“人生の夏休み”より
人生の夏休みと称される「大学生活」が、残り半年もいいところとなってしまった。この3年半は、 “柄じゃないこと” を頑張ってさも当然顔でやろうとしてみただけの時間だったなと思います。結果から言うと、身になったことは一つもなかったです。ふとした時に自己嫌悪に陥れてくるきっかけを、日々蒔いていただけでした。
自分に向いてないことは、どれだけ頑張っても人並みにすらなれない。柄じゃないこと、人じゃないことは、やるもんじゃない。
何もできるようにならないと最初から分かっていたけどそれをただただ確定させた。
性根はやっぱり変えられなかった。多くの人がごく普通にやっている様々な人生の営みに対して、自分がやっぱりどうでも良いと思っていることを再認識しただけだった。
自分の人間性の内側に無いものを持っている人、例えば大学で関わりのあった人たちやアルバイト先の人たち、に憧れ、人を惹きつける何かをそこに感じる。
でも、自分がそれになれるわけがなかった。分かってたけどやってみて、やっぱりなれなかった。「誰かに『やってもないくせに』と言われるのは癪だから」というだけの理由でやってみたけど、無駄な時間だった。
どうでも良いと思っていることの一つが「コミュニケーションを取ること」。人と喋っても後悔することばかり。「そんなとこまで気にしてない」とか「考えすぎ」とか言われても関係ない。事実として後悔してるんだから。なかったことにしてくれんなよお前みたいな奴が、とやっぱり思ってしまう。
本当は全く興味ない。バイト先の後輩が夏休み中に誰とどこへ行ってようが。どんな曲を聴いていようが、どんなドラマを見ていようが興味ない。その場でドンで話すとなったら本当に何もその場の話題が浮かばない。あらかじめ話題の弾をこめておかないと本当に醜態を晒してしまう。
無尽蔵の「他者への興味」が僕にはない。「この前何喋ったっけ」「この話題はしゃべったことあったけ」「この前の反応からしてこの手の話題は金輪際やめよう」とか考えてる時間が本当に情けないけど無駄だなと思っている。そして話題を考えた上で、用意している感じを隠すためにどうやって話し始めようかも考えておかないと安心できない。
興味がない上に体裁を守りたいのが厄介だ。
この前バイト先の後輩に、第一声から「ドラマとか見てます?」と聞かれて、それができる後輩のことが羨ましかった。自分だったらやっぱり「趣味を探ろうとしてる感」をもう少し薄めたいから、漠然とした話から始めたい。今なら「夏休み半分終わりましたけどどうですか?もう流石に暇してますか?」「ですよね〜。暇な時とか何し時間潰してんすか?」とか回りくどい会話の仕方がしたい。
自分がひん曲がっていることも、もう分かっている。
バイト先のとある女性の後輩の髪色が、この前明らかにカラフルな色になっていた。でもそれを直接言うのはどうも憚られて、気持ち悪くて嫌かなと思って回り道しようと思った。バイト先には派手な髪色だと黒のネットを被らないといけないルールがあり、派手な髪色の人も滅多にいないので、「黒のネットをしていること」自体が珍しいので、そこから話そうと思いました。「ネットとかしてましたっけ?」「ずっとしてましたよ」とだけやりとりをして、「ですよね」も「そうでしたっけ」もどっちもキモくて自分には返せることが無く、会話が終わってしまいました。
別の女性の後輩に「なんて返すのが正解だったんすかね」といわゆるフィードバックを求めてみたら、「そもそも『ネットとかしてましたっけ?』が変ですよ。そっちの方がどちらかと言えばキモイと思います」と言われて納得しました。
これもキモいのかもしれないですけど、「気のせいだったら申し訳ないんですけど」とかで少し濁す方が良かったのかなと思います。
自分で思考をこねくり回した段階では「この道筋しかない」と思うんですけど、やっぱり他者から言わせてみればちゃんと変で歪んでるんですよ。
もう全部めんどくさいから、やめたい。だってどうでも良いと思っているから。でも「無愛想な人とは思われたくない」のも本当。
“楽しげ”じゃなくてちゃんと楽しい人生は自分に期待できないし、
“自意識過剰”以外のところで色々考えてみたけど、やっぱり自分の根本にあるのは“自意識過剰”でした。何を考えても付きまとうそれはもうこれから先も逃げられない、それで良い。
素の自分みたいなのはなるべく隠す。楽しげでいる。毎日それに無駄な時間を使って、自己嫌悪の種を日々撒く。
たりないふたりとLIGHT HOUSE。その3人が「これからももがき続ける」って言っている。自分には「こんなもんじゃねぇ」とは思えない。自分は「こんなもん」で、今の性根と人と柄のままでしかない。だから他人に憧れてもしょうがない。なれないもんはなれない。自分は自分でしかない。絶望でしかないけど、もうしょうがない。
他人への無尽蔵の興味はない。他人に聞いてみたいことなんてない。それでも捻り出してバイト先の人と喋る。「言わなきゃ良かった」「こう言えば良かった」「あれ言えば良かった」「あれよくなかった」とか自省して、自己嫌悪に陥って、アルコールでその都度吹き飛ばす人生で良い。
2023.8.26のオードリーのオールナイトニッポンでの若林さんのフリートーク。めちゃくちゃ面白かったけど、めちゃくちゃ泣きそうになってしまった。
いつのまにか飲み会でお開きを言う側・支払いをする側になっていて、でもそれに慣れてなくて、その雰囲気を探るために温かいお茶を注文することにして、でもそれが裏目で、結局全部が上手くハマらない。
色々考えたことが裏目に出続ける人生のほうが、俺はなんとなくしっくりくるなと思える。
後輩からしてみれば「そっちの方がどちらかと言えばキモ」くても、もういいかもしれない。
#376 “人生の夏休み”より