Death and Tax
一昨日は映画館でひとりでアラジンをみた。
昨日は家でひとりでジョーブラックをよろしくをみた。
その公開当時ブラッドピットは主演作がどれも飛ぶ鳥を落とす勢いで、そのなかでこれはちょっとはずれだったみたいな触れ込みだった気がする。だから見逃したけど気にしていなかった。ほかのドンパチやる作品はどれも面白かったというのもある。
それで20年越しに初めてみることになったこの映画。結論からいうと素晴らしかった。ストーリーも娘の恋と死神と父の死という突飛な組み合わせだけどとても引き込まれた。
少ない登場人物、時間軸が飛ばない正味2週間くらいのできごと、もちろんCGとかドンパチとか派手な演出もない、場所もNY(自宅やカフェ、勤務先、病院)と徒歩圏(+自家用ヘリ)の生活圏だけ。演者の芝居が輝る映画だった。こういうのはとても好みだ。
日常の思いがけぬ瞬間に、恋に落ちることがある。
思いがけぬ瞬間に、事故でこの世からいなくなることがある。
身近なひとも、今目の前にいる健康なひとも、いずれ死んでしまう。
そうした日常の中の、深い部分を見せてくれた。
細かい癖、所作だけがすべてをかたるようなコーヒーショップの場面は最高だ。
コーヒーの飲みかたが同じだった。所作がシンクロした。
それだけで恋に落ちる。
とにかく女優さんの表情を見逃したくなかった。そのシワのできかた、口角の上がり方に優しさと素直さが溢れていて、みるだけで満ち足りた気分になる。彼女だからこそ、父が彼と橋を渡って逝ってしまったとき、父の死と彼が死神であったことを瞬時に悟った時も、静かにやさしい眼差しでいられたのだと思う。
ひとやものごととの向き合い方。女性としての包容力、素直さ、とても勉強になった。