写真で絵を描く。
顔から手から洋服から、、
全身クレヨンだらけになって絵を描くのが好きだった女の子。
あらあら、しかたないわね。
家の壁にまで絵を描いてワクワクしている女の子のために、
お母さんは壁中に模造紙を張り巡らし、スモッグを着せてくれた。
へたくそな絵だけど、自由に思うままに描くことが大好きだったその子は
やがて小学校に入り、<絵を習う>という時間ができて、
いつのまにか楽しかったはずのものが楽しくなくなっていった。
それでも教科書の隅にぺらベラ漫画を描くみたいなことは、
授業中こっそりやっていたり、少女漫画を真似て、キラキラ瞳の女の子を描くことに嵌ったり。
その女の子は、上手くは描けないけれど、でも<絵>は相変わらず好きだった。
やがて大人になり、パソコンを与えられた女の子は、
曲線や直線を使ってデジタルで絵が描けるんだと知ってワクワクした。
ウェブ用のフリー素材を作ることに夢中になった。
でも、もともと絵を上手く描けるわけではないので、
やっぱり行き詰まった。
フリー素材を作ることをやめた女の子は、
ひょんなことからカメラと出会った。
なにがツボにはまったのか、、はよくわからないけれど、
女の子は、写真に夢中になった。
そして、描きたかった絵が、写真で描けるんだ。
ということに或る日気がついた。
ネガポジ反転で、<写真を絵にする>
ワクワクした。
そして今その女の子は、
<写真とデジタルという筆で絵を描く>
ということに夢中になっている。
<写真を絵にする>から<写真で絵を描く>へ。
もっといえば、写真でも絵でもない。
というかそんなこともどうでもいい。
好きな写真と、好きなデジタルデザインと、そして好きな絵と。
好きがいっぱい詰まった世界。
女の子は壁いっぱいに絵を描いたあの日の気持ちに戻りたい。
そんなことを今、思っている。