告白できなかった話
昔に書いたnoteで「確定演出」という単語を用いたことがある。よくないワードチョイスだったなと思う。書いている内容もとても失礼で、自分本位でしかなかったなと思う。
元バイト先のとある後輩と最後のシフトの日、「なんで辞めちゃうんですか」と涙目になっていたように見えて、翌日にご飯に誘ってみた。自分の記憶では「明日ご飯誘ったら来ますか?」って言い方をしていて、良くなかったなと反省している。「このあと渡したいものあるんで」とバイト終わりに選別の品をもらったり、「LIVE行きましょうよ」って誘われてフェスのチケットをその場で買ったりした。
それ以降もずっとLINEのやり取りをしていた。引っ越しの日も社会人になってしまう日ももれなく。
社会人初週の土曜に飲みの予定を入れた。初週を終えたタイミングで飲みたかった。バイト先の同級生との飲みだったから前に住んでいた街の近くの居酒屋になった。普通に名残惜しいしかつての最寄駅で始発を待つことにした。それをストーリーに載せたら、「今からちょっとだけ会えませんか」と連絡が来て一緒に散歩をした。
空が少しづつ白み出した頃、自分が変なことを言った。「LINEのやり取り終わらそうとしてた」みたいな。会話に付き合ってもらっているのが申し訳ないなと自分は本当に思ってたし、途切れるなら途切れるで良いやと思っていた。「すごい頑張って話そうとしてたのに、ひどい」「頑張ったのになあ」みたいな。
この後に及んでまだ、この状況になってもまだ、「そうじゃない根拠」を探そうとしている自分がいた。あるに違いないと思っていた。もしかしたら、となんとなく感じてたことが勘違いだと思おうとしていた。
雨がぱらついてきた。
後輩の灰色のパーカーの色が濃くなっていく。
世は完全に明けてしまった。
酔いも完全に醒めている。
「このまま何もないまま帰れないなあ」「せっかく会いに来たのに」「ただの元後輩ねえ」というようなことまで言われて、それでもまだ勘違いの可能性があると思っていた。
後輩に対して、しのごのと御託を並べてしまった。他人に言うようなことじゃないことも言ってたと思う。でも全部喋ってた。
それでも結局、「付き合ってください」が自分の口からはどうしても言えなくて、後輩側にそれとないことを言わせてしまいました。本当に良くなかったです。言えなかった理由も自分ではよく分からないんですけど、言えませんでした。
昔の自分に対して、「何が”確定演出”だよ」と思った。ネガティブとか自意識過剰とか意気地なしのどれでもない。自分が損したくないだけのエゴの塊が自分でした。
最後一緒に歩きながら「変わらなくても良いですけど、それ、治したいとは思います」と言われて、本当に情けなかった。いまだにこの後輩に対して敬語を外せていない自分の姿が、それをより強調させる。
嫌いな人がいっぱいいて、自分がそれじゃないという事実で価値下げして生きていないと自分は無理で、それを抜け出せると思ったけど、まだ無理でした。本当に情けないです。結局、「数日以内に電話かけても良いですか?」と言うので精一杯でした。面と向かって言うべきだったのは他でもな買ったんだけど、自分にはまだできませんでした。社会人にもなって、22にもなって情けない。
駅の改札の前で、「ちゃんと家に着いたら連絡入れるんですよ」と言われた。
最後に「バイバイ👋」と言うので、自分は限界でした。
次はしのごの言わないので、電話はもうちょっと待ってください。
でも絶対言います。言いたい。
#404 告白できなかった話