目のパーツ分けが重要な理由 ─ Vtuber向けLive2Dモデル作成のポイント
Vtuber向けLive2Dモデルの目のパーツ分けについて、開き目と閉じ目の2パーツで作成できないかという疑問があるかもしれません。
実際、その2パーツでまたばきをさせる事は可能ですが、Vtuber向けモデルとして作成する際には問題が生じます。
では、なぜ問題が生じるのかを見てみましょう。
まばたき
まずは以下の目のパーツ分けによって作成できる瞬きをご紹介します。
通常のパーツ分けをしていない目でも、開いた目を縦につぶしながらフェードアウトとフェードインのアニメーションを適用することで、まばたきを表現することができます。
しかしこの方法で作成されたまばたきをVtuber向けモデルに組み込もうとすると、その弱点が露呈します。
それは「シームレスでない」という点です。
シームレスとは、つなぎ目のない滑らかな状態を指します。
ゆっくりとまばたきアニメーションを再生すると、その違いがよく現れます。
パーツ分けをしない方法で作成したまばたきでは、開いた目から閉じる目へ切り替わるときに、どうしても2つのパーツの切り替わりが目立ってしまいます。
さらに、瞬きの途中に瞳も縦につぶれたようになってしまいます。
トラッキングモデルに必要なシームレスさについて
Vtuber向けモデルは、一般的に「トラッキングソフト」と呼ばれるソフトウェアを使用して動かされます。
これはフェイストラッキングソフトとも呼ばれ、カメラを通じて演者の動きを検知し、その情報をモデルに反映させるためのソフトウェアです。
カメラの前で演者がゆっくりまばたきしたり、目を細めたりした場合でも、自然な動きを再現する必要があります。
そのため、Vtuber向けモデルの中で、トラッキングによって制御されるパーツ(目や口など)は、シームレスであることが求められます。
開いた時、閉じた時のまつげの向きの変化について
まつ毛のふさとアイラインは、必ずしも分ける必要のあるパーツではありません。
しかしこのパーツを分けることによって、目を閉じたときにはまつ毛の向きを変えることができます。
これによって立体感とボリュームのあるまつ毛を表現することができます。
まばたき時のまつ毛の歪みを抑制することもでき、まつ毛のながいキャラクターデザインであればメリットの多いパーツ分けとなっています。
瞳の表現
レンズ的表現
目の構造について調べたことはあるでしょうか、瞳のなかの黒い点、瞳孔は目玉の表面に張り付いているわけではありません。
瞳孔はレンズのような透明な物質の内側にあります(詳しくは「目 構造」などでお調べください)
顔のX軸(横の向き)について可動域を広くとる予定ならば、瞳孔と虹彩、瞳に映るハイライトをパーツ分けしておくことで、レンズの奥行き感を表現することが可能になります
瞳揺れ
瞳はモデルの見た目の中でもかなり注目されるパーツです。
この瞳について物理演算機能を使い、瞬きをした時に揺らぐような変化をつける手法がよく注目を集めています。
これが瞳揺れと呼ばれています。
瞳揺れはLive2Dモデラーによって手法が大きく異なります。
さらに、私はイラストの絵柄によって手法を変えること、揺れ具合を変えることもあります。
(私個人はリアル志向に強いものほど控えめにします。)
もしハイライトが沢山ちりばめられているイラストのパーツ分けならば、そのハイライト一つ一つをパーツ分けすることでハイクオリティなモデリングへ繋げることが可能です。
その分多くの手間と時間はかかります。
イラストレーターやLive2Dモデラーの労力や依頼者の予算などからどれくらい詳細にパーツを分けていくかはよくよく検討して事前に決めることが重要です。
まとめ
開き目と閉じ目の2パーツでまばたきを作成する方法は問題が生じる
トラッキングモデルにはシームレスなまばたきが必要
目を閉じた時のまつ毛の向きを変え立体感やボリュームのあるまつ毛を表現できる
瞳のパーツ分けによってレンズの奥行き感や瞳孔の収縮を表現できる
物理演算やパーツ分けによって瞳の揺らぎを表現する瞳揺れが実装できる
ここまでお読みくださりありがとうございました。
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