタルギアソリッドV)

まず、現行規定であるRally1がどんなものか確認しよう。
Rally1は2022年から導入されており、下記の特徴を持つ。

・共通ハイブリッドユニットを持つ
・非化石燃料由来のサステナブル燃料を使用
・パイプフレームでシャシー設計が可能
・ベース車両の生産台数については規定されない
・Bセグ以外のモデルでもスケーリングでボディサイズの合わせ込みが可能
・ただし、ルーフライン及びボンネットなどデザイン変更不可箇所も存在
・エンジンは1.6L直列4気筒のGRE(グローバルレースエンジン)規定を維持
・アクティブセンターデフの廃止
・空力パーツについてもWRカーに比べ規制が強められる
・パドルシフトは禁止、ミッションも5速まで

掻い摘んで簡単に書くとこんな感じだ。
太字で強調している部分が、筆者の素人目線でスバルが復活するかどうか理由を考えやすい部分だ。よってそこを掘り下げて行こう。


スケーリングについて

スケーリングはその名の通り、モチーフ元になる市販車の見た目を持ちつつ許可される部分はデザインを変えて落とし込むことが出来る。
現在、Rally1を戦う3メーカーのうち、このスケーリングを最も活用しているのがMスポーツフォードじゃないかと思う。
Mスポーツが送り込むプーマRally1はもともとSUVといった出で立ちのクルマで、先代のフィエスタWRCのベースであるフィエスタに比べると当然大きい。

プーマの市販モデル、日本には未導入
画像出典:フォードUK公式サイト
2023年のラリーメキシコを走るプーマRally1
写真出典:Mスポーツ公式HP

当時、2022年シーズンのWRCローンチイベントをYoutubeで見た時、出てきたプーマRally1を見て、大分コンパクトに詰めた感じがするなと思った。
ウィングのボリューム感を差し引いても、お尻のでっちりした感じがかなりスマートにされていると感じた次第だ。
元々のプーマは全長4,226mm、全幅1,805mm、全高1,536mmだ。日本で走っているクルマで例えると幅だけGRヤリスで、その他はヤリスクロスと言った感じ。日本のシティSUV勢と比べると僅かながらにわがままボディさんだ。
これが数値にして何%ギュッとしたのか、ちょっと筆者では調べが付かなかったがGRヤリスRally1と並んでも同等のサイズ感であることから、スケーリングを使えばベースモデルが無理やりBセグメントハッチバックではなくとも良さそうだというのは解ってもらえたと思う。


どれ使うよ

先述のスケーリングを使えば、ベース車両は結構なんでも行けそうだと仮定し、スバルでは何が使えるだろうか?を考えて行こう。
エンジンについては一旦置いておいて、ボディだ。規定にある通り、ボンネットやルーフラインは変更が加えられないので、空力的な処理をした際に困らないかどうかも重要だ。

まずは新型インプレッサからだ。実は筆者の一番推しでもある。
画像出典:SUBARU USA公式HP

■インプレッサ(6代目)
2023年にデビューしたばかりのGU6/GU7系と呼ばれる6代目インプレッサ、一目見てスバルがRally1マシンを作るならこれベースにして欲しい!と思った。
スッキリした見た目はRally1にしてエアロ盛ったらギャップ萌えが得られそうなことと、ルーフラインの落ち具合もぱっと見都合良さそう。大きなウィングを取り付けたら男子小学生のハートをバキューンだ。
サイズが全長4,475mm、全幅1,780mm、全高1,450mm、ホイールベース2,670mmと全長がやや長い。が、これはスケーリングでなんとか押し込めてしまえば良いだろう。そもそもホイールベースが2,600±30mmの範囲に限定されるため、そのままの比率ではインプレッサはRally1になれない。
全幅もGRヤリスやプーマに比べるとスマートなので、エアロで武装した際にかなりワイド感がでてカッコよくなりそう。

カッコいいのは重要だ。


続いてクロストレック、先代まで日本ではXVという名称だった。
画像出典:SUBARU USA公式HP

■クロストレック(3代目)
次はクロストレック、まぁクロスオーバーSUVに分類されるので見た目のゴリマッチョ感が増した以外はインプレッサと共通点が見出しやすい。
サイズも似たようなもんで全長4,480mm、全幅1,800mm、全高1,575mm、ホイールベース2,670mmと順当なサイズ。
もしこちらを選ぶとするならば、なにがしか設計の都合上こちらの方が色々配置するのに都合がイイ。みたいな理由になるだろう。
GRヤリスの場合はフロントサスのダンパー上部、トップマウントの位置なんかも実戦車両で最適化できるようにと、量産モデルの段階でその辺を織り込んでいる
それがインプレッサとクロストレックで、そのあたりの部分がクロストレックに自由度が取りやすくパフォーマンスに寄与するのならば、きっとクロストレックが選ばれることだろう。
また、昨今のSUV需要の高まりもあって、セールス広告という点でもこちらの方が理にかなうかもしれない。

