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イベントのライブ配信・収録で必須となるインカムの決定版(高橋 茂/株式会社VoiceJapan)

最近は、オンラインでのイベントが増えている。
今までは会議室やホテルの宴会場などに人を集めて、講師やパネリストがリアルに講義を行ったり、議論していた。マイクの音声は会場に流れ、それを参加者が聴き取る。
音楽コンサートや演劇も、基本は会場に行って空気を共有しながら同じ時間を楽しんでいた。

それが、ここ2年ほど新型コロナウイルスの影響でイベントのオンライン化が進み、一時は「無観客」などというスタイルが主流となった。
徐々にコロナへの対応が進み、有観客イベントが戻ってきても、「ハイブリッド型」と言われるような、リアルとオンラインの複合タイプとして開催されることが多くなってきて、これは今後も続くと考えられている。

オンライン参加は、空気感ではリアル参加に負けるものの、遠隔地から参加でき、天候に左右されることもない。移動のための交通費もかからず、脚が不自由だったり、体調が悪くても参加できるというメリットがある。徹夜明けで開始時間直前まで寝ていて、寝ぼけ顔で参加(視聴)することも可能だ。

そんなイベントの配信や収録を行う際、配信や撮影のトラブル対応の他に、現場で頭を悩ますことが度々発生する。

それは「スタッフ間のコミュニケーション」。

ひとりで全部行っているのであれば問題無いのだが、複数人となって操作卓にいるスタッフがカメラマンに指示を出したい場合、もしくはカメラマンが卓のスタッフに連絡したい場合に、いちいち相手のところまで足を運んで指示しなければならないのだ。
「もう少し(ズームで)寄って!」
「ステージ脇のピアノを抜いて」
「(カメラの)位置を少し変えたいから、ちょっと三脚動かす」
など、チームによって内容は様々であろう。

そんなときに活躍するのが「インカム」だ。

私は最初、Amazonで5000円くらいで売っていたトランシーバーを買って音楽イベントで使ったのだが、呼び出し音がけたたましく鳴るのを設定で抑えたり、イベントの最中に急にノイズが入りだして、使い物にならなかったりと、散々な目に会ってしまった。
さらに、イヤホンを耳に入れていても腰に本体を付けていると、操作をするのに間違ったボタンを押すとか、話すときにいちいち本体のマイクに口を近づけるとか、操作性が良いとは言えない。

そこで、専用に開発されたインカムを探すのだが、業務用となると急に高くなってしまう。トランシーバーでも数万円はざらで、業務用のヘッドセット型ワイヤレスインカムともなると、10万、20万という金額は普通に目にする。
そこで注目したのが、Hollylandの「Solidcom C1」だ。

Hollyland solidcom c1

今回(やっと本題)、Hollyland solidcom c1 をテストできる機会をいただいたので、早速使ってみた。

まず仰々しいケースを開けてみる。

かなりがっしりしたケース
ひとつずつ丁寧に袋に入っている 右端は充電器
本体、イヤーパッド、マイクの先端に付けるカバー、充電器など

充電池は、本体が4つだと倍の8つ入っているので、使用中に予備を充電しておくことも可能だ。
デザインが角ばっていてごっついので、最初は付け心地と重さが気になったが、実際手にとってみた感じは思ったより軽いというもので、装着してもそれほど違和感は無かった。

マイクを口の前まで下ろすと話すことができる
片側は耳を覆わないので、会場の音もよく聞こえる

電池の挿入や電源を入れるのも簡単で、間違えることは無い

電池は蓋を開けて入れるだけ
電源スイッチも外のスイッチが無い場所なので間違えにくい

さて、実際に話してみた感じだが、今回現場でのテストができなかったため、自社オフィススタジオでスタッフと会話を行った。

取説が無くても使い方で悩むことは無い。音声は明瞭で、部屋の中で音楽を鳴らしていても、しっかり耳元で声が聞こえる。おそらく音楽コンサートにおいても、会場内の大音量でコミュニケーションが取れなくなることは無いだろう。

仕様は以下の通り
①伝送距離:約350m
②バッテリー:2.5時間充電で親機5時間、子機10時間
③遅延:35ms
④重量:168g(バッテリー込み)

親機と子機はプレートの色ですぐに判別可能

親機は赤のプレート
子機は青のプレート

親機と子機の外観上の違いはプレートの色だけで、機能的には子機が電源を切っても残りの子機と親機でやり取りができるけど、親機の電源を切ったときは子機どうしでやりとりができなくなる、ということくらいらしい。つまり、親機は必ず電源は入れておくということだ。

この外、実際の使用の様子は、YouTubeに多くあるので、そちらを参考にしていただきたい。

さて、使ってみて導入するかどうか。
悩んだ末に、今回は購入を諦めた。
理由は2点。
ひとつは使用頻度と規模の問題。
弊社(いきなり仕事モード😅)では、配信や撮影業務は週に一回程度しか無い。イベント会場に出張するようなものは月に1度くらいだ。
しかも、スタッフ入れて総勢2名というのがほとんど。
確かにあると便利なのは間違い無いのだが、実際に使用するパターンを考えると、一度の配信で3回ほどやりとりすれば終わってしまうために、
価格に見合うだけの使い方ができるかどうか心許ない。

その価格が第2の理由。
今回は4個セットの「solidcom C1-4S」だったが、これが¥143,000(※家電量販店)。2名で使うための「solidcom C1-2S」というのもあって、これが¥70,400(※家電量販店)。これを高いと見るか安いと見るかは、やはり使用頻度と内容によると言えるだろう。

逆に使用頻度が上がるとか、スタッフが今以上増えるとなると、間違いなく必須機材となる。私のような使い方であれば、レンタルがベストだ。

イベントの配信や収録は、常にトラブルとの闘いだ。それは、ネット回線の不調から、機材の故障、予期せぬ段取りの手違いや、当日の無茶な要求など多岐にわたる。
その中で迅速にトラブルを回避し、対処していくために、スタッフ間のコミュニケーションが最も必要であることは言うまでもない。

Hollyland solidcom C1 は、トラブルを回避し、より質の高い配信・撮影を実現するための強い味方となるだろう。


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