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Hollyland Solidcom C1 試用レポート(松本琢真/倉敷アヴェニュウ)

Facebookのコミュニティ「ライブ配信部」にて募集されていた「Hollyland Solidcom C1試用キャンペーン」に参加しました。前回のMARS 400S PROに引き続きHollyland製品の試用レポートとなります。(決してHollylandさんの回し者ではありません)

短い間ですが、製品をお借りして使ってみたのでレポートしたいと思います。今回お借りしたのはハブ(ベースユニット)なし3台セットの Solidcom C1-3Sです。

最初にお断りしておきます。長文です。そして個人的主観で辛口です。
筆者はジャズ喫茶を経営し、毎晩ジャズライブを配信しています。
そのため、音楽配信の観点から製品を試用してレポートを書いています。

全ての機能を使ったわけではないこと、一般的な用途からは少し外れるかもしれないということ、もしかしたら使い方を間違っている可能性だってあります。その点、予めご了承ください。

良い点

  • かなり遠くまで届き切断しづらい

  • マイク感度がよい

  • 他製品に比べ軽い

  • バッテリー長持ち

  • 最大8台までつながる

  • 1.9GHz帯なのでWiFi干渉しない

悪い点

  • バッテリー残量がわかりづらい

  • USB給電ができない

  • ハブ(ベースユニット)がないと単機能

  • おさえ圧が強い

  • 公式サイトやマニュアルが英語のみ

    と、ざっくりとした感想は以上となります。
    ここからは、各ポイントをじっくりとみていきます。

公式サイト

https://www.hollyland-tech.com/detail-solidcomc1

こちらのサイトを見てみると…当たり前ですが英語サイトです。
(日本で売る気ならせめて日本語サイトを作りましょうよ・・・。)

「1,100フィート(350m)の全二重ワイヤレスインターカムヘッドセットシステム」と大きく書かれています。
この製品の売りはやはり飛距離なのでしょうね。

セット内容

今回お借りしたセットの内容です。

  • SolidCom C1 本体3機

  • 充電器

  • バッテリー6個

  • USBケーブル2本

  • マイクジャマー予備

  • ヘッドフォンアタッチメント3台分

  • 収納ポーチ

  • シール

  • 説明書

  • 専用ケース
    ※ハブ(ベースユニット)が付属しないセットです。

専用ケース

多分誰も収納ケースのレビューなんてしてないと思うのでやっておきます。コスメボックスのようなほぼ正方形なこのケース。なかなかおしゃれです。
こちらもヘッドセット同様に黒くて目立たない仕様。

中には取り外し可能な仕切りもあります。カメラバッグみたいな感じ。
蓋側にはファスナーがついた小物収納があります。

先ほど写真に写っていたものを全部収納するとこんな感じになります。結構はいります。

そして、女性が持つとこんな感じ。当店女性スタッフに持たせてみました。
もうヘッドセットが入ってるとは思えません。
と、冗談はこれぐらいにしておいて・・・

外観など

外観は黒を基調としていますが、ガジェット好きな人にもウケそうなかっこいいデザインとなっています。
全体が半ツヤ消し黒になっていて、撮影現場で目立たないように工夫されているあたりが業務用製品ですね。

バッヂの色が赤と青があるんですが、赤バッヂがマスター(親機)、青バッヂがスレーブ(子機)となっています。
なんか(・_・)(・_・)みたいな顔に見えちゃう~

使用にあたってはマスターは絶対に使わないといけないみたいです。スレーブだけでの使用はできないっぽいです。
マスター1台に対して最大5台のスレーブを接続できるとのこと。ハブを使えば最大8台とリンクできるらしいです。残念ながら今回お借りしたのはハブ”なし”モデルです。

最大5台接続ですが、3台しかないので3台つないでテストしてみました。
簡単にペアリングもでき、パッと出してすぐ使える感じです。

ただ、このシステムだとマスターの使用頻度が必然的に高くなるので、故障率から考えるとマスターがスレーブに対して早くボロくなりそうですね。

このあたりは設定でマスターにもスレーブにも変更できるようにしてもらえると急な故障時にも安心できるのではないでしょうか。
5台あってもマスターつぶれたーってなったら全部使えないってことになります。
内部構造に違いがあるのかはわかりませんが外観はバッヂの色の違いしかありません。ファームウェア更新とかで実現できたりしないのかな・・・。

マイク部をグイッと曲げてみました。これでも全然平気~。頑丈です。

このマイク部のレバー部全体を垂直位置まで持ってくるとマイクがミュートされます。そして下へ下げていくとミュート解除。
よくあるボタンタイプではなくマイク部を持ち上げたり下げたりすることでミュート操作できるというのはいいですね。
手元を見なくても操作できるというのは本当にありがたい。

大きさの比較。右がSolidcom C1。左はSONY MDR-CD900ST
CD900STに比べて若干小ぶりなかんじ。
ヘッドバンド部のアール具合で圧の強さが分かるでしょうか。

