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島根県の現地視察へ!全身で学んだ備忘録

みなさんこんにちは!
地方創生×医療者教育のモデルを構築するために島根県奥出雲町を拠点に活動している理学療法士の安田彩夏です。
Little Physioキックオフから早くも2週間以上が経過し本大会(6月11日)が近づいてきました。

今回は挑戦に対しどんな活動をしているのかをご紹介いたします!

◾️挑戦内容の振り返り

本noteを初めて読む方もいると思うので簡単に私の挑戦内容についてご紹介します。

<挑戦内容>
次世代に必要とされる医療人財を育成すべく、島根県を拠点とした医療者の教育フィールドとプログラムを構築すること。

ここでよくいただく質問に対してお答えさせていただきます!

Q.1 なぜ島根県なの?
島根県は全国でもこの20年ほど「少子高齢化社会」を経験し、現在時を経て出生率と死亡率が比例し少子高齢化を緩和させている県だからです。
まちを支えるために、住民や行政や医療福祉機関が互いに助け合い、様々な取り組みをしてきたからこそ緩和させることができています。そうした「支え合い」が実現されている社会を知り、実感することができる地域なのです。

Q.2 なぜ島根県で理学療法士の教育ができるの?
今まで求められてきた理学療法士は医療機関における人材でした。
しかし少子高齢化が進み、在宅リハビリや地域リハビリと呼ばれる人々の「暮らし」に寄り添える人材の需要が高まってきたのです。つまり今後予想される日本の社会現象を知った上で、理学療法士がどのように活かせるのか学ぶことが必要となります。

30年後には日本は全国的に少子高齢化社会と直面すると言われる中で、都内を含め栄えているところではそうした未来を想像することは難しいでしょう。そこで現在すでにそうした社会となっている中山間地域の社会を知ることで、人として、理学療法士として何ができるのかを考える機会を得られます。

また医療者の教育に対し、まちの方々が積極的に関わってくださり、地域まるごとリハビリテーションをコンセプトとした養成校が一体となって取り組もうとしている協力体制があるからこそ実現できるものです。

Q.3 学んだ先に理学療法士の何が解決されるの?
現在の理学療法士における課題として、資格保有者の供給量は需要を上回る傾向にあります。しかし地域によっては理学療法士が不足しているのです。日本全体をみた時に、資格保有者は十分にいるものの最適な供給ができていないということです。

理学療法士として活躍できる場所がもっとたくさんあることを知ることで、働き方の選択肢が広がり自分にとっても最適かつ地域に必要な「在り方」ができるようになります。
その先には理学療法士としての未来を見つけられずに潜在理学療法士となる方が減少し、みんながイキイキと働ける業界、社会になります。

◾️島根県へ行ってきました!

ご存知の方もいると思いますが、私は東京都在住です。
そんな私が島根県で活動をするために、飛行機とレンタカーで拠点としている奥出雲町へ通っています。

今回は、私自身がもっと島根県の取り組みや地域の現状を具体的に知るために現地へ視察へ行ってきました。

<実施してきたこと>
・拠点とする奥出雲町の地域包括支援センターの方へヒアリング
・まちづくりに欠かせぬ存在である「NPOともに」の移動販売同行取材及びヒアリング
・島根リハビリテーション学院特任講師の方へヒアリング
・現地の地域で働きたい理学療法学生と対話
・神奈川県から移住しまちづくりに携わる地域おこし協力隊の20代の方と対話
・孤立した地域で農業を営む90代女性との対話
・理学療法学生とまちの魅力を伝えるPV動画の撮影
・就労継続支援B型事業所の施設長へヒアリング

羽田空港から飛行機で出雲空港へいく空の上でみた景色

出雲空港へ離陸する直前の空の景色と比較してみてください。

山の間には畑が広がっています。これが中山間地域の景色です。畑の周りや間に民家があります。

写真はまだ家が集落となっていますが、空港からもっと離れると家と家の距離がとても遠く道を歩いていても人にほとんど会うことがないのです。
高齢化率が44%となり85歳以上の方が高齢者の1/2を占めている中、農家が多いこともあり介護サービスを使わず暮らせてはいるものの、年齢と共にできることができなくなり、生活のあらゆるところで不便や「生きづらさ」を感じている人が多いと伺いました。

そうした孤立している民家に住む高齢者や、なかなか町に出て買い物に行けなくなってしまった、1週間以内に家族以外の人と会わないという人がまちの25%となっている(約600人の集落)住民の困りごとを少しでも支えられるようにと立ち上がったのが「NPO法人ともに」です。

元々は介護施設を経営されている介護士が主となり「小さな拠点づくりの会」などを立ち上げ、働き世代が力を合わせてまちの困りごとを解決すべく取り組んでいます。

その一つが移動販売です。

同行させていただいた時の担当者は、元々宮城県で理学療法士として働いていた女性でした。地域の方を支えるために現在は子育てをしながら移動販売やマーケットで活動されています。

畑の中に1人のおばあちゃんがいました。90歳を超えていますがご自身の畑作業をしている最中でした。両膝が変形し痛みが出ていたためインソールを入れて生活していたそうです。使用しているのは歩行器ではなく、孫の乳母車。ジャガイモや農作業の荷物を入れたり歩く支えとなるため使いやすく愛用しているとのこと。

みなさんはこの方の生活を想像し、歩行器を使うことを勧めますか?
乳母車でも安全に生活できるような支援をしますか?
膝のためにしゃがんで炎天下の中農作業をすることを止めますか?

