息子が生まれた日。かりんとうの味。
特に子どもの誕生日ってわけでもないんだけど、ふと息子が生まれた日のことを思い出すときがあって。
もう11年以上も前だから出産の痛みとかは忘れてるけど、何というか、山登りの後みたいなあの息苦しさは今でも覚えてる。
きっとみんなそうだよね。酸素マスク付けるぐらいだもんね。
息子が生まれたのは夕方だったので、分娩室から病室に戻り家族も帰ったあとぐらいに…
フツーに夕食が運ばれてきた。
『この状況で食べられるかいっ!』とツッコミつつも、産後の私のお腹はすいている。
が、息苦しくて食べられない。
呼吸するだけでもしんどいのに…!
でもね、夕食のプレートにデザート(?)的な感じで小袋の『かりんとう』が付いてたんだよね。
私はそれを見て泣きそうになっちゃった。
だって『かりんとう』は、亡くなった父が大好きだったお菓子だから。
まるでお父さんが「よう頑張ったな。おつかれさん!」って言ってくれてるみたいで…
私はその『かりんとう』を1本ずつ、舐めるようにして食べた。
(息苦しくてそんな風にしか食べられなかった)
この日の夕食はそれでおしまい。それで十分だった。
私はいまだにスーパーとかお菓子屋さんで『かりんとう』を見つけるとその日の事を思い出してちょっと泣きそうになったりする。
私にとって、父&息子との甘い思い出の味。
たまに食べたくなる、恋しい味。