付属のスピーカー側のイヤーパッドは2種類あります。
スポンジタイプとイヤーカップタイプ。
できるだけ外音を聞きたくなければイヤーカップタイプを使うようです。
ひねるだけで簡単にとりはずせます。好みの方をつかいます。
私はイヤーカップタイプを選びました。

パワーサプライ

専用バッテリーを専用充電器で電します。
同時に4つのバッテリーを充電できます。
さらにヘッドセット台数が多いキットは6個同時に充電できる充電器が付属しています。

なお、後述のUSB端子からはバッテリーに充電できないということが発覚。
待てども待てども充電がいくら待ってもできないから、レンタル品を壊しちゃったかも!?と大変あせりました・・・。

USB充電器をつなげるとご丁寧に充電してるっぽく緑ランプが点滅するんですよね・・・でも、充電はされていません。
USBで充電ぐらいできるようにしてよー。

これ結構、痛いポイントだと思うんですよ。
バッテリーを事前に充電し忘れたとか、長年使っていてバッテリーが劣化してきて持ち時間が短くなってきて、急な給電が必要となった場合はもうバッテリー交換でしか救う道がないってのはちょっと・・・。

基本的にバッテリーが長持ちするとはいえ・・・長時間の現場では予備バッテリーを交換するタイミングなども考慮する必要があるでしょう。

バッテリーを充電し忘れるというミスも起こりうることなので、ミスをリカバーできる手段は欲しいところです。

バッテリーは専用品で、容量は700mAhです。

入出力端子

入出力端子としてはUSB-C端子が1つあるだけです。ポツンと。
PCとつないでやれば自動認識してZOOMとかで使えるんでしょー?!

って、つないでみましたが、どうやらハブ(ベースユニット)がないとダメみたいです。

「STMicroelectronics Virtual COM Port」というデバイスとして認識されて、サウンドデバイスにならないんですよ。
ドライバーが公式サイト内にあったので入れてみたのですが、変化なし。
WindowsもMacも同じ結果でした。
このUSB端子、ぶっちゃけファームウェアの更新ぐらいにしか使い道がありません。

マイク部にLEDがついているんですが、緑点灯していればリンクが完了しているという印です。点滅はペアリング中。

赤はバッテリー残量が少ないことを示していますペアリング成功とバッテリー残量少については音声でも教えてくれます(英語です)
(ちゅうがくせい~ → ペアリング成功)
(ローバーッ → バッテリー少ない)
空耳的にそう聞こえます。

装着感

ヘッドセットを装着してみました。
スピーカー側は耳へ、反対側は耳の上あたりにくるように装着します。
スピーカー側は耳を覆う形なので安定していますが、反対側はつるっと滑ってしまう感じがあります。
そのため、装着時の圧は一般のヘッドフォンに比べて強めです。
長時間つけていると痛くなるかもしれません。

カメラマンS氏も装着。
頭の大きい人はちょっときつそう・・・
圧が強めなので2時間のライブ終了後に「ちょっと痛い・・・」とボヤいてました。
ズレ落ちにくいのはいいのですが、相反する要素なので難しいところです。

伝送距離

公証350mとのことですが、それはあくまで障害物のない見通しのよい直線距離でのお話でしょう。屋外での利用時などで本領を発揮すると思いますが、障害物の多い屋内ではどうでしょうか。
壁や天井、はたまた電子レンジなどの電子機器も多く通信障害は起きやすい環境といえます。

テストしてみたところ、1Fと2Fの端と端でも音切れやリンク切断などは一切起きず、「こんなに届くの!?」と驚きました。

屋外ですぐ近くを大型トラックが通るなどした場合はブツブツと瞬間的に途切れることがありました。車から出ているノイズが原因と思いますが、音声が途切れることはあってもリンク切断されることはありませんでした。
安定した接続が確保されています。
スマホを近づけてもブーンという音が入るようなこともありません。
これは1.9GHzという2.4GHzでも5Ghzでおない周波数帯が効いているんでしょうね。そして低周波数だけに障害物にも強いのもうなづけます。

余談ですが、テストを手伝って!と、隣室にいるいる妻と会話してみました。問題なく行えました。壁越しなのですが、声は届いています。
しいては妻の心の壁も通り抜けてほしい。
冷めた夫婦仲を改善できるのであれば少々高くても買います。

どんな用途で使ってる?

このSolidcom C1を使っている方のブログやYoutubeなどを見てみると、スポーツ中継などのカメラマンとスイッチャー係のやりとりに使ってるパターンというのが一番多いようです。しかも絶賛している人がほとんど。
それも伝送距離と切断しづらいという点が評価されているようです。

それならば!と私もそれにならってスイッチャー係~カメラマン間のやりとりで使ってみました。
音楽ライブで、3台セットの中の2台のみの使用です。
またスイッチャー係は音声ミキサー係も兼ねています。

いざ本番!

