アーサー王の城
同じ国のことばかりを続けて書いていると自分で飽きてくるので、時系列はバラバラだけれど、今回はイギリスのコーンウォール地方にある城跡へ行ったときの旅記録。
1230年代にコーンウォール伯リチャードという人によって築かれた、アーサー王ゆかりの城として知られている、ティンタジェル城。
電車で辺鄙な駅で降りて、バスを乗り継いで2時間くらいかかったかな。やっと城の最寄りのバス停へたどり着く。このバス旅も結構な冒険だった。
バスを降りて歩いていくと、時々見かけるワンちゃんたち。みなデカめ。
かっこいい〜ジャーマンシェパード。悪いことしてないけど身が引き締まる思いだ。
こんな、ちょっとした普通の田舎町に本当に城の遺跡があるのだろうか、道は合っているのだろうか、とキョロキョロしながら歩いていた。看板を見つけて一安心。
こういう一本道はうきうきする。
ただ自然の中に古い案内版があるだけなのに、ファンタジーの世界にいるように感じてしまう。
何かで読んで、うろ覚えなのだけど、日本でファンタジーのイメージを問うと「杖」「箒」など、映画で見たことのあるような魔法使いアイテムをあげる人が多い一方で、イギリスで同様に問うと「自然科学」と答える人が多数とか。こういう景色を見るとそのことを思い出す。古い歴史の中で移ろう自然と、自然の素材でつくられたものの朽ちていく姿を見ていると、イギリスでは自然そのものの中にファンタジーがあることがだんだんと分かってくるような気がする。その中にいるという気分になってくる。
しばらく歩いてたどり着いた小屋でチケットを買う。目の前には海。
そして後方は断崖に沿ってつくられた階段。
しばらく登って見下ろすと、ひょえ〜高い。
階段は向こう側へも続いているよ。探検するとこいっぱいだ。
ところどころに、こんな風に説明が書かれている。建築に関してはほぼ事実なのだろうが、ここに住んだ人がどう考えていたかは想像かな。
階段を上ったり下ったりしながら上の方へ行くと、石を積み上げてつくられていた城が部分部分で姿を現わす。
振り返ると、扉の向こうに海。
ここはどんな部屋だったんだろう。
ここには上に行く階段が続いていた?
ここは窓?
ここはガーデンらしい。
荒廃してもうない部分を想像しながら、ここにどんな暮らしがあったのかを空想しながら、あっちへ行ってみたりこっちへ行ってみたり。
写真は載せきれないけれど、少しずつ違う遺跡のようなものがたくさんある。
あ、どうも、こんにちは。
このトンネルは何のために掘られたのかは未だにミステリーらしい。冷蔵室のように使われたのではないか、という仮説が立てられている。
崖の上をぐるりとまわって、入り組んだ断崖をゆっくり見て、
門をくぐって
下りるかな。怖そうに見えるかもだし、実際少しは怖い。でも、冒険の楽しさがずっと勝るんだなー。
子供の頃は、ちょっとした小径とか生垣の間とか、日常の世界にたくさんの冒険が詰まってた。大人になったら現実が見えちゃって、毎日の生活ではそういう気持ちは薄れたり忘れたり。別にそれでもいいんだけどさ、何も悪くはない。でもやっぱり、わくわくは楽しい。
にしても、この橋は遠目でも怖い。笑
下へ降りると海辺に出る。
絵になりすぎるかっこいい犬の散歩を横目に、
しばしマイナスイオンに癒されて、
洞窟へ。
この右隅の穴にちょこっと入ってみるのだ。↓
岩、でっか!
色、すっご!
(ボキャブラリー…😓)
左下に人がいる。
都会の日常ではなかなか感じる瞬間のない「地球」のすごさを感じたとき、人に説明しようとしても私はうまくできない。北極圏に行ったときもそうだった。人に聞かれて話しても写真を見せても記録に残しても、自分の見たこと感じたことのほとんどは表現できていない。でも私は、私としてはそれでいい。全部出しつくしたら、自分の中にはもう何も残らないように感じるから。自分だけの、言葉にできない見せることもできない思い出は、これからも大事に持っていたいと思う。
洞窟の中から外を見る。入口の形が猫みたい🐱
実は向こう側にも小さな洞窟があるのだ。
向こう側にも寄って、そろそろティンタジェル城ともお別れだ。
バス停のある村へ帰ろう。
私、現実で行ったよね?
ここは現実に存在する場所だよね?
と確認したくなるほど、
もう二度とここへはたどり着けないのではないかと思うほど、ファンタジーみたいな世界だった。