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味道福爾摩莎(味の台湾)
台湾と聞くと何を思い浮かべるだろうか?
タピオカミルクティー、小籠包、マッサージ、親日、臭豆腐、夜市、滷肉飯、木瓜牛奶、芒果冰、蔥抓餅、地瓜球…
思い浮かべるのは食べ物ばっかりではないか。
いやそれでいいのです。台湾こそグルメの国なんですから。
今回紹介したいのは、みすず書房から上梓されてる「味の台湾」という本です。
私は年に1回、台湾を訪れるようにしているが、グルメよりも観光に重きをおいてしまって、台湾は何が美味しいか訊かれても、どう答えていいのかわからなかった。
友人から台湾通と思われたい私は「味の台湾」という本を知り、食に関しても知識を蓄えることにした。
台湾料理というのは、水気たっぷりのもの、汁に浸っているものを指すようで、おそらく皆さんが台湾に行ったら食べるであろう小籠包は(汁はあるが)上海料理なのである。
そのようなことも教えられつつ、この本は台湾の味とは何かと60種類の料理が説明されている。
また作者が絶品のお店も紹介してあるので、自分が今度台湾に行ったら、訪れようと記録もしておいた。
そして先月台湾に行ってきたのだが、結局予定を詰め込みすぎて、記録していたお店に全く行けなかったのである。
私が「味の台湾」の中で特に好きなところは茶葉蛋の紹介である。
茶葉蛋とは煮卵のことだが、台湾ではコンビニで売られているほどポピュラーな食べ物だ。女子学生が朝に茶葉蛋を買っていく姿を見て、台湾ならではと思った。日本では売っていたとしても(周りを気にしてか)煮卵に齧りつく女性など見かけないからだ。
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私も数回食べたことはあるが、美味しさは特に感じられなかった。
しかしこの本でも紹介されているが、日月潭の茶葉蛋は格別だった。
コンビニのものとはまるで違うなにかがそこにあったのだ。
皆さんも日月潭を訪れたら、ぜひ食べてほしい。
最後に作者が人生を茶葉蛋と例えた一文がある。
私はその文を読んで、茶葉蛋に何も感じていなかった自分を恥じた。
10元!安い!ではなく、そこには人生のような深いストーリーがあるのだ。その文を引用して、今日このブログを締めたいと思う。
人生とは茶葉蛋のようなものだ。ときに傷跡や欠損があり、茶葉を煮込んだように、かすかに苦みがある。苦みの中に甘さがあり、渋みの中に楽しみがある。それはほほえみの中に涙がきらめくようなものだ。