私が行っている配信は「ジャズライブの配信」です。
要するに楽器の演奏を配信しているわけです。
今回はドラムとベースとピアノという構成のバンドで、ジャズといってもクラブジャズというジャンルなので結構な爆音でのライブとなります。

協力:Alter Ego 公式サイト https://www.facebook.com/alterego.clubjazz/


スイッチャーは客席後ろにある区切られた小部屋、カメラマンはステージすぐそばという状況で挑みました。

結果として、スイッチャー → カメラマンへの声は問題なく伝わりましたが、カメラマン → スイッチャーへの声はほぼ聞き取れませんでした。
というのも、演奏している音楽が爆音すぎて、その爆音な音楽だけがずっと聞こえてきたのです。

大きな声で話せばいい・・・といっても楽器用のマイクにその大きな声が収録されてしまう可能性もあるので、大きな声を出すわけにもいきません。
演奏中はカメラマンの声はほとんど聞こえず、爆音ドラムの音がひたすら聞こえてきました。
幸い、スイッチャーからの声は聞こえていたようなので一方通行な感じではありますが、なんとか最低限の目的は達成できましたが、相互コミュニケーションという点においては不満が残る結果となってしまいました。
画を作る上で、カメラマンとリアルタイムで相談できる環境を夢見ていましたが、無理でした。これは我々の使い方、条件が悪かったなと思います。

困ったことその1 バッテリー残量がよくわからない

使っていて不安だったのはバッテリー残量が残りどれぐらいあるのか、分かりづらいことです。
マイク部のインジゲーターのランプの色で判断するのですが、緑と赤しかないんです。バッテリーが切れそうになると音声で「ローバッテリー」と聞こえますが、そこから一体どれぐらい持つのかわかりません。一時間以上は持ちました。
そもそも、満充電なのか半分ぐらいなのかもわかりません。
せめて3段階ぐらいでいいのでレベル表示が欲しいです。

困ったことその2 外部音声入力がない

今回の環境は、スイッチャーがミキサーも兼ねているという点。
ミキサーは当然ながら音楽を調整するためにヘッドフォンをするんですよ。
ヘッドホンをしていたらヘッドセットを付けれません。
これはもう使用条件自体からしてアウトな感じです。
どうみてもこれは我々が悪い。

ミキサーを一人用意すればいいだけのことなんですが、弱小経営者の懐具合なんてこんなもんなんですよ。一人で何役もしないといけない現実。
ヘッドセット買う前に、人雇え!…って怒られそうですが・・・。
それでは負けた気がするので、ヘッドフォンを装着して、その上からヘッドセットを無理やりですが重ねるように装着してみました。
このヘッドセット、圧が強いわりに結構開くんですよ。
最終形態ともいえるこの姿は写真を撮り忘れました。
「なんかオペレータールームにバケモノがいるようなそんな感じ」とスタッフから言われました・・・・。
ヘッドホンモンスターでもなんでもいいよもう・・・。

ステレオヘッドホン+マイクという構成で、かつ外部音声入力ができていればよかったんですが・・・・。
もしくは、スタンド型の置き型タイプがあってもいいのかなと思いました。
ハブ(ベースユニット)があればできるっぽいです。
そちらを借りたかった・・・・。

無線であることの素晴らしさ

よくあるトランシーバーだと、ポケットに本体いれて、そこから有線ヘッドホンとかイヤホンで耳に・・・という形になると思いますがこのSolidcom C1は線が1本もなく本当にスッキリ。変なところにケーブルが垂れ下がったりひっかかったりすることもありません。
好きなところへ移動できます。
そして両手がフリーになる、このメリットはトランシーバーやスマホでは無理です。

まとめ これは買いなのか?

10万円以上もする高額商品。
実際、これは導入する価値がその値段に見合っているのか?
「業務用品だものそれぐらい普通さ!!安いぐらいさ!」
といえばそれまでなのですが、私のような弱小経営者にはおいそれと買えるものではありません。

「インカムって、あったら便利なんだろうけど・・・トランシーバーやスマホで代用してる」
っていう方が圧倒的多数なのではないかと思います。

実際に使ってみると分かりますが、スイッチャーとカメラマンのコミュニケーションを実現するにはインカムは超ありがたい存在です。
トランシーバーみたいに線がないしボタンも押さなくていいんです。
これね、一度使っちゃうと、ないと困る。
ほんと目の前にいる複数の人と話しているような感覚。

今回のカメラマンはステージのすぐそばで、爆音の中だったため、カメラマンからの音声はずっと爆音の音楽という状況でしたが、スイッチャーからの音声はしっかり聞こえていたそうです。
解決策としてはマイク部分を覆って、外部の音が入らないようにするカバーのようなものがあればいいと思うので、オプションパーツとしての拡充も期待したいです。

結局のところ、「爆音の中で使う」という条件ではない方は、導入しても後悔はしないでしょう。後悔どころか手放せなくなります。
爆音の中の人は、もう少し待つか違うコミュニケーション手段を考えた方がいいでしょう。

御礼

モニターさせていただきましたHollyland社様、ライブ配信部の木村玲様、ありがとうございました!大変貴重な試用ができました。
おかげ様で冷めていた夫婦仲も少し改善したように思います!きっと、たぶん・・・・・がんばります!(笑)


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