忘れさせてくれない
何年か前の自分は、ラジオを聴けば、音楽を聴けば、本を読めば、街を歩けば、なんとなく現実逃避ができていた。嫌なこと全部忘れて、笑い、その世界に浸ることができていた。
そのどれもが、今の自分は、嗜んでももちろん素晴らしいのだけど、“逃避”をさせてくれなくなってきた。自分の好みで選りすぐって生き残っているからこそ、自分の思考や感覚に近いパーソナリティやアーティスト、作家や主人公が多くなる。
でも、“自分に似た感性”が自分を励ましてくれなくなってしまった理由が、正直分からない。その“自分に似た感性”が、自分の醜い感性を浮き彫りにしてしまう。
それにあたっての自分の心持ちの変化というものがどうも掴みきれない。
#399 忘れさせてくれない