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【富士山が見える山】 冬富士をのぞむ 明神山・三国山1月11日
厳冬期の富士山と山麓を見に来ました。
この日の富士山頂の正午の気温は‐23℃(気象庁アメダス)、三国峠は3℃でした。
木も草も越冬中で、一面の茶色の山です。
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山中湖の向こうに、南アルプスの山並みが良く見えています。
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冬どう過ごす?
落葉樹の冬芽はまだは固く、春は遠いことが感じられます。
冷温帯の樹木は、秋に休眠に入ります。
この期間は、たとえ暖かくなっても、冬芽が開いて成長を始めることはありません。その後、ほとんどの樹木では、十分な寒さを経験した12月下旬~1月初めには休眠は解除され、それ以後は暖かになれば、いつでも冬芽が開いて、成長を開始することができるのです。
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ウツギ、ニシキウツギの蒴果がありました。
蒴果とは、熟すと果実の皮が弾けてタネが飛び散る果実のことを言います。
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ニシキウツギは、昨年の5月に花を紹介しています。
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これも蒴果かな?と近づいてみると、アシナガバチの仲間の巣でした。
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明神山から下山の途中、落葉樹林の中からシカの「キョー」という鳴き声が聴こえました。
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シカの糞もあちこちに見受けられ、冬に餌を求めて、この付近の草や枝先を食べながら歩き回っているようです。
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向いの三国山のブナ林です。山頂の落葉したブナがシルエットになっていました。
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ブナの林冠が日に当たって白く輝いて見えます。
三国山にやってきました。
枝先が白っぽく光を反射し、これが先ほどの輝く林冠に見えたのでしょう。
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三国山にはブナの極相林があります。
三国山のブナについては、昨年も紹介しています。
今はブナの葉が落ちているので、足元を見てみることにしましょう。
|殻斗《かくと》は見られましたが、秋には沢山落ちていた熟した|堅果《けんか》は見られず、シイナだけでした。
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ここで、殻斗、堅果、シイナについて、整理しておきます。
堅果・・・ブナ科では、一番外側の堅い外種皮と、薄い内種皮が種子を覆っています。
殻斗・・・ブナ科で、2個の堅果を覆っている帽子のことです。
シイナ・・・受粉後、種子ができても、成長が途中で止まってしまうことがあり、シイナと呼ばれます。熟した堅過は、ふっくらとしていますが、シイナは、外種皮がへこんでみえます。
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さて、堅果はどこに消えたのでしょうか?
熟した堅果は、すぐにアカネズミが持ち去ってしまうのです。ブナの堅果は、アカネズミが越冬するための大切な栄養源です。
アカネズミは、外見だけから堅果が熟しているかどうを見分けることができて、熟していないシイナや、虫に食われた堅果は持ち去ることはありません。
太平洋側にある三国山では、冬季、降水量は少なく、根雪になることはありません。
そのため、林床の落ち葉は乾燥し、ブナの堅果も乾燥に晒されて越冬します。
日本海側のブナ林の林床が、冬季に数メートルに及ぶ積雪に覆われるのと対照的です。
そのため、太平洋側と日本海側のブナは、様々な点で、それぞれの環境に適応した形質をもっています。
その適応について、機会をみつけて紹介していきたいと思います。
(前回10月の明神山の記事はこちら↓)
「富士山が見える山」の連載はこちら↓
(過去の明神山や三国山の記事もあります)
「富士山お中道を歩いて自然観察」の連載はこちら↓
「富士山お中道の生物図鑑」の連載はこちら↓