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#48 このへんが、みこみありそうだ。

#1コマでどれだけ語れるかチャレンジ

死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし。
生きて大業の見込みあらばいつでも生くべし。

江戸時代後期の日本の武士、思想家、教育者 吉田松陰

もはや遠い日の記憶にも感じるが、今年の夏の東京オリンピックを見ていた時、若いアスリートたちが信じられないようなパフォーマンスを見せているシーンをたくさん見た。

何となくの認識として「10代のアスリート」と言っても、17〜19歳のイメージをしていたが、もはや13歳とかでメダルを狙うのが当たり前の世界になっている。

若きアスリートたちは、物心つくときにはその競技をはじめているそうだ。彼らの10数年の人生の時間のほとんどは、その競技に集中しているとも言える。

親がそう仕向けているという事もあると考えるが、やらせてみて見込みが無さそうであれば無理にはやらせないという事も考えられる。というか、ほとんどの親と子がその道を通ったんじゃないだろうか。

となると、オリンピックに出るような10代のアスリート達は、競技を始めたころから何らかの「見込み」を見出されていたという事になるんだろうと思う。競技場での彼らは、普通は相当鍛錬して時間をかけないと出来ないような技を当たり前の様に繰り出していた。

そうでなければ、時間やコストを惜しまずにバックアップ出来ようもない。要はそこに「投資したい!」と思わせる何かだ。それをここでは「見込み」と言っている。もちろん中には、もしかしたらあまり見込みは無い様に見えても、それを良しとせずに続けさせた人もいるかもしれない、なぜなら時に投資は、客観性ではなく期待によって行われる。

いずれにしても継続するという努力を周囲のサポートによってやり続けてきたのである。継続する事で競技をやっていることが普通になったら、きっと難しい技でも息をするようにやる事が出来るような気がする。

そういえば悟空もセルを倒すために、悟飯と精神と時の部屋に入った時、スーパーサイヤ人でいる事が普通になる様に修行をして、結果的にそれが悟飯の力を引き出したのだから、これは重要な気づきだと思う。でも今のご時世だと、過度な教育とか、虐待とか言われてしまうかもしれない。

悟空も悟飯には相当の見込みを感じていた。サイヤ人の血という物と、それが地球人と混ざると強くなるという設定もあった。ラディッツにさらわれた子供の時から、実際悟空よりも高い戦闘力を持っていたし。

と、子供に限らず人やモノに何らかの見込みを見出すのは、外的要因と言うか外から見てわかるような物があればいいが、そうでない時、それはドラゴンレーダー無しでドラゴンボールを探すのと同じくらい難しいかも知れない。レッドリボン軍のような人海戦術で当てずっぽうに探すしかない。根拠のない期待は、もはや信仰と言った方が良いかも知れない。

物事と言うのは、そもそもすぐに見込みが見える物ばかりではない。まるで何の見込みも無い様に見える事の方が多いくらいでもある。

今、手掛けている物の先が何も見えない、先になんの保証もない。そんな厳しい現実の前で、私たちはどんな心構えでいるべきだろうか。

そんな事を考えていたら、このコマが目に留まった。

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のび太の足が枠線からはみ出している。そして斜めの水平線。

てんとう虫コミックスドラえもん第9巻収録「無人島の作り方」からの1コマ

おこづかいをへらされてしまったのび太とドラえもんは、ママに抗議しようと立ち上がるが、今月から家賃が上がったため、パパもお酒代をへらされると知り、言い出せなくなってしまう…。パパが「自分の土地なら家賃をはらわずにすむのに…」と言っているのを聞き、自分たちで土地を作る道具はないのかと言い出すのび太。それを聞いたドラえもんはあきれ返るが、話しているうちに新しい島を作ることを思いつく。島がどうやってできるかの説明を聞いてもまったく理解できないのび太だったが、とりあえずドラえもんといっしょにタケコプターで海へ向かった。

まず海と空を珍しい縦長のコマで表している。ドラえもんがのび太を先導しているために、読者からは、のび太の方が大きく見えるという前後感のダイナミクスを取り入れている。

さらにのび太の下、つまりのび太のいるところよりも後ろも「海が広がっている」という事を表現するために、足をはみ出させているのである。そして、極めつけは斜めの水平線である。これこそが、タケコプターの浮遊感とか飛行感を表している。

そしてコマを見て、まず最初に思った事がある。それは・・・


「は?なんでよ?」という疑問だ。


ドラえもんにはこの何もない海が、見込みがありそうに見えている。

この後、海底まで潜った彼らは「マグマ探知機」を使って、海底火山になりそうなところを探している訳だが、それは理解できる。なぜならばマグマ探知機を使っているからだ。原理はまるでわからないが、当てがある訳である。

しかし、このコマを見てもらうとわかる様に、ドラえもんは何の目印も無い海を、空からの視界のみで一体何の違いをどうやって見分けているのだろうか。

こういうわからない事は、出来る限りの薄い知識でロジカルに考えてみる、そして自分なりの仮説を立てれば良い。そうやっていれば、きっといつか誰かが何かを答えてくれるハズだ。

いつかきっと。ねぇ、そうでしょ?・・・え?違うの?うそ、じゃあ僕は一体今まで何を・・・なんてことを・・・誰か!誰か!誰か助けてください!


