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スコットランドの無人島のあたたかい岩たち

北アイルランドのジャイアンツ・コーズウェーと同じ六角形の石柱群でできた小さな無人島、スタッファ。

北アイルランドの巨人とスタッファ島の巨人が「よし決闘しよう!」ってことになって海上に石柱を埋め立てて道を作ったんだけれど、スタッファ島側の巨人が途中で怖気づいて逃げ帰り、北アイルランドの巨人が追ってこられないように道を壊したから、両岸の端っこにこの石柱群が残っている、という伝説があるらしい。(いいとこだいぶはしょった)

スタッファ島へは、スコットランドの北西にあるオーバンという港町からフェリーとボートを乗り継いでいく。

酔い止め必須。

上陸して、乗ると音がなりそうな六角柱の岩にぴょこぴょこ乗りながら進む。

階段をのぼって、狭い洞窟の中へ入る。
見たことのない自然の造形と色彩を目の前に、
ただもう、なんも言えねぇ…
私の少ないボキャブラリーではどんな感想も表現も、浮いてしまうから。

天井。光っているように見えた。

この奥で反響する波の音を聞いた作曲家のメンデルスゾーンが、洞窟の名をとって「フィンガルの洞窟」という曲を作ったとな。(経緯はうろ覚え)
この場所で狭い足場に立って、異国の婦人3名くらいが神聖な響きの歌を合唱していた。
波音と、透き通った岩の反響音で、きっと三割増し以上のきれいな声になっていたに違いない。(失礼きわまりない)
冗談は抜きで(って勝手に入れたの私)、とても美しいサウンドだった。

外に出て、日陰の岩をさわってみる。

ダウンを着るくらい寒い時期だったから、ひんやりとした岩の感触を想像していたのに、体温みたいにホカホカしていて、生きているみたいだった。
さっきまで陽があたっていたからでしょー、とかが正解かもしれないけれど、それが分かっていても心の芯から優しい温かさがじんわり広がっていくのを感じた。
この岩たちはきっとずーっと昔から地球上の生き物たちを見守ってくれているんだろうなぁ…なんて。言葉にすると浅く感じるけど。

それがより本当だと思えたのは、この島の上の方へのぼったとき。

えっさほいさと梯子をのぼると…

たどりつくのは草原。
あの無機質な六角形の岩の柱たちの上に、こんな緑があるなんて思っていなかったから、にっこり笑ってしまった。

ここで卵を産んで育てる鳥たちがいるから、その季節になったら、ここは立ち入り禁止だったか、気をつけて歩くようにだったか…
そんなことを言っていた。(うろ覚えの多い人生)
そうだよね、そうしてくれないと嫌だ。
この下の岩たちの優しさが悲しくなってしまう。

ひとり旅はだいたい楽しさと感傷が半々になる。



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