例のマンガを読んで考える

Twitterで話題になっている例のマンガこと「ててなつ」先生の「3人でゲーム作るまんが」。これが賛否両論らしい。

まずはこちら。ててなつ先生のnoteより。

最初に自分の感想ですが、「上手い!」です。

もちろん、この社長のやり方ではなく漫画としての表現の話です。

私はゲーム業界にも絵を描く仕事にもついた事はありませんが、エリートや所謂意識高い系の人とは多く仕事でお付き合いしてきましたし、上司や教育係として接してきました。

その経験から、このマンガに出てくる芸大生「神崎さん」の様なエリートは、自身のプライドが邪魔してしまい独り善がりの自己満足で物事を考えてしまうであろう事は解ります。
だからまずこの鼻っ柱を折ってあげないと先々潰れていくのは目に見えちゃってるんですよ。

ただ、やり方に気を付けないと確実に喧嘩になります。

会社としては是非欲しい。でもこのままだと確実に上手くいかないし、いい作品も望めずに求めるものと出来上がるものがチグハグになって挙句に共倒れ、結果として双方何も残らず次に進むどころかお互いマイナスで終わっちゃいます。

そういう意味でこの社長は上手くまとめ、会社にとっても芸大生にとってもWin‐Winな形で物語は終わります。

いや、これね。ストーリーテリングとしては結構使われてる手法なんですよね。それが今回twitterで賛否両論巻き起こしてトレンドにまで入るという事は、それだけ適当だったり正当な対価を払わない詐欺まがいのクライアントが増えたと共に、フリーランスで仕事をする人間が増えたって事だと思うんです。

自分も当時勤めていた会社の社長に頼まれて知人にイラストを依頼した事があります。
ギャラを話し合いで決め、ラフ画も時点で社長にOK貰い線画が出来た時点で社長が「なんか違うんだよね。書き直してもらってくれる」と言い出しまして……。
どういうイメージでどういうのが欲しいのか聞いても「何点か書いてもらって」しか言わないし、間に入ってるの辛かったです。

そのイラストレーターさんとはお付き合いが切れました。
自分が頼める外注のイラストレーターさんというより、定期的に食事とか行くような仲だったので結構堪えました。友人を失くしたようなものですからね。自分ももっと気を付ければよかったと反省してます。

特に芸術の分野って解らない事は多いと思うんですよ。
イメージを伝えるのって難しいですから。
細かくイメージを伝えられないなら、上がってきた作品が自分のイメージしてたものとは違うのは当たり前です。
でも、こういう責任者は驚くほど多いんですよね。
自分もデザインの仕事受けてたから解ります。

そういう現実も踏まえてこの作品を読むと、社長さんもクリエイターだからこそこういう行動をとったんだなというのが見えて来るんですね。
金をケチって安く使いたいというのは本音としてあるだろうけど、同じクリエイターとして神崎さんの成長を即し、同時にいい作品を作り上げるというゴールに向かう為の行動だと読めるんです。

そしてtwitterでの避難の意見を見たんですが、確かにそうも取れるなと思いました。
特に感情の操作という点で社長を非難し、神崎さんの立場として考える方が多いのも納得出来ます。しかし、もう少し読み込んでみると社長の行動が何を意味しているのかも解ってくると思うんですよね。

作品ってやっぱり初見で感じた第一印象で決まっちゃうから難しいと思うのですが、それだけリアルに感じられる作品という事で是非もう一度読んでみて欲しいなと思うのです。

色々な作品を観たりネットの感想を見ていて思うのが、作品がちょっとでも自分の意見と違ったりすると悪い方向でしか見れなくなってしまう方が多くなったなって感じます。
自分は作品を観る時って先入観からネガティブなイメージで入る事が多いんですが、マイナスなイメージで観ていた作品に打ちのめされて絶賛に代わるのを何回も経験してるんです。その感覚がクセになってる程です。

だから金返せ!だったり観なきゃよかったって作品の山を乗り越えて、今日も面白い作品を探し続けてるんです。

この「3人でゲームつくるマンガ」にネガティブなイメージを持ったみなさん。この作品って読み込めば感想が変わるいい例だと思うんです。

よかったらもう一度読み込んでみませんか?

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鈴木さん
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