さて、涙を吹いたらまずは大枠で捉えていく。もう戻れないのだから。

位置関係から考えてみよう。

野比家は東京都練馬区月見台すすきヶ原に存在するとされる。これは架空の住所だ。だから、これはもう大きく練馬区とし、その中央付近とする。そして練馬区から海に出るとしたら、東京湾が最も近い。もしくは相模湾あたりが有力になる。

最も近い海という考え方は、決してこの原作の中では出てくる訳ではないが、東京に住んでいて東京から一番近い海を考えるのは普通の考え方だと思うので、ここでは日本海と言う線は除外する。同様に千葉の東側へ行くというのも無いものとする。

故に、向かった先は東京から南方面の太平洋上の火山帯上という事になる。
日本に関係のある火山帯とは大まかに下記のようになる。

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注意:この図は僕が資料を見ながらふにゃっと作った物なので、精度に問題があります。大まかな位置関係の参考として見て下さい。違うんです、おまわりさん。

この図を見てわかる様に、ドラえもんとのび太が向かったのは、東京都練馬から一番近く海中にある場所である富士火山帯のベルトが目的地になると考える。これは練馬からだと南西方面になる。

次に、この富士火山帯ベルトのどの当たりかについて考えてみる。

これについては、タケコプターの飛行速度バッテリーの持ちから逆算してみる。

タケコプターの最高時速は、80km/hとされている。そしてこの速度で走り続けると約8時間でバッテリーが切れると言う。

となると、80km/h×8時間=最大飛行距離640kmとなる。

練馬区からのタケコプターで飛んで、家まで戻ってくる事まで考えると、片道で320kmという計算になる。図で示すと、以下の赤い円の中という事になる。

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320㎞の地点は丁度、八丈島を超えたあたりになる。この八丈島を含む、富士火山帯に沿って連なる諸島の事を、伊豆諸島と呼ぶ。この伊豆諸島の成り立つ場所が、フィリピン海プレートと太平洋プレートの際に当たり、かつ、島々は火山の噴火によるものなので、この並びでこそ新しく火山島を作ろうと考えるのは、とても筋が通っている。

もうちょっと島の場所について迫ってみる。

続いて下記の図を見て欲しい。これは伊豆諸島への航路図だ。

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伊豆諸島の航路図  是非、ご旅行の際はこちらの高速ジェットや大型客船を

一番下が「八丈島」だ。この八丈島こそが練馬からタケコプターで来れる場所の最大である320kmとなる。つまり、この航路図の中に、のび太とドラえもんが作った火山島があると考えられる。

ほうほう、それで、それはこの中のどのあたりなのか?という事については、これまでの様なロジックが何も立てられなかった。まぁ、そもそも「無い事」に理屈をつけ続けるのは無理がある。そんな事を言ったら元も子もないのだが。

ということで以下にあげるのは個人的な予測を含む内容になるので留意されたし。言うまでも無く本当のところは、F先生しかご存じでない。

八丈島は日本のハワイ

皆さんは、八丈島についてどれほどの情報を知っているだろうか。筆者は36歳のいい大人だが、持っている情報はこんなもんである。

「なんか南の方にある、沖縄とは違う島」

え?それだけ?と言われてしまいそうだが、正直それだけである。あとは、もしかしたら畳八畳くらいの面積なのかな?ぐらいだ。

では少し、一緒に地理のお勉強。
下のリンクからサラッと見て戻ってきて欲しい。

八丈島(はちじょうじま) wikipedia

いくつかあるけど、まず八丈島って東京都なんだ!という事が驚きだった。常識かも知れないが。という事で、東京都八丈町という住所になるようだ。

そして、活動度ランクCの火山である事も確認できる。活動度ランクとは、A、B、C、その他(データ不足でランクが出来ない)の4つのカテゴリーからなる火山の格付けの様なものである。そのうちの一番低いランクCなので、活動度が低い火山という分類だ。

八丈島は古い東島と比較的新しい西島の2連島であるが、なんと東側の島が最後に噴火したのは有史以前だそうだ。歴史には残っていないくらい昔に噴火して島ができたのだ。この要素だけでも相当ロマンがある。そういうのはF先生もお好きだと思う。