売れ筋を使うのも道理。


最後はWRX、だがしかし・・・
画像出典:SUBARU USA公式HP

■WRX(2代目)
レガシィRS、インプレッサ555、インプレッサWRCの系譜を考えたら本当はこっちでやるのが"伝統"という意味では筋が通るかもしれない。
だが、いくらスケーリングできるからと言って、トランクをすっぱり切り落とすのはいささか無理があるし、だったらインプレッサかクロストレックがある。

トランク前部に前進させて・・・みる?
写真出典:MMSP

じゃぁランサーWRCみたいに、ウィングを前に寄せますか?となるが、WRXをRally1にした際に、ダウンフォースのバランスがどうなるのか筆者には見当がつかないため一概にこうなるとは言えないだろう。
ランサーWRCの設計に携わったR.エストラーダ氏によれば、この前進したウィングはダウンフォース発生に伴う圧力バランスを前方へ寄せて、フロントで生み出すダウンフォースを有効的に使うためなのだとか。
尚、こうしたことでトランクを開けるとウィングが邪魔になるため、それをクリアする機構を持たせるのにえらい費用が必用だったようで・・・

話が脱線した。つまりWRXをRally1にするとなると、空力的に昨今のトレンドと少し相違がある様に思え、やってやれないことはなくとも、効率的ではないかもしれない。という部分に頭を悩ませる。
また、WRXの場合、後述のエンジンが猛烈にイメージとケンカすることになる。

純血種の苦悩は根深い。

尚、フォレスターやレガシィ、BRZなんかも世界中で販売しているが、考え出すとキリ無いので筆者的に3選ということでこの3台とした。


水平対向は使えない

痛い!!スパナ投げないで!!!違う!!!水平対向エンジンが役に立たないとかそういうんじゃないから!!!ステイ!!!ステイ!!!!!

Rally1は1.6Lの直列4気筒であるGRE(グローバルレースエンジン)に限定される。これがスバルのWRC復活の最大障壁であると共に、セールス上のイメージと大バッティングする。

スバルは知っての通り、水平対向エンジンを用いたシンメトリカルAWDというキャッチで自ブランドを宣伝している。これまでのWRCでの功績もEJ20という水平対向エンジンで築いたものであり、WRC以外のスーパーGTやニュルブルクリンク24時間でも一貫して水平対向エンジンを用いている。
当然、あのコローニとタッグを組んだF1エンジンも水平対向だった。

故にRally1となった時に見た目がWRXでも中身が1.6Lの直列4気筒だと、きっと荒れる。どことは言わないがあらかた面倒くさい"何か"が大爆発する。

皆まで言わせるな・・・

故に、先ほど挙げた3モデルのうち、どれが扱いに困るってWRXなのだ。より水平対向エンジンとのイメージが直結であり、その系譜を考えるとセールス的にまず無いと言わざるを得ない。
よってインプレッサやクロストレックとなるが、インプレッサもそれなりに水平対向エンジンが車種イメージの重要な部分を担っているので、かなり勇気がいる。
クロストレックの方がまだ車種名として若いので、万に一つ直列エンジンを搭載したならば一番炎症反応というか拒否反応が軽そうかな・・・?とは思うが、大なり小なりの混乱は免れない。

トヨタがGREの開発に関してスバルに協力をしても良いとモリゾウさんも言っているけれど、今回の噂に関してスライエム会長も最後に結んでいるが、結局スバル自身が"やる"と言わねば実現しない。
素人の筆者が暇な時間に考えても十分頭が痛いのだから、スバル本体としては莫大な費用がかかるのに、ブランドイメージとそぐわないエンジン造るなり使うなりして、WRCやる大義名分を打ち出せるかどうかだと言えよう。

ただ、レギュレーション改定のタイミングでもし、20○○年から水平対向もOKだよ。とか、現在出ているマニュファクチャラー3社が水平対向エンジン使用に対してOKを出して、特認という形で水平対向が投入できればイメージ上の大きな問題は払拭できる。
ただ、特認としたことがアドバンテージになってはいけないし、その辺は結構FIAがキツく締め上げるかもしれないので、勝てるエンジンになるかどうかは筆者では分からない。


アメリカでWRCを是非

スバルの各地域における連結販売台数(地域別) 
画像出典: SUBARU公式HP 事業別セグメント情報より

現実的な話をしよう。上のスバルの各地域における連結販売台数記録を見て欲しい、2023年3月期の販売実績が前年と比較されているが、米国でのスバル車販売台数は桁一つ違うのが見て解るだろう。
ここまで読んでくれている諸兄ならすっかりお分かりだと思うが、モータースポーツは市場への販促効果も担う側面がある。

スバルは長年どの市場よりも抜きんでて米国で売れており、スバル自身もアメリカを重点市場としている。そのため、アメリカでのWRC開催があればより一層、スバルとしてはWRC復帰のキッカケにしやすかろうと考える。
売れている市場でラリーに出て、自社のブランディングのため最大の宣伝効果を得る。筋書きはとってもシンプルだ。
だが、現在のWRCカレンダーにアメリカラウンドは入っていない。
入っていないが、アメリカはアメリカでARAという国内選手権があり、実はARAを舞台にスバルはずっとラリーを続けている。

