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無謀な夢は見ても構わない
〜ミスiDセミファイナル、そしてこれから〜
6月の時にミスiDにエントリーした。
5ヶ月があっという間に過ぎてしまった。
セミファイナリストに選ばれた理由が未だによくわからない。
でも、もっと頑張ればいいな、もっと出来るはずなのにとか1ミリも思っていない。もう最善を尽くしたと胸を張って言えるから。5ヶ月という期間は人によってそれぞれの意味があって、全然違う長さでもある。ある人は映画一本を制作する期間。ある人は毎日チアストを頑張る期間。ある人は服5着を作成する期間。私にとっては1から0、そしてまた1に戻る期間です。
1から1って、つまり前へ進んでいないんじゃん。結果から言えば、確かにそうかもしれない。
でも私にとって、それは大きな一歩だ。やっと2に進めるところに来た。
ずっと、目標のある人間が羨ましいの。若いうちに自分の「なりたい自分」を見つかって、それから青春の全てを夢に捧げ、真っ直ぐ進む人たちが眩しくて私じゃ手が届かない存在だ。
だからアイドルになりたかった。
何かのために頑張ってみたかった。
何かに向かって必死になりたかった。
例えそれが私の苦手の分野でも。
必死だった。
2年前に私は日本のアイドル世界に入りたくて日本へ行った。臆病者で内定も捨てられずに、会社に隠れて会社員でありながら日本のアイドルグループで活動した事がある。
もっと大きなステージに立ちたい、もっとすごいアイドルになりたい。そう簡単にはいかなかった。
すごいアイドルになる前に、私が弱り果てた。通勤の時間も含めたら、毎日11時間以上は仕事だった。夜と休日がなるべくライブのために空けておきたいので朝のシフトに調整してもらったりとか。休暇も特別なイベントや遠征や香港に帰る時に使いたいので体調が崩れた時も休みを取らず出勤した。そう無理してるとどんどん体がダメになった。毎日熱が出てるみたいに体が痛くて痛くて。我慢できない日に病院に行って薬をもらう。薬を飲んでちょっと良くなったらまた仕事に戻る。ちゃんとした休みがないから、痛みがまたすぐ現れる悪循環。あの時は何回も病院に通い、薬を飲んだりした。それでも身体中の痛みが1年以上続けた。そんな中続けたアイドル活動ももちろん全力出せなかった。ライブのパフォーマンスもなかなか上げられないし、グループに対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった。このまま無理して続けていても私は私のなりたいアイドルにはなれないという現実と直面した。
悔しいけど、私は現実に負けた。
そして香港の状況もあって、メンタル的にはもうこれ以上耐えず、結局のところ、
アイドルも仕事も辞めて、私は香港に戻って来た。
香港人が日本でアイドルになったって皆私のことをすごいと思ってるけど、私は実際みともない負け犬だった。あの時の事を思い出すと未だに胸が裂かれるほど痛い。一番夢に近い国に来たのに、到底手が届かないなんて。なんでもっと出来なかったの。なんで私がこんなに弱いの。なんでもっと我慢出来なかったの。
最初から内定を捨てるべきかとか、振り返ってみたら、後悔しまくったが、あの内定がなかったら、私が日本に行く事も出来ない。
皆さん、Inside Llewyn Davisという映画を知っていますか。あれが、私が思う「夢」と一番合致する世界観かもしれない。
例えどんな無謀な夢でも、私は見て良かったと思う。
20余年の人生、遠回りしながら歩いて来た。一体どこに向かって歩けば正しいのかずっと模索してる。香港に戻って来たのはちょうど去年の今頃だ。もう一年が経ったか。それからもずっと考えてる。今まで見て来た夢と、これからの夢について。
ミスiDの子の中で天才がいっぱいいる。若くて才能が溢れる天才たち。見れば見るほど私がファイナリストになれるなんてとても思えない。
しかし、私だって「私だけの物語」がある。
完璧なアイドルとしてじゃなくて、悩んだり焦ったりする1人の人間として見てもらいたいなという思いでミスiDにエントリーした。アイドルを含めた全ての自分を皆に知ってもらいたいし、認めてもらいたいと。その思いは、今も変わっていない。
アイドルになりたくてミスiDにエントリーした子が多いらしい。私がその真逆でこれからアイドルを卒業する人なんだ。現実的な話をしやがってドン引きさせちゃうかもしれないけど、これは私だけの物語だ。
これまで言語化できなかった思いをやっと形に出来たのはミスiDのおかげだ。心から感謝しています。
5ヶ月間本当にお世話になりました。アイドルよりもずっと前にあった夢をやっと勇気を出して口にした。初めて作家になりたいという夢を皆に教えた。初めてビデオの編集を挑戦した。初めてストーリーを書いた。初めて自分の失敗について話した。初めて誰にも負けない気がした。初めて私の書いたもので感動したって言ってくれる人がいた。
沢山の「初めて」ができて、「やりたい」もいっぱい増えて今までの人生の中で一番生き生きしてるかも。
私より文章がうまい人居るし、私より人気のあるアイドル居るし、どう考えてもファイナリストに選ばれる気がしない。
それでも何故か今の自分なら何でも出来る気がして、無敵な気分です。
スポットライトに当たらなくても、私は輝きます。
アイドルじゃなくなっても、歌って踊っていなくても、誰かの「アイドル」で居続けたいし、無謀な夢を見続けたい。