私は理学療法士として、この方の生活をどう支えていくことができるのか、ものすごく考えることとなりました。

地域包括支援センターの方は、こう仰っていました。

「介護サービスは比較的充実してきているものの、住民の生活の中で出てくる困りごとや何か調子が悪くなった時の頼りどころがなくすぐに救急車に連絡してしまうことがあります。救急医療が行き届いていない中で、もう少し暮らしの中で頼れる医療従事者が地域にいてくれたらみなさん安心して暮らせるのではないかと思います。」

「島根リハビリテーション学院の先生方や学生さんが地域の介護予防活動などに精力的に関わってくださるようになってから、そうした取り組みが活性化してきました。」

理学療法学生が地域でのフィールドワークを通して関わってから、まちの食堂に来てくれる機会も増え自然と住民とのコミュニケーションが増えてきたそうです。そうして理学療法士として関わる以上に、理学療法士を活かして人として関わるということが「暮らし」に寄り添う形なのではないかと感じました。

こちらは島根リハビリテーション学院の特任講師の方へヒアリングをした時の写真です。

地域に寄り添う理学療法士とは何か。
これから求められる理学療法士の在り方についてお話を伺いました。

「働き方について悩んでいる学生が非常に多い。社会が豊かであるが故に正職員や公的機関で働くこと自体への関心や魅力が減少しているのも事実です。自分が暮らしている地域で働きたいという学生は多いもののそうした関わり方や働き方を知らないから悩むわけです。地域の人と対話をする、これこそが地域連携の始まりであり、対話の中から自分たちが専門職として何ができるのか考える力をつけるということが大事だと思います。」

対話のなかで、8月に島根の理学療法学生と県外の理学療法学生の合同研修会を開催することが決まりました。
実際に地域住民へヒアリング取材をしたり、自分たちができることを考えるワークショップや異なる地域に住む学生同士の座談会などを企画しています。

こうしてまちの中には地域での活動や困りごとを相談できる、仕事ができる場所として古民家をリノベーションしたワークスペースがあります。
この場所をお借りし、学生と地域づくりに関わる住民の方々と未来について語る座談会を実行するためにこれからも企画を練っていく次第です。

夜に東京へ帰ってくる飛行機から眺めた景色です。
島根の奥出雲町はこの時期ほとんど灯りはありません。私たちが向き合っていくべきなのは地域ごとの課題です。

今回の視察を通して学んだことは、日本海側の中山間地域で起きている社会現象が、将来東京を含め全国的に起こることだということ。
その時理学療法士の供給率は1.5倍になると言われています。理学療法士の資格を活かし、自分たちには何ができるのかとても考える機会となりました。また私たちはもっともっと外に出て地域の方々と関わっていくことが重要だと思います。

地球のどこでも理学療法士が生きることで、社会を支えられると改めて感じることができました。私が理学療法士としてたくさんの人たちにヒアリングしている中でも、互いに知らない情報を受け取り対話のなかで人との繋がりが増えていきました。

医療があって地域があるのではなく、地域があってこそ医療がある。
私たち理学療法士は人々の「暮らし」の中にいることがこれから求められることなのではないでしょうか。

◾️大会への意気込み

大会直前の6月9日〜10日には、再び島根へ行き島根リハビリテーション学院の学生と共に地域住民へのヒアリング取材や学生との交流をさせていただきます。

私の活動はまだまだ始まりに過ぎません。
学生が島根で学ぶ機会を作ること、また今後は島根だけでなく地方へ理学療法学生が学びにいく機会を作り、地域から理学療法士としてどう在りたいかを考える力をもった理学療法士が日本社会に増えていくことで、社会の中で「生きづらさ」を感じている人が減っていくと信じ、これからも人生という時間を注いで活動を続けていきます。

本大会まであと10日ほどとなりましたが、応援してくださるみなさまと一緒にがんばっていきますので引き続きよろしくお願いいたします!!

安田彩夏

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Little Physio 2022 プレゼン本大会
日時:2022年6月11日(土)10:00~13:30
会場:京都リサーチパーク
*オンライン観覧も可能!
概要・申込み:公式HPより⇨https://little-physio.jp
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