2023年シーズンのARAはスバルのB.セメナックが王者に輝いている
写真出典:Subaru Motorsport USA

当然だが、ARAはRally1規定とは別であり、ARAに出ているWRXはそのままWRCには出ることは出来ない。ただ、アメリカでラリーイベントが全く無い訳ではなく、WRCには含まれていない。という状態だ。
最後にアメリカでWRCが行われたのは1988年のオリンパスラリー、この時はランチア所属のビアシオンが優勝を飾っている。
実の所、WRCプロモーターは現在、中東とアメリカでそれぞれイベント開催を目論んでおり、アメリカではテネシー州チャタヌーガが候補地になっている。
(2024年のカレンダー入りを目指していたが、どうやらそれは無理だったようで2025年のカレンダーに期待したい。)

アメリカでのWRC実施は、どのマニュファクチャラーも歓迎だろう、フォードはなんたって本家本元の地元だ。
トヨタもヒョンデもアメリカで大きな市場と顧客を抱えている。なので、アメリカでWRCイベントが実施されるとなれば、それはそれで盛り上がるに違いないと筆者は思うし、スバルだけでなく多くの関係者にとってもアメリカでのWRC開催は魅力的なはずだ。


やれそうなの?

ではここまでスケーリングによるモチーフ元車種使用するエンジン重要市場での販促の3点からスバルのWRC復帰が叶いそうかどうか見てきた。
だが筆者が見た3点で復帰の白黒は結論付けられない、スバルの経営陣はもっと色々な課題と向き合っているので、当然事はそう簡単じゃない。
だが、スバルがWRCに戻ってくるとなれば喜ぶファンは確実に居る。未だにWRCの中継映像にはSWRT(スバルワールドラリーチーム)のキャップやパーカーを身に着けたファンがチラチラ映る。
スバルがWRCで育んだキャラクターは、世界中のクルマ好きの中に生きているし、鮮烈なソニックブルーの勇姿は未だ色褪せていない。

素人の筆者なりに上記3点をまとめて総論とするに、エンジンが最も企業イメージとのバッティングで難しく思う。
今後のレギュレーション改定についてもどこの段階で何がどうなるのか、筆者の情報網じゃ大したことが書けない。けれども、もしスバルが内密にやりたい旨をモリゾウさんに相談し、モリゾウさんが

水平対向OKにしよ?

ってスライエム会長に話して、おけまる~!!となる筋書きを筆者的には妄想しているので、そういう方向に話を持っていけたらエンジン関連の問題が片付くかもしれない。
スバル以外にもシュコダのトップカテゴリー再参戦やアルピーヌ、ステランティスグループのどれかといった欧州ブランドが"FIAの復帰してくれそうかもリスト"に名前を連ねているので、やるなら早めに手を挙げた方が色々お膳立てしてもらえるんじゃないか・・・とも思う。

水平対向エンジンの認可か特認かの筋書きは、モリゾウさんがキーになって欲しいと筆者は願っている。スバルが復帰を割とマジで考えているならば、モリゾウさんに絶対相談して欲しい。
モリゾウさん自身がスバル車好き~!って言って憚らないし、モータースポーツを盛り上げたい、ラリーを盛り上げたい!というモリゾウさんなら、スバルのために動いてくれるだろう。と、筆者はモリゾウさんに全く根拠のない期待をめちゃくちゃ勝手に寄せている。


最後に

筆者の一番最初に恋したラリーカーは97年シーズンのインプレッサWRCだ。デルタS4も好きだったけど、ラジコンとして手に持って楽しく遊んだインプレッサWRCは思い出深い。
単なるファンの一人としてスバルがWRCに戻って来てくれるのなら嬉しいし、現在トップカテゴリーを経験しながらシートの都合で下位クラスで研鑽を重ねる選手も多い。
A.ミケルセンやO.ソルベルグ、G.グリーンスミスなど、ミケルセンは優勝経験者だし、ソルベルグ息子、グリーンスミスなども若手ながらRally1を経験している。また、ARAのB.セメナックがそのままWRCでレギュラーシートをスバルで得る。というのも面白いかもしれない。
スバルが復活すれば、概ね3人はシートを得ることが出来るようになり、選手権も華やかになる。確実にWRCにとってプラスだ。

他オペレーションをどこがやるのか、という点でも興味は尽きない。プロドライブと再びタッグを組むのか、スバルモータースポーツUSAが世界へ羽ばたくのか等、こういう部分も考え出すと中々楽しい。
ソルベルグがマキネンの様に監督として一つのメーカー系ワークスを率いる未来なんかももちろん考えたい。

何にせよスライエム会長とモリゾウさんのラブコールが、スバルを動かす未来に期待して正座待機するばかりだ。もしかしたら一番ソワソワしているのはソルベルグかもしれない。いつでもチームプリンシパルやる準備出来てるよ!ってテーブルの前で携帯電話を見つめているかも。

ソニックブルーが再びWRCの舞台に返り咲くその日を夢見て、本稿は以上としたい。
スバルよ世界中のみんなが待ってるぜ~!!

1997年サンレモラリーでのインプレッサWRC"S3型”操るはもちろんマクレーだ
写真出典:fotosport



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