南の方にある島なので、てっきり「常夏」だと思いがちだが、八丈島の緯度は、熊本と同じくらいだと言う。さらに風が強く雨も多く平均気温も17.8度との事なので、「常春の島」と言われているようだ。年に数回は雪も降るらしい。そこまで暖かい訳ではないかもしれないが、過ごしやすそうである。

そして、主な産業は「観光」である。この観光こそが、八丈島を語る上で外せない要素だ。

まず、圧倒的に過ごしやすい。これを見て欲しい。

グーグル先生による年間の平均気温

もっとも暑い8月でも最高気温29度である。そして、最も寒い2月でも最低気温は8度となっている。もっとも降雨量も多いので、そこまでバカンス出来るような感じではない。としても、そこも少しハワイっぽい。モヤさまでもハワイはよく雨が降ると言っていたし。

八丈島は1960年代、ハワイ旅行が30万前後だったのに対して、10万前後で行く事が出来たため、戦後の日本人の海外旅行が解禁されてからも、ハワイよりも気軽に行けるハワイっぽいところ、つまり「日本のハワイ」として人気の旅行先として存在していたことがわかった。

1961年、F先生はあのトキワ荘を出て川崎市に移住されている。一つの時代が終わった感がある。1962年にF先生はご結婚されている。この後、オバQやパーマンなどが生み出された訳だが、どう考えても、おそろしく忙しかったハズである。夫人と新婚旅行には行かれたのだろうか。どなたか資料をお持ちの方は教えていただきたい。

いずれにしても時代背景的に、F先生のお考えになる南の島へバカンス旅行。と言うと、ハワイではなく八丈島だったのではないか。という仮説を立てている訳である。

尚、この八丈島(バカンス)への憧れは、他の話に出てくるスネ夫の別荘がある四丈半島や対抗して作られた百丈島というにもネーミングにも見て取れる。

以上の結果から、この時に作られた島は、八丈島に近いところにあったのではないかと考える事ができる。

場所を絞っていくロジックはこうだ。

タケコプターで往復する移動可能範囲内である必要があるので、八丈島よりも南下するとは考えられない。富士火山帯の上である必然性がある。それでいてさらになるべく八丈島に近い方が気温的にも安定する事が期待できる。及び、他の伊豆諸島からの干渉は避けたいので、定期船の航路などからは少し外れたい。となると、島と島の距離がある御蔵島と八丈島の間あたりが良いのではないだろうか。

お待たせしました、僕が考えるそれはだいたいこの辺である。

くどいようだが、?を付けざるを得ない。あくまで仮説なのだ。

ここまで、4800文字近くの文章を書いてきた。

それもこれも、何の為か。

普通は、物事に見込みがあるかどうかは、ここまで考えて系統立てないと見込めない。

という事を言いたかったのである。正直、まだ考え足りないかもしれない。

もちろん、ドラえもんは未来のロボットなのできっと地質学・海洋学的な知識がプリインストールされていたのかも知れない。だから、自然と演算をした結果が、この当たりの場所になったと考える方が楽だ。

だいたい、そんな事を気にして読んでいる人はいないよ!という声も聞こえてきそうだ。それは、もっともである。

でも、ちょっと考えて欲しい。

もしあなたがF先生で、この話を書こうとしているとしたら。

僕がこのnoteで書いてきたような事なんかは、当然考えた上で、さらに物語の展開やオチなどを考えているんだろう。という事が見えてこないだろうか。

ここで、のび太の足がコマからはみ出しているのを思い出して欲しい。

いろいろな事を系統立てて考えた上で、コマをはみ出しているのだ。もろもろに不合理や不都合が無い様にキチンと考えていらっしゃるに違いないのだが、そうだとしたらコマの中に収めたいと思ってしまうのは、きっと僕が凡人だからだろう。

だからF先生は、考え抜いた上ではみ出している。

それに気が付いた時、僕がグダグダと考えてきたことは、所詮この枠線の中の話でしかなかったという事実が目の前に現れた。

これは、いろんな事を考える上でも大事な要素ではないだろうか。ロジカルに考える事はあくまでも「基本」であって、それをベースにしてどうはみ出すのか。の方が大事なのかもしれないのだ。

枠に、型にはまらないスケールの大きさ。それを何もないような空と海を自由に飛び回っているのび太とドラえもんを通して、我々に見せてくれているのではないだろうか。そして、何もない空や海を自由に飛び回ってこそ、そこにつまり「自分に」見込みがあると言う事を教えてくれているのではないだろうか。

物事の見込みはパッと見ただけでは、わからない。しかし、見ようとすれば見えてくるもので、もし見えないとしたらそれは、自分で区切った枠でしか見ていないのかも知れない。

みんなも僕と、一生懸命考えた上で、枠を突き破ってはみ出して行こうね。

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