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サリーちゃんの思い出

 今日ご紹介する曲は「I love Sally」という歌ですが、正確に言うと僕は彼女と付き合ったことはないのです。

 一度だけ、江の島までドライブに行ったことがあるんだけど、その後なぜか何も進展がなかったのです。

 だけど、その一度だけのドライブがとても印象的で、今でも懐かしく思い出すのでした。

◇ ◇ ◇

 高校を卒業してすぐ自動車の免許を取った。
 車で音楽を流しながら街を走ると、それだけで何となくドラマの主人公になったような快感を覚えた。
 
 --- 誰かを助手席に乗せて走りたい
 
 恋人のいなかった僕は、何しろ助手席に座ってくれる「誰か」が欲しくて仕方なかった。
 
 そんなある日、バンドの友だちから「ダブルデート」の誘いを受けて、そこで知り合ったのがサリーちゃんだった。
 
「さゆりなので、サリーなの」
 
 サリーちゃんは、そう言って人懐っこい笑顔で微笑んだ。
 
 --- 髪が長く背の高いスリムで明るい子
 
「オレさ、助手席に女の子を乗せてドライブしたいんだけど、誰も乗ってくれる人がいないんだよ」
 
 そう言うと、サリーちゃんは、ケラケラ笑いながら「あたし、乗ってあげるよ!」と言ってくれた。
 
「どこに行く?」
「江の島に海を見に行くのはどう?」
 
そうして僕たちは翌日、ふたりでドライブに行くことになった。
 
「あのね、親に見つかるとうるさいからぁ~、明日の朝、あっちの原っぱの方にクルマを停めて待っててくれる?」
「わかった!」
 
「ダブルデート」の別れ間際に僕たちはそう約束をかわした。
 
「じゃあ、明日、朝5時ね」
「うん!」
 
 サリーちゃんは、にっこり笑ってそう答えた。
 
「あ、あのさ・・・」
「ん?」
「もし、雨だったらどうする?・・・」
 
 恋愛経験の浅い僕は、つい余計なことを言って迷わせるようなことをすぐしてしまう。
 
「雨だったら?」
 
 サリーちゃんは一瞬、思案顔をした後、ニッコリ笑って「じゃあ、あたしテルテル坊主つくるね」と言った。
 
 ◇ ◇ ◇
 
 朝5時。
 朝からシトシトと静かな雨が降っていた。
 
(雨降っちゃったな・・・)
 
 雨が降ったからドライブは中止になるんじゃないかと、待ち合わせの原っぱに停めたクルマの中で、僕は落ち着きがなかった。
 
 やがて暗闇の中、ダッシュボードのデジタル時計が、5:00を示すと、時間ぴったりに助手席の窓をたたいて、サリーちゃんが現れた。
 
 傘をたたみながら助手席に乗り込んで、「おはよう!」と笑ってる。
  
「雨になっちゃったね・・・どうする?海・・・」
 
 恋愛経験の浅い僕は、ここでもまた、余計なことを言って迷わせるようなことをしてしまう・・・
 
 僕が反応をうかがうようにして彼女を見ると、サリーちゃんは笑いながらフロントガラスに指で何かを描きだした。
 
「見て!」
 
 --- 息で曇ったガラスに指で描いたお日様が笑ってる
 
「お日様描いたから、晴れるよ」
 
 その言葉に安堵した・・・
 
「じゃ、行こうか!」
「うん!」
 
 暗闇の中ゆっくりとアクセルを踏み、クルマは滑るように人気のない雨の道を走りだす。
 
 大好きな音楽をかけながら、助手席を見るとサリーちゃんが笑ってる・・・
 
 ◇ ◇ ◇
 
 今でも、静かな雨の降る明け方にクルマに乗ると、サリーちゃんを思い出す。
 
 --- 恋じゃないけど、恋みたいな不思議な思い出

サリーちゃんの思い出の歌を聴いてください。

Music:I love Sally
Singer:加藤香織(yayoiMix_v131)
ボイス:Synthesizer V Studio Pro
Photo:Stable Diffusion
効果音:OtoLogic

★★★画像生成AIのStableDiffusionで生まれた加藤香織は、大人のしなやかさに幼さを同居させた23歳のAI・Singerです。★★★

『I love Sally ~君を愛してる』

雨の降った夜は
君と会った時を思い出す

オレンジ色に染まる街が
きらめくよ
だから今 I love you
I love you
I love you

不思議な君の魅力は
たとえば子供の笑顔によく似てる

アルバム開いた時に
白紙のページ
君と埋めたいと思ったよ
I love you
I love you

朝も昼も夜も雨の日にも
風の日にもいつの時でも

眠る前も起きた後も Everyday
君を君を愛しているよ

ラララ

車は夜のハイウエイ飛んで行く
助手席 君は夢の中

鮮やかヘッドライト通り過ぎ
空までこの道続きそうさ

素敵なミッドナイト
君を I love you

このまま朝まで
Fall